第一話 転生
西暦20××年、ある一人のニートが居た。
ニートと言ってもパッと見ではニートには見えない程に外見がクールだった。
「今日も内定が取れませんか・・・早く取らないとまずいですね」
彼の独り言は異常だ。
しかし、周りに漏れることはほとんど無い。
あるにしても考えすぎなどと返されることが多いが彼は気にしない。
ある日の休日、彼はアパートでPCをしていた。
就職活動かと思いきやゲームをしていた。
彼にとってゲームは一つのストレス発散だった。
特に自由度のあるゲームが好きで休日では朝に予め1日分の飯を買って後は家でずっとゲームということもあった。
そんな日常が続いたある日のこと、休日に買い出しに行ったときのことだった。
「・・・?今日は何時もより空いているような・・・気のせいでしょうか」
信号を渡るときにふと思う、この大通りでは毎日渋滞する通称「通勤車の通り道」と呼ばれる通りだ。
しかし、信号の真ん中で気づいたせいか考えながら歩いてしまった。
そんな不注意の状態で車が迫って来たらどうなるか。
その車が、焦ったいた余り信号無視をしていたら・・・。
「ここは・・・何処でしょう」
「・・・何故、私が二人居るのでしょう」
周りにはパトカー、救急車、野次馬。
この光景から彼は悟った。
自分の不注意で車に引かれてしまったと。
彼は最後にこう呟いた。
「もう少し・・・あのゲームをやりたかったですね・・・」
彼は意識を手放した。
彼が目を開くと天国・・・だと思われた。
周りは空、地上も宇宙も無い永遠に蒼い空。
「ここは・・・」
「ここは生と死の狭間。貴方は確かに死んだ・・・そのはずだった」
「そのはずだったとは?」
「・・・驚かないのね。まぁ、いいわ。簡単に言うと理由は分からないけど転生の機会が与えられたわ。ただし、今の世界には転生出来ないけどね」
絶望、彼にはそのような言葉は無かった。
この時点でやることは決まっていた、彼がやっていたゲームの世界へ転生すると・・・。
「どうやら答えは決まっているようね。それじゃあ、行くわよ」
彼が光に包まれていく。
もうすぐ転生するだろうというところで彼女が口を開いた。
「そうそう、転生だから全て貴方の思う通りには決まらないわ。・・・まぁ、名前ぐらいなら自分で決められるようにしてあげるわ。ただ、それ以外は何もかも最初からになるから辛いとは思うけど頑張ってね」
そう言い終わると光が消えていき彼の姿は何処にも無くなった。