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リディと共に会場へ行く。後からリディは会場の場所を知らないと言われた時は少し、いやだいぶ驚いた
「私がいなかったらどうするつもりだったのよ…?」
「ん〜?いやぁ、でもまぁこうして案内してもらってるんだもの、もしもの話なんてどうでもいいでしょ!」
「あのねぇ……」
でもまぁ、そんなものか。実際こうして私は彼女と会場へ行っている訳だし。でもなんか、言いくるめられた感じがちょっと悔しい
なんやかんやで入学式が始まると、リディを含め多くの生徒達はとても眠そうにしていた。その他の生徒達も寝ては居ないものの、大半が隠れてお喋りをしているのだった。
(理事長先生のお話、長すぎるわ)
かれこれ20分、ずっと話を続けられる理事長先生には少し尊敬するが、ほぼ誰も話の内容を聴き逃しているのは可哀想なものである。
ふと、周りの女子生徒達のお喋りが耳に入ってきた。
「ねぇねぇ、そろそろ生徒会長様のお話じゃない?」
「きっとそうだわ!早くあのお方のお声を聞きたいものです……!!」
「聞くところによれば生徒会長様、今年入ってくる生徒の中にお慕いしている方がいらっしゃるそうよ!」
「まぁ……!それは乙女心に火がついてしまいます!」
(生徒会長様って、カーリック様のことよね……)
今年入る生徒の中にお慕いされている方がいるのね。どうして早く言ってくださらなかったのかしら!そのお方を早く見つけて婚約破棄しなければ……その方が、きっとカーリック様は幸せだわ
(……こんな一方的な婚約よりね)
本来はただの幼なじみのような関係だったのだが、お互いの家紋の仲がよくまた私たちの仲も良かったものだから勝手に婚約が決まっていたのだ。
(まぁ私も他の殿方を知らないのだけれど)
自分でも、他の令嬢に比べ全く夜会やお茶会に出ていない事は知っている。そもそも義務以外でパーティーには出ないのだ。
(行こうと思ってもカーリック様との同行だし……)
そう何故か夜会もお茶会も行こうと思うとカーリック様と半強制的に行くことになるのだ。自分の隣りにとんでもない美形がいたらそれはもう夜会どころじゃない。全くもって楽しめないのである。
(最初はこっそり自分だけで行って怒られたなぁ)
そのうちに段々と夜会に行かなくなり、ただの引きこもりが誕生したのだった。
悶々と考え事をしている間に理事長先生のお話が終わる。そろそろ閉会かな?
『えー、生徒会のお話。ブレイン様お願いします』
こつこつと足音を立てながらカーリック様が前に上がる。あちこちから小さいながらも黄色い悲鳴が聞こえてきた。先程まで眠そうだった生徒達の大半が今は目を大きく開けてカーリック様を見ているものだから、笑っていまうのも無理はないと思う。
「この度はご入学おめでう。君たちにはこの国の未来に向けてーー」
なんか、風格がすごいわ……彼の周りに薔薇が見えてしまう
「ーーこの後にある入学パーティーは生徒みな参加できるので、是非参加して下さいね。ありがとうございました。」
お辞儀をして退場すると思ったら、彼はこちらを向いて微笑んできた。いや、私では無いかも入れないけれど……ただ目と目がバチりとあってしまったので、こちらも一応笑っておいた。これら婚約者サービスなのか……?
周りはカーリック様の微笑みを見て一瞬フリーズしていたが、退場していなくなる頃には一部失神している人が出てきていたのだった。




