俺のスキル、火を吹くぜ!(なお、右手が滑らなくなるだけ)
※この作品はAIによる構成補助を受けています
「よし、次の部屋だ!」
アスト・クロスは満面の笑みで、ダンジョンの扉を蹴り開けた。
──ガチャリ。
中にいたのは魔物、ゴブリン三体。武器を構え、警戒している。
「さあ、こいつで決めるぜ!」
アストは自信満々にスキルを発動する。
「《右手が滑らなくなる》!!」
……シーン。
パーティの全員が沈黙した。
「なにそれ……」
セリア・ストラウスが眉をひそめる。
「いや、名前の通りだよ。右手のグリップ力が強化されて、武器を落とさなくなるんだ」
「……だから?」
「だから、めちゃくちゃ強いって!」
アストは剣を構え、ゴブリンたちに突っ込んでいく。
「おおおおお!!」
ブンッ! ゴブリンの攻撃をかわしながら、アストは剣を振るう。
──たしかに、右手が滑らないおかげでしっかりと剣を握れている。
だが、そんなの普通に握ればいいだけでは?
「バカなの!? そんなのスキル使わなくてもできるでしょ!!」
「いやいや、この絶対に滑らない安心感! 最高だろ!」
「意味わかんない!!」
アストがゴブリンを倒すと、今度はジーク・バルハイトが肩をすくめた。
「まあ、こいつのことだからな……」
「勝てるなら手段はなんでもいい」
イリス・ヴァルトは淡々とした口調で言った。
「だろ? 俺はこういうスキルを楽しむんだよ!」
アストが意気揚々と次の部屋へ進もうとした、そのとき──
突然、背後から妙な気配がした。
空気が、揺れる。
ダンジョンの奥、暗闇の中から、不気味な笑い声が聞こえてきた。
「キミ、面白いねぇ」
ゾクッ。
全員が一斉に振り返る。
闇の奥から、カラフルな服をまとった道化師──ピエロ(仮)が、ニヤリと笑っていた。