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第4章 学問のススメ

学問のススメ 福澤諭吉さんの著書です。これも青空文庫で。

さて、勉強ってなんのためにするのかな。将来のため?面白いから?

教育の目的って教育基本法に定められているんですけど、大きく分けて2つあります。でも、今の学校教育でこれって具現されているのかな?

第4章 学問のススメ


通子は変身した。今時の子ではあったのだが、大人となったように見える。精神的にも体つきも。その点由美子の変化は少ないようにも感じる。確かに体つきは大人っぽくなったが、気持ちの面に体がようやく追いついてきたと言った方が良いかもしれない。通子の変化はやはり由美子の影響が大きい。ただし、それは通子がそれを受け入れられるだけの成長をしてきたからだろう。


なんか不定期の読書会みたいになった由美子と通子の図書室での一緒の読書。二人の時間が放課後に重なるのは珍しいので、月に1~2回程度なのだが。

今日は本を選ぼうとする前に由美子がランドセルの中からA4のコピー用紙の束を取り出した。どうやらパソコンで印刷されたものらしい。

「また由美子ったらへんな本というか、何かを選んできて・・・。」

「『学問のススメ』、前の一万円札の人が書いたの。前から興味はあったけど、変な言葉遣いだから避けてた。でも、『青空文庫』にあったのを見つけたから。」

「前の一万円札って・・・、福沢諭吉だよね。パパがありがたそ~うに『諭吉さん、諭吉さん』って呼んでたから。」

「明治時代のすごい人みたい。『慶應義塾大学』のもとを創った人なんだって。外国の言葉で、それまで日本にはあまり馴染みの無かった概念を日本語に訳したらしいし、この『学問のススメ』の著者でもあるの。」

「『天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず』って言ってた人ね。なんとなく聞いたことがある。それだけ有名な人ならこれから社会科の教科書に出てくるかも。」

「うん、その言葉、『学問のススメ』の冒頭の言葉なの。」

「私でもなんとなく分かる。人は皆『平等』ってことよね。」

「これって『キリスト教』の文化から来ているのかしら。キリスト教は絶対神、つまり絶対的な神様がひとり居て、それ以外って感じかな。神様は天国に居て、下界でうごめく罪深き人間に対して教えを守ればやがて天国で暮らせるようにしてやるという契約を人間と交わしたの。神様と神様じゃない者が明確に分けられ、神様じゃないものはみんな同じなの。」

「まるで0か1のデジタルの世界みたいね。そして、0以外は十把一絡げか。それにしてもまた小難しいことをどんどんと・・・。」

「村上先生の受け売りかな。確か宗教の話になったときにそんなことを言ってたような気がする。!、そうだ。村上先生のところに行って一緒に読書しよう。」

「村上ちゃんのところ?由美子が去年、夏休みに行ったみたいに?」

「うん、きっといろいろな話になると思うし、面白いよ。」

「小難しい話、大丈夫かな?由美子ならいざ知らず。」

「んなことないって。村上先生も喜ぶって。」

由美子たちは道具をまとめると教務室に赴いた。引き戸を開けると何人かの先生が振り向いた。

「6年1組の由美子と通子です。村上先生にご用があって来ました。」

村上は山のようなテストの丸付けをしていた。今はSSSスクールサポートスタッフの皆さんが定期的に学校を訪問し、丸付けや教材の印刷などのお手伝いをしてくれる。しかし、今日は訪問日じゃなかったらしい。

由美子と通子は村上のところへ行き、にこりと微笑む。

「おい、悪い予感・・・。しかも、教務室に入るときにお前たち、ファーストネームだけかよ。」

村上がつぶやく。

「先生、通子と読書しているんですけど、一緒に来てくれますよね?」

「それ、もはや意向を聞く段階を通り越しているよね。」

斜め前の女の先生が、こちらを見ないようにくすっと笑う。

「相談室が開いているの、さっき確かめてきました。」

再び、くすっと笑い。

(今年も夏休みはなさそうだ・・・。)

