表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
兄が遺した光と影~28歳の叔父と15歳の姪の秘密~  作者: MCdragon


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/13

第三章:血の繋がり、そして「情報」

週末、俺は真美を連れて、彼女の引っ越し前の家へ、残った荷物を取りに行った。

真美の部屋は、壁一面に好きなアイドルのポスターが貼られ、学習机の上には、兄夫婦との笑顔の写真が飾られていた。

それを見て、俺は改めて、この家からすべての「生活」が消えてしまった事実を突きつけられた。


「真美、このアルバム、いるか?」


俺は棚から古いアルバムを見つけ、真美に尋ねた。

真美は無言でそれを受け取り、パラパラとめくり始めた。

そこには、理恵さんと兄さんが結婚する前の、理恵さんと幼い真美の写真が大量にあった。

兄さんは、真美が8歳の時に理恵さんと結婚した。

それまでの7年間、真美は実の父と理恵さんとの間で育ったのだ。

ふと、俺は兄さんから聞かされた、ある会話を思い出した。


「康之。真美は理恵の連れ子だ。お前と真美には、血の繋がりはない」


兄さんは、俺にそう告げたとき、まるで何かを確かめるように、俺の顔を真剣に見つめていた。

当時は「そうなんだ」としか思わなかった。

兄さんが真美を自分の子として深く愛していること、そして、その関係性を周囲に隠すつもりはないという、ただの「宣言」だと受け取っていた。

だが、今、この状況で、その言葉は全く別の意味を持って、俺の胸に突き刺さった。

血の繋がりがない。

この事実は、俺の真美に対する感情の「境界線」を、曖昧にするための、悪魔的な許可証のように感じ始めた。


(俺は、真美の叔父ではない。法的には後見人だが、血縁上は、ただの他人だ)


この認識が、俺の中で、真美への「保護」という純粋な感情に、じわりと、熱を帯びた「興味」を混ぜ始めた。

彼女は今、傷つき、弱り切っている。

俺だけが、彼女を支える唯一の大人だ。

だが、俺は、彼女を「娘」や「妹」として見ることが、できないのではないか、という恐ろしい予感が、日に日に強くなっていった。

その日の夜、真美は荷物の整理で疲れたのか、早くに眠りについた。

俺はリビングで、アルコールを煽っていた。

パソコンの画面には、俺が手がけているデザインのラフスケッチが並んでいるが、まるで集中できない。

俺はふと、立ち上がり、真美の部屋のドアの前まで行った。

静かに耳を澄ませる。真美の、安らかな寝息だけが聞こえてくる。


(ダメだ。俺は、兄さんの残した大切な娘を守らなきゃいけないんだ)


理性はそう叫ぶが、ドアノブに手をかけたいという衝動が、俺の指先を痺れさせた。

俺と真美の間に存在する、「叔父と姪」という社会的な枠組みが、俺の「男」としての本能を、かろうじて押し留めている。

この均衡が、いつまで保てるのか。

俺は、自分の内部に潜む、この闇の欲望と、静かに向き合い始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