プロローグ
「どうしてこんなことに…」
静かに風が吹きすさぶ荒野で男が一人悲しく呟いた。
男は綺麗な鎧を纏い、龍を型どった柄のある綺麗な剣を持っていることから誰がどうみても、普通の人間とは考えにくい。
よく言えば、勇者。悪く言えば、逃亡者というやつだろう。
ちなみにその勇者様の端正な顔には忙しかったのか、はたまたそんなことも気にならないくらいになってしまったのか、無精髭がびっしりとつき、昔女の子みたいだなとからかわれた綺麗な長い金髪はボサボサの髪になり、頬は骸骨のように痩せこけてしまった。
だが、彼は自分の見てくれなど重要としてないし、今はそんなことで悲しんでいるのではなかった。
問題は彼の隣で横たわって息を引き取った桃色のショートカットの女性にあった。
彼が生前愛し合い、一生を誓いあった矢先に彼女は死んでしまったのだ。
彼の絶望は計り知れない。
だから、彼は神に………いや、悪魔か?
まあ、本質的には願いを叶えてくれる点において、どちらでもいいのだが願った。
「彼女との時間をやり直したい!!」
その契約が叶ったのかは定かではない…。