祖母について・その7
そして、3つめは……私が今でも疑い続けていること。祖母が抱いていた、私に対する感情についてです。
死人に口なし、と申しますから本当のことはもう誰も知らないわけですが、祖母が亡くなってから片鱗のようなものをよく聞くようになりました。
例えば、私が昔愛用していたジュース入れ(飲み物を入れて持ち運ぶ大きな哺乳瓶のようなもので、私はそれでよくオレンジジュースなどを飲んでいました)があったのですが、それは祖母が私のために買ってくれたものだったとか。
例えば、母親が買い与えていた私の好きな菓子類を、自分も買っていたとか。
そういえば祖母はよくポテトチップスなどを私と一緒に食べていましたが、それはもともと私のために買ってくれていた……というか、私の影響で食べていたものだったのですかね。
もしそれが本当だったなら、少し悪いことをしました。
というのも、お葬式の時……白い小さな袋(たいていその人の好きだったものを入れます。ちなみに叔母の時はタバコなどを入れました)に祖母の好きだったお菓子を入れたらどうかと親戚に言われたんですよ。で、私は祖母がポテトチップスをよく食べていたからという理由で、ポテトチップスを何枚かわしづかみにして入れたんですよね。勿論他のもの(まんじゅうなど)も入れましたが、油で白い袋がベトベトになってしまったことは言うまでもありません。
うーん……あれはさすがにやりすぎましたね。おばあちゃん、ごめん。
母親いわく、「おばあちゃんはね、とてもいい人だったんだよ」とのこと。
昔の嫁姑バトル(?)を目撃していただけに、私はその言葉をにわかには信じられませんでした。まさか、母親が祖母のことを好いように言うなんて。
あなたと祖母は折り合いが悪かったのではないのか、と言うと、母親は存外あっさり「そんなことないよ」と首を横に振りました。
「一からいろんなことのやり方を教えてくれてね、失敗しても『次できるようになればいいよ』って言ってくれたり」
……そんな、あの人がそんな甘いことを!?
私には、母親が祖母のことをものすごく嫌っている風に見えたし、祖母の性格からしてそんな寛大なことを言うわけがないと思っていたので、絶句してしまいました。
しかし一度、母親が祖母とケンカした揚句、私を連れて実家に帰ってしまったのは事実です。私だってちゃんと覚えているのですから。
そのことについてよくよく聞いてみると、母方の祖母が答えてくれました。
「あの子(母親)が一回帰ってきたのは事実だよ。あの後、向こうから電話がかかってきてね。『うちの嫁がご迷惑をおかけしまして』って」
それでわざわざ迎えにまで来たというのです。それは私が見ていた祖母とは180度違う、祖母の一面でした。
母方の祖母はこの話の後、私に言い含めるように何度も言いました。
「凛。あんたのおばあちゃんはね、立派な人だったんよ。気配りができて、しっかりしていて……ほんまに、すごい人やったんやで」
私はただ、黙って聞いていることしかできませんでした。




