10※カーリック視点(2)
「体調、大丈夫ですか…!」
ぜぇぜぇと息を切らしながらリアは俺に聞いてくるり俺は、ありえないものを見たような気がした。はしたないとか、侯爵令嬢らしくないとか、そういうものじゃなくて、自分の為にここまで必死になっている人間を見たことがなかったのだ。
今までだって付きまとってくる令嬢たちは沢山いたし、政治的な関わりを持とうとして沢山の大人が寄ってきた。この子も、そうなのかもしれない。
「…なんで、来たんだい……?」
母親の腹を食い破って出てきた俺を心配する人は、この世に居ないと思っていた。上辺だけの、薄っぺらい同情なんて何の慰めにもなりやしないのに。
「なんでって……心配だったので。あっ、嫌でしたら帰りますわ、ごめんなさい…」
(心配?…俺に?)
急に、リアが驚いたような顔をした。なんだろうと思っていたら、その次はあたふたしているから見てて面白かった。
「や、やっぱり嫌でしたか…?!それとも何処か痛むのですか…?」
「いや、嫌じゃないよ。ありがとう来てくれて」
そう言うとリアはホッとしたような顔をして
「良かったです、てっきりそんなに嫌だったのかと……」
そこで初めて、自分が泣いていることに気づいた。自分でも驚いた。物心がついてから泣くことなんて一度もなかったはずなのに。
「…急に泣いてすまないね、ここには人が来ないから」
「え…」
そんなに驚くことだろうか。俺はこの屋敷の誰からも愛されていないのだ。当然だろう。そもそも母親の腹を破って出た俺を不気味がるのは当然だ。
「っじゃ、じゃあ今日は私が看病しますね!」
「……え?」
「ちょっと失礼しますね…わっ、けっこう熱い」
リアの手が俺の額に当たる。
「私ちょっとお水とタオル持ってきますね」
「…私と一緒にいたら、熱が移ってしまうよ?君は早く帰った方が良い」
私の看病など、別にしなくてもいいのに。こんなもの、放っておけばきっとすぐ良くなるのに。
「嫌です。こんな状態で帰る事など出来ませんわ」
驚いて、呆然としている間にリアは部屋から出ていってしまった。本当に水を持ってくると思わなかったんだ。
「ふぅ、これでよし……と」
リアは俺のおでこにタオルをのせて、傍にあった椅子に座る。
「……君は、私を気持ち悪いと思わないのかい?」
「え?何故ですか?」
リアは、僕の噂を知らないはずないのに……初めて、会いに触れた気がした。いや、愛と言うには幼すぎたけれど、温もりとか、優しさとか、自分の触れたことないものに戸惑いを覚えた。
「……えと、あの、今ここで言うべきではないのは分かっているんですけど……」
「どうしたんだい?」
「私の事、リアって読んでくれませんか……!その、将来け、けっこんを…す、するかもしれないので……あぁぁ、嫌なら構いませんよ!?」
「……あははっ!そうだね、じゃあこれからはリアって呼ばせてもらうよ。これからも宜しくね、リア」
「っはい!」
その笑顔をみて、少しだけ罪悪感が芽生えた。可哀想なリア、君はもう嫌と言っても僕から離れられないのに。なんて可哀想で、間抜けで可愛いんだろう。ずっと、ずっと一緒だよ。
(あぁ、まずは婚約の手続きを早めないとな)
そしたらリアはなるべく外に出さないようにしよう。ばれないように、少しずつ囲っていくんだ。他の誰にもリアを見せないように。大好きだよ、リア。
投稿出来なくてごめんなさい、私情で忙しいため一時休載します。次の更新は3月を予定しています。




