はじまり
はじめまして、しらすと申します。
初投稿です。下手ではありますが、少しでも皆様に笑っていただけたら幸いです。
更新はマイペース
「87番、中に入れ」
ついに、この時が来た。
「はい!」
俺は返事をし、少し古びた扉のノブに手をかけた。
これで、決まるんだ。
俺が魔王になれるかどうか。
勢いよく扉を開けると、部屋の中央に椅子がぽつんと置いてあり、椅子と向かい合う形で獣人が四人座っていた。
どの獣人も鋭い目付きをしていて、すべてを見透かされているような、なんだか落ち着かない気持ちになる。だが、ここで怯んでいてはだめだ。試験はもう始まっているのだ。
ゆっくりと扉を閉め、部屋の中央に進む。
そして椅子の前に立った。
「87番、名前は」
頭から鋭い角を二本生やし、白い体毛で覆われた獣人が言った。
最初が肝心だぞ、俺。ここで印象をつけるんだ。
俺は大きく息を吸った。そして、
「受験番号87番、ユウシャです!!!!」
「あづい...」
頭上にはギラギラと輝く太陽、そして、辺り一面砂、砂、砂。太陽の光に反射して黄金の絨毯のようにキラキラしているが、今はそれを美しいと思っている余裕なんてない。
眩しくて、フードを深くかぶり直した。
僕は今、仲間を集めるために中央都市に向かっている。そこにはギルドがあり、勇者やら格闘家やらがわんさかいるらしい。僕は仲間を集めて、やらなければいけないことがある。それは、
魔王討伐。
どうしてもやらねばならない。このためならなんだってやってやる。
そう息込んできたものの、現実は残酷だ。
かれこれ何時間も歩いているのに、一向に都市なんか見えやしない。辺り一面砂だらけ。正直、都市につく前に心が折れそうです。砂漠越えがこんなに辛いものとは。
僕は砂の上に座り込んだ。
座り込んじゃだめだ、歩かなきゃ。
分かってはいるけれど、体が石のように重くて動かない。気持ちも沈んでいく一方だ。
ああ、なんでこんなことしてるんだろう。だめだ、頭か間が働かない...。そもそも、僕の村に勇者やら格闘家やらいないのが悪いんだ。なんでみんな、強くなようとしないんだ。街まで行くのめんどくさくなってきた。もうさ、もうさ、
「空から勇者とか降ってこいよおおおおおお!!!!!!!」
僕は腹のそこから大きな声を出し、叫んだ。
すると、
「ひょあぁああぁああいいいい!!!!!」
空から、人が降ってきた。
......え?
「あー!!きみちょっとどい」
へぶっ!
空から降ってきた人は、変な声を発して黄金の絨毯に激突した。
この出会いが、僕の運命を大きく変えることになるなんて思ってもいなかった。