由美子が先頭で教務室を出る。通子が村上の腕を引っ張っていく。

(由美子って、村上ちゃんと全然距離感がない・・・。由美子、それってくやしいでしょ。)

相談室に入ると村上を前に、由美子と通子が並んで座る。

「今日は通子もいっしょなんだな。」

「それ、嫌ってことですか?」

「何言ってんだ通子、俺は嬉しい。なんか通子も大人として話が出来そうで。」

「そうですか。今までお子ちゃまで悪かったですね。しかもなにげにすっかり『~さん付け』止めてるし。」

「(ちょっとトゲがあるな)申し訳ない。でも、嬉しさにウソは無い。5年生の時と気持ちは同じだよ。いや、もっと近づいているつもりだし、もっと近づこうと思っている。もう、君たちと過ごせる時間は12ヶ月を切っている。パブリックでは当然『~さん付け』をするけど、特別な指導の場ではプライベートスピーチでいこうかなって気になっているし・・・。」

由美子はランドセルからコピー用紙の束を取り出すと村上に渡した。

「青空文庫のヘッダーがある。ん?『学問のススメ』・・・?、前の一万円札か・・・。あらまた、なんで?」

「村上ちゃん、由美子と同じ事言っているぅ~!ひどい。」

「はあ?」

「で、先生。先生は『学問のススメ』って呼んだことありますか?」

「それなりに前の方だけ・・・。」

「で?」

「要するに人間は皆平等に生まれてくる。でも、富める者も貧しき者もあるのは、学問による。よって学問を納め、立派な人間になっていこうということかな。その後、国家論にも言及していたような気がする。」

村上はコピーの一部を指さした。

「ここだ。」

----------------------------------------

人は生まれながらにして貴賤・貧富の別なし。ただ学問を勤めて物事をよく知る者は貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるなり

----------------------------------------

「由美子は教えたから分かると思うが、福沢諭吉は松下幸之助が言っていたことと同様のことを述べている。おそらく松下幸之助も福澤諭吉の思想に影響を受けているんじゃないかな。ほら、国家、国民を論じているのはここ。」

「---------------------------------------

国の暴政は必ずしも暴君暴吏の所為のみにあらず、その実は人民の無智をもってみずから招く禍なり

----------------------------------------」

「これらは初編なんだけど、確か、2編には『学問のススメ』の意義が述べられていたような気がする。読み書きだけじゃなく、常識を身につけろって。そうだ、ここかな。」

「---------------------------------------

この書の表題は『学問のすすめ』と名づけたれども、けっして字を読むことのみを勧むるにあらず。書中に記すところは、西洋の諸書よりあるいはその文を直ちに訳し、あるいはその意を訳し、形あることにても形なきことにても、一般に人の心得となるべき事柄を挙げて学問の大趣意を示したるものなり。

---------------------------------------」

「昔の人ってこんな言葉遣いしてたんですね。『あらず』とか『なり』とか、時代劇に出てきそう。」

「いや、昔は『書く』と『話す』で言葉遣いが違っていたんだ。『文語』と『口語』という。それが、明治の中頃だろうか、小説家の二葉亭四迷が「浮雲」という小説で『口語』への統一を図ろうとしたんだ。その後、他の小説家達も「言文一致運動」を始めて今に至る。確か大学入試の時に勉強したと思う。」

「それって、歴史的にチョーヤバかったってことですね。」

「時代の移行期って言いたいのかな?そういう通子の日本語もなんか過渡期のような気がする。またしても日本語が大きく変わりそうな。」

「先生、手でうだうだ書いていた時代はもう過去なんです。今メールやチャットが主流だから長い文は読んでもらえない。短くしていくとこうなるでしょ、先生。時代に合わせるときっとこうなるんです。ね、由美子もそう思うでしょ。」

「まあ。」

「確かに文化か・・・。」

村上が自分のあごをなでる。

そこで突然、由美子が叫んだ!

