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長いです
「わぁー!!」
「ひゃっ、……だ、だれ?」
突然の大声に耳がキンキンするし頭も痛くなってきた。一体何があったというのか
ドアの方を見てみると、同い年ぐらいの女の子が購買かお店で買ってきたであろう紙袋を床に落としていた。パンが落ちているのにもかかわらず女の子はボケーッとしている。
「……えっと、こんにちは?」
女の子はまだ現実に追いついていないかのように、ボケーッとしたままこっちを見る。
「ハッ!初めまして!私リデーシア!気軽にリディって呼んで!あなたの名前は?」
気が戻ったかと思えばすぐ話しかけて来て少しびっくりする。リディの背が私より低いからか、少し犬に思えてしまった。
「え、あ私はフレイヤ。リアって呼んでくれると嬉しいわ」
「フレイヤ!いい名前だねとっても可愛い!雰囲気もおしとやかで綺麗だし〜私リアと同じ部屋でよかった!これからよろしくね!」
唐突な私への褒め言葉に戸惑う。女の子ってみんなこんな感じの距離感なのか……?いや、リディが近すぎるんだろう。
(ここに来るまではずっと家族かカーリック様としか会わなかったから…)
「…あ、そういえば なんでさっきあんなに大声出したの?」
「あー、リアちょっとこっちに来てくれない?」
一体どうしたのだろうか。疑問に思いつつとりあえずリディのいる場所に向かう。
「ここから見るとさ?ほら私たちの机とかリアの荷物がすっぽり壁で見えなくなってるんだよね」
「確かにベッドしか見えないね」
「そうなのよ!私さっき購買出てすぐ帰ったから人なんていないと思っててさ」
つまり、こういうことか。まずリディが部屋を出て購買へ向かう。購買で買い物をしている時、あるいは帰る、行く時に私が部屋に到着する。そしてリディか部屋に帰る時に私が見えず叫ぶ。綺麗なものである
「まぁ何もないと思ってた場所に人が居るとびっくりするものね」
「あはは、びっくりさせちゃってごめんね〜」
「別にいいよこの壁じゃしょうがないしね」
きっとわたしも同じことがあったら叫ぶだろうし
「お詫びにこのパン一緒に食べる?落ちちゃったけど」
「遠慮しとく。今お腹すいてないもの」
「そっかぁー、なら私も食べな〜い!」
「ふふっいいよ一緒に食べましょ?」
「ん!いいの!?やったぁ〜!」
ーーー夜
「ふわぁ〜明日はついに入学式かぁ……」
「明日から学園生活かぁ…馴染めるかな」
眠そうだったリディが急に目を開いてこっちを見てくる。
「なになに、不安なのかいフレイヤちゃ〜ん?」
なんだろう、馬鹿にされている気がする。
「別に?ただ、私の婚約者が学園にいるからちょっとね」
リディは少しびっくりしながら
「あら、リアったら婚約者がいるのねイケメン?」
なにか、獲物を狙うような顔で聞いてきた。
「ちょっとまって一応私の婚約者だからね?でもまぁ…かっこいい、よ」
自分で言いながら少し恥ずかしくなってしまった。きっと顔はとても赤くなっているだろう。カーリック様は誰が見てもかっこいいのだから別に事実なのに…!顔を見せたくなくて枕に顔を埋める
「…へぇ〜そういうね……ふふっ学園に婚約者が居る令嬢なんてごまんといるのだからきっと大丈夫よ。まぁかっこいい殿方であれば言い寄られる方も多いそうだけれど」
「うぅ〜……」
枕に顔を埋めたまま返事をする
「ごめんごめん、からかいすぎたわね。まぁ元気だして、お休みなさいリア」
「…うん、おやすみ」
そういえばカーリック様って今お慕いされれている方はいるのかしら?新しい婚約者を見つけるためには、知らなきゃ、よね……
(…ねむいしもう寝ましょう)
月明かりだけがらんらんと光る夜、ふとリディは起きてしまった。少し肌寒いので毛布をかけ直す
「リアもう寝ちゃってるわね」
「…あ、そういえばカーリック様のお慕いされている婚約者が今年ご入学されるのだったかしら」
ふと、リアを見る。月明かりに照らされる肌は絹のように美しく、この世のものではないように思えた。
(こんな美しいご令嬢、一度見たら忘れないはずなのだけれど……)
そういえばカーリック様の婚約者はあまり社交界に出てこなかったような…?色んな令嬢がお茶会に何度か誘ったようだが、そのどこにも行かなかったらしいし……
もう一度リアを見る。普通わざとでは無いにしても近くであんなに大声を上げられたら大抵の令嬢は嫌な顔するのだけれど…
少し、いやだいぶ他とは違うご令嬢……ずっと社交をしてこなかったかのような清らかさがあるように思えた。
「……まさかね」




