第六話 ホクトウ村とゴブリン
私達は今、ホクトウ村へ到着した。
村の入り口に行くと村民は大歓迎、宴の準備をしたいからそれまでに問題解決をしてくれと頼まれた。
そして・・・、
「村民達がすいません・・・村の代表として謝罪します」
さっきの大歓迎状態で村長が駆け付け、村民を静めた後に謝罪を聴かされていた。
「別に怒って無いので大丈夫ですよ。それよりもゴブリンについて教えてください」
「・・・そうだったな。ゴブリンは毎日のように畑へ向かい作物を奪っていくのだが、昨日は倉庫から備蓄している食料まで奪っていった。このままではこの村は飢饉に悩まされることになる」
「成る程、ゴブリンは何処からやってきますか?後、数や作物と食料以外の被害とかは・・・」
「何処から来るかは分からないが、五体居たのは覚えている。・・・そういや、一体だけ体格が大きかったような・・・」
「・・・恐らくボカード、ゴブリンの上位種」
「それで被害は?」
「作物と食料以外だと・・・奪い返そうと戦闘が起こり怪我した者が居たな」
「分かりました。今日中には何とかします」
私達は村長宅を後にした。
黙って聴いていた茜が口を開いた。
「で、どうするの?」
「ゴブリンの来る方向が分からないからね、待ち伏せして追跡かな」
「尋問じゃないの?」
「・・・仲間の帰りが遅かったら茜はどうする?」
「そりゃ、心配して・・・あ」
「だから駄目なのよ。これは私の仮説なんだけど、恐らくボカードの上も居るんじゃない?」
「・・・恐らく居る」
「じゃあ追跡?でも私、隠密の心得なんて・・・」
「・・・私は出来る」
「私も出来るよ。というかグラップラーなのに出来ないってどうなの・・・」
「私が暮らした里は正面突破だけを考える人が多かったからね」
「「納得」」
「とりあえずゴブリンが出るまで張り込みしよう、翠はあっちを見てて。茜は・・・翠の後ろで待機」
張り込みを続けて3時間、北西の方角からゴブリンがやってくる。
私はすかさず翠にアイコンタクトを送る。
お互いは松明の明かりがあるため良く見える。
張り込みを続けるとゴブリン達は北東に向かっていった。
私は追跡開始のサインを出し追跡する。
森の中に入ると追跡は困難を極める。
時折振り返ってくるゴブリン達、翠達も上手いように隠れている。
翠達の表情は心配したような感じだ、それもそうだろう。
私は今、木の上から軽快な動きで追跡しているからだ。
そうこうしている内に空洞が見えてきた。
ゴブリンの棲み家だろう、ゴブリンが空洞に入るのを確認した後、音もなく着地する。
翠達と合流すると、
「・・・ヒヤヒヤした」
「あの追跡は驚いたわ・・・」
それが二人の最初の一言だった。