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第4話 来訪者

人生の分岐点同様。出会いもまた偶然で予測できない物です。勿論その偶然を回避することは誰にも出来ないのです。そんな第4話。

 さて、相変わらず使用人(仮)をしている俺だが、そんな俺の、勉強以外唯一の仕事。それがフィオの話し相手兼散歩の付き添いだ。


「ハルカ!ハルカ!次あそこ!あそこに行きましょう!」

「ちょ、わかったわかった。わかったからフィオ。落ち着いてな?」


 そんな訳で俺達は街に繰り出していた。転生初日は迷ったが今となっては慣れたものだ。


「というか、毎日毎日同じ道通って飽きないのか?」

「全然!だって昨日の街と今日の街は違うもの!」

「そんなもんかなぁ」

「えぇ!だって変わったからこそあの日私は貴方を見つけることができたんですよ?」


 あの日彼女が俺を見つけたのは、それが彼女のルーティンであったからだ。その日もフィオはいつも通り街を散策し、噴水でへたり込む珍しい黒髪の不審者を見つけ声をかけたという事らしい。


「それで、今日はどうするんだ?」

「勿論それは、っ!」


 そこまで言ったところで彼女の表情が強ばる。思わずその視線の先を見遣れば、何やら物々しい雰囲気を纏わせた鎧の集団。しかしその装備はこの街の見慣れた騎士達とは違う意匠で、彼らの先頭には女性が1人。それがこちらへ近づいて来る。


「どうして...ここに」

「フィオ?」


 フィオの様子がおかしい。いつもの元気さは鳴りを潜めそれどころかその顔には恐怖と怯えの表情が見える。


「フィオ?大丈夫か?」

「あははは!いたいた見つけた久しぶりねぇ、フィオ?」

「お、お久しぶりです、ミラお姉様」

「お姉様!?」


 フィオに姉がいたとは知らなかった。思えば、俺は彼女について何も知らない。彼女は好奇心旺盛で様々な物に興味を持つが、反対に自分の事は語らない。が、今そんな事はどうでもいい。フィオの前に立って目の前の女を見据える。鎧集団は15人程度。最悪フィオを抱えて逃げる事は出来そうだが、俺が行動を動くより先にフィオが俺の横に出て口を開いた。


「ミラお姉様、今日は一体...なんでこんな所まで」

「あらぁ酷い。大事な大事な"妹"に会いに来ては行けないのかしら?」

「い、いえ、でも事前に連絡を下されば迎えに行きましたのに」

「ていうかそんなことはどうでもいいの。単刀直入に言うわよフィオ」

「貴女私の下に付きなさい?貴女程度でも味方につけると多少の武器には使えるわ」


 は?この女今何て言った?使える?この子を使えるって言ったのか?


「おい姉様」

「?何かしら」


 気がついたら声が出ていた。ミラと言われた女を睨みつけて続ける


「突然やってきて好き勝手に言ってくれるのはやめて欲しいね」

「はぁ〜?何お前、姉妹の会話に口出さないでくれる?」

「ハルカ?」


 更にフィオを一歩下げ反対に一歩前へ出る。ミラの雰囲気が変わる。怒りと殺意に満ちた目が俺を見据えるがこちらとて今更止まらない。


「お前この子のなんな訳?ムカつくイラつく、少し黙ったら?」

「最近雇われの住み込み使用人だ」

「使用人?は?使用人風情が私に意見をしたの?」

「ダメ!ダメ!ハルカ!」


 瞬間、唐突に抗いようのない力で地面に叩きつけられる。意識を保つことはできたが全く動けない。何とか立ち上がろうと全力を出すがまるで動けない。まるで巨大な岩に潰されているようだ。


「が!?な、んだ!?」

「いい気味、無様ね愚かね、さぁ、そのまま潰してあげる」

「待って、待ってくださいお姉様!使用人の無礼を詫びます。申し訳ありません」

「だから、だから彼を解放してください。お願い、お願いします...!」


 突如体が軽くなる。震える足で何とか立ち上がり、無言で目の前の女を睨みつける。


「あはは!なぁんだ元気じゃない!もう少し重くしてあげても良かったかもね!」


 ミラは機嫌を取り戻したらしく、先程までと同じように楽しそうに笑う。


「ハルカ!ハルカ!大丈夫ですか!?」

「フィオ...悪い...」

「あはは!いいわいいわ!そこの愚か者に免じて引いてあげる。でも忘れないでね?」


 今までの楽しそうな声とは違う、氷すら温く感じる程冷えきった声でミラは言った。


「いつまでも逃げ続けられると思わないことね?」

「それでは、精々御機嫌よう」


 そうして笑いながら去っていくミラ達に何も言えず、俺は安堵してフィオを抱き寄せる事しか出来なかった。

ダルタニア家は、長女未登場 次女ミラ 3女フィオの三姉妹です。なんでこんなに性格違うんだろう?

オマケキャラプロフィール フィオ・ダルタニア

年齢 19歳

身長 155cm

体重 48kg

性格 好奇心旺盛だが寂しがり屋

容姿 流したブロンドの髪に碧眼 大きくて愛嬌のある目をしている。

好きな物 優しい人 本

嫌いな物 無い(苦手な物は実家)

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