このスキル…使いこなせるのか!?
※この作品はAIによる構成補助を受けています
「水、水くれ…!」
ダンジョンから戻ったアスト・クロスは、ギルドのカウンターに突っ伏しながら呻いていた。
全身から モクモクと湯気 を上げ、汗でぐっしょりと濡れている。
「……もう、アンタ本当にバカなんだから…」
セリア・ストラウスが隣でため息をつきながら、差し出したコップを叩きつけるように置いた。
「ほら、水」
「ありがとう!!」
アストはコップをガッと掴み、勢いよく飲み干した。
──が。
「……足りねぇ!! もっとくれ!!」
「うるさい!! 何リットル飲む気よ!!」
セリアの怒声がギルドに響き渡る。
ジーク・バルハイトは肩をすくめ、アストを見下ろした。
「しかし、本当に1ヶ月このスキルで戦うんだよな?」
「……あぁ」
アストは力なく頷いた。
【赫灼の歪】。
視界が真っ赤になり、敵味方の区別がつかなくなる代わりに 攻撃力・反応速度が跳ね上がる 。
だが、その代償として スキル使用中に体温が異常上昇し、熱暴走状態になる 。
ダンジョンでは勢いで乗り切ったが、冷静になってみると これ、普通にヤバいんじゃないか?
「……なぁ、ギルドでこのスキルについて調べてもらえないか?」
「うん、最初からそうしなさいよ!!」
セリアが頭を抱えながら叫ぶ。
⸻
ギルド支部・受付カウンター
「……またアンタ!?」
ギルドの受付 カレン・ファーベル は、アストの姿を見た瞬間、顔を引きつらせた。
「よぉ、カレン! 元気してるか?」
「してないわよ!!」
カレンは机にバンッと手をつき、呆れ果てた顔をする。
「また訳の分からないサブスクを契約してきたんでしょ!? で、今回は何!?」
「いやぁ…ちょっとスキルの副作用で 発熱して燃え尽きそう なんだけど、なんとかならない?」
「ならないわよ!? ていうか、普通そんな契約しないでしょ!!!」
「まぁまぁ、とりあえず解析頼むよ」
「はぁぁ……」
カレンは大きくため息をつきながら、ギルドの研究室に連絡を入れる。
⸻
ギルド研究室
「お楽しみ契約、か」
アストのスキルを解析しながら、研究員 ヴィクトル・シェリード が呟いた。
「ふむ…やはり記録がないな」
「ですよねー」
アストが肩をすくめる。
「お楽しみ契約ってのは、そもそも 正式なサブスクデータに存在しないらしい 。
つまり、従来の契約とは別のシステムで動いている可能性が高い」
「な、何よそれ…」
セリアが眉をひそめる。
「つまり、俺のスキルって…よく分からないものなのか?」
「まぁ、そういうことになるな」
「おいおい、適当すぎない?」
アストが笑いながら言うと、ヴィクトルは 「いや、まだあるぞ」 と、さらに書類をめくった。
「お前のスキルだが……やはり制約があるようだ」
「制約?」
「まず、スキルの効果時間が限定されている 」
「……え?」
「熱暴走が発生するまでの 最大時間は5分 だ」
「は?」
アストは眉をひそめた。
「いやいやいや、俺、ダンジョンで普通に10分くらい戦ったぞ?」
「それが問題だ」
ヴィクトルが書類を机に置く。
「スキルの制限時間を超えて無理に使い続けると──」
「……どうなるんだ?」
「最悪、身体が燃える。 」
「………」
「はぁぁ!?!?」
セリアが絶叫する。
「ちょっと、冗談でしょ!? そんなスキル、どうやって使いこなせばいいのよ!!」
「いや、そもそもお前のダンジョンでの戦い方、完全に限界突破してたんじゃないのか?」
ジークが呆れ顔で言う。
「つまり、俺は無自覚にヤバいラインを超えてたと」
「そういうことだな」
ヴィクトルは頷いた。
「……ま、まぁ、戦闘時間を5分以内にすればいいだけの話だろ?」
「どこから来るの、そのポジティブさ!!!」
セリアが再び頭を抱える。
⸻
その夜──
──カラカラカラ。
「?」
再び、スロットの回転音が聞こえた。
「いやぁ、楽しめたみたいだねぇ?」
「お前か」
アストは目を細める。
ベッドの横、月明かりの中に ピエロ(仮) が立っていた。
「なんか、また色々分かっちまったぞ」
「そうかい? でも、それが面白いんだろ?」
ピエロ(仮)はくるくると踊るように歩く。
「それに、まだまだ時間はある。
キミはあと 1ヶ月、このスキルを存分に楽しむことになる 」
「……1ヶ月後には、新しいスキルがもらえるんだよな?」
アストが問うと、ピエロ(仮)はニヤリと笑った。
「もちろんさ。
それまで、キミがどうやってこのスキルを使いこなすか……楽しみにしているよ?」
「……」
アストは拳を握る。
「まぁ、やるしかねぇな」
※次回、スキルの本格的な訓練開始!?