第七話 潜入!ゴブリンの巣窟
私達はホクトウ村の畑から作物を奪ったゴブリンを追跡しゴブリンの棲み家にたどり着いた。
「こんな山奥に空洞があるなんてね・・・で、正面突破する?」
「・・・正面突破は危険」
「流石に正面突破はちょっとね・・・」
「むむむ・・・それじゃあどうするの?」
「・・・魔法にはこんなものもある、『クリエイト・トンネル』・・・ね?」
「え、それでもこのトンネルを見られたら・・・」
「・・・大将部屋の天井に繋げたから見られる可能性も低い。後は葵次第」
「任されたわ。少し奇襲しに行ってくる」
「私達も追いかける?」
「・・・入り口から行く、挟み撃ち」
「結局は正面突破じゃない」
二人は渋々と入り口から突入する。
入り口には見張りのゴブリン、当然姿を見られて一体が報告に行く。
残りの二体が足止めをしようと立ちはだかる。
「さて、そろそろ体も動かしたいしやりますか」
「・・・私は魔力枯渇が嫌」
「一応摘んでおいた魔力草があるわ」
「・・・そう」
その雑談と共に戦闘態勢を取るとゴブリンも襲いかかってきた。
「せい、はぁ!」
一瞬でゴブリンとの距離を詰めた茜の二連撃が炸裂する。
攻撃を受けたゴブリンは原型が何だったのか分からない状態となっていた。
「・・・追撃、『ダーク・ボム』」
闇が現れたと思ったらいきなり爆発しゴブリンが闇の爆風に包まれる。
先程ミンチになっていたゴブリンは爆発四散、もう片方も満身創意状態。
茜が止めを刺し次へ進む。
その頃、私こと葵は・・・、
「アレが大将部屋・・・普通ね」
内装は机、椅子、扉がある程度。
何処にでもある内装だ。
「ん?大将はアレかな?・・・成る程、確かに一回り大きい。翠がボカードかと思ってもおかしくないわ」
椅子に座っているのは普通より一回り大きなゴブリン、ゴブリンリーダーだ。
倉庫の食料を取ったときはこいつが指揮していたのだろう。
翠の考えを読むのは難しい・・・が、今回、二人が着いてこない。
それが示す意味は・・・、
その意味が分かる時が来るのは直ぐだった。
急に扉からゴブリンが入ってきてリーダーと一通り会話した後、リーダーが出ていく。
予定通り、恐らく今頃は二人が大暴れしているに違いない。
それでは、報告に来たゴブリンの後ろへ音もなく着地し、
「死になさい、『鬼刃豪雨』」
その一言と共に残撃の暴風が巻き起こる。
暴風が巻き止んだところには爆発四散したゴブリンの死体があるだけだった。