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無垢な天使

作者: 小雨川蛙

 

 誰もが記憶しているのに記録に残らないというものがある。

 それらは所謂都市伝説となり、まことしやかに語られるものだ。

 例えば『無垢の天使』と呼ばれる謎の天使にしたってそうだ。


 伝説の概要は実に簡易なものだ。

 つまりXX年前、突如として世界中のテレビに一瞬美しい少女の姿をした天使の映像が流れた。

 テレビ局に彼女の正体を尋ねる者が殺到したが、テレビ局もまた答えることが出来ず、そもそも『何故彼女が映ったのか』さえも分からなかった。


 この都市伝説の異質さは『誰か』が語っているのではないことだ。

 つまり、範囲があまりにも広いため例えば学校のクラスメイトが30人居たとして6~7人程度は実際に天使の姿を『見ている』のだ。

 会社の小さな部署ならば下手をすればほぼ全員が見ている。

 何なら、ばっちりと録画されていたりもする。

 そうであるのに人々は彼女が何者であるのかを知らない。


 映像に残る天使は何も語らないまま笑顔を残しているだけだ。

 その無垢な表情を全世界に向けたまま。




 時は遡ってXX年前。


「準備出来たよ」

「ありがと! あなたってやっぱり最高ね!」


 少年の声に少女が歓声をあげる。


「だけど、本当に一瞬しか出来ないからな? それに二度目はない」

「いいの! ちょっと待ってね、表情作るから……よし! これでいい!」


 何か月も前から準備していたお手製の白い羽は白黒の画面でなら本物にしか見えないだろう。


「よし! 準備OK! いつでもこい!」

「はいよ」


 そんな言葉と共に少年は少女の一世一代の舞台のためボタンを押す。


「はい。おしまい」

「え? これだけ?」

「言ったじゃん。一瞬だって」

「ええー……」

「ほら、ビデオ見てみよ」



 後に残る影響の大きささえ知らず、二人の悪戯は一瞬で終わった。

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