「先生!通子!録画のポーズ!!」

村上と通子がとっさにポーズをとった。村上は肘を曲げて手のひらを上に向け、なんかを乗っけているポーズ。通子は腕を伸ばして親指で何かを支えているポーズ。手を叩く由美子。

「先生、それビデオカメラですよね。通子はスマホね!文化、文化。時代と共に変わっていますね。」

「なるほど、確かに。負けた・・・。」

二人ともそのままの姿勢でうなだれた。

「由美子って、昨年から別人のように明るくなったね。もう。」

通子がウィンクを飛ばす。そして村上はもうリセットして

「で、さて。二編では政府と人民の関係をこんな風に説いている。」

「---------------------------------------

元来、人民と政府との間柄はもと同一体にてその職分を区別し、政府は人民の名代となりて法を施し、人民は必ずこの法を守るべしと、固く約束したるものなり。

----------------------------------------」

「国民と政府はイコールであり、だから政府は国民のために法をつくるし、国民はその法を守らなければいけないという約束がもともとにある。そして、この後の論で、国家も個人と同様に平等でなければならないと説いている。で、・・・・・。」

通子ではなく、由美子がさえぎった。

「先生?ちょっとまたひどく脱線してません?『学問のススメ』って要は勉強しなさいってことでしょう?先生、いや先ずはじめに通子はどう考えている?なんで勉強しなきゃいけないのか?」

「・・・。あんまり考えたことなかった。やんなきゃいけないからやるってのが正直な答えだけど、ママやパパは将来困らないようにって。・・・それじゃあ、由美子はどう考えているの?」

「『勉強』ってことがそもそもよく分からないんだけど、なんか新しい知識や経験って覚えたり考えたりすると楽しいからかな。だから、ドリルみたいな繰り返しはちょっと苦手かも。」

「ほう。」

「先生、『ほう』だけですか?・・・てことはすぐに自分の考えは言わずに私たちに深掘りさせようと・・・。」

「なるほど、由美子と先生ってこんな感じでやりとりしてたんだ。じゃ由美子続けて。深掘りしてみようよ。」

「OK。で、去年から先生と話をする中でひとつ気付いたのは、自分が職や家族を得て、幸せになるっていう『打算』的なことじゃなくて、好きなことを貫き、自分がやりたいと思ったことを突き進むための勉強・・・いや学びってことかな。福沢諭吉さんは、『学問をしないものはダメ人間になる』みたいなことを言っているように読み取れるんだけど、視点はそこじゃなくて、どこまで本気で好きなことを貫いているかってことに当てるべきだと思う。去年フォン・ブラウンって人を評価しようとした時にそんなことを感じたの。まあ、そこまで熱中するものに出会えるってとても幸せなことなんだと思うけど。」

「あ~、去年、由美子がのめり込んでいた『彼氏』ね。お兄さんもある意味ヒコーキオタクだし。なんか分かる。説明はほぼアラビア語みたいで、絨毯じゅうたんにのって飛んでったけど。」

「まあ彼氏じゃないけど、すごい人なんだって思った。彼って、あまり勉強が好きな方じゃ無かったらしいけど、それが宇宙に行くために必要だってなると猛勉強して学校でトップになったらしい。ある意味、完全にオタクなんだけど、本気のオタクパワーってすごい。学問って福沢さんの言うような、なんか常識人になるための手立てとは違ってきていると思う。」

「でも、なんかそういうのって、難しいような気がする。好きなことだけやってるわけには、やっぱり、いかないよね。」

「ほう。」

「今の自分を振り返ると、なんかやりたいことって全部我慢させられて、やらなきゃならないことに追われている感じ。オタクって名称は、やっぱりあまり良い意味では使われてないんじゃないかと思う。」

「ほう。昔に比べればよくなったとは思うが、別の窮屈さがものすごく膨らんできたようにも感じる。やりたいことに蓋が被さっている感じかな。通子の閉塞感って、蔓延まんえんしているようにも思う。」

通子がお腹を押さえる。

「へそ、かん?万円?」

「閉・塞・感、たいへん窮屈きゅうくつでにっちもさっちもならない感じかな。」

「うん、それってある。6年生になってから特に強くなった気もする。」

通子が無理矢理”のび”をする。


「ほう?」

「『6年生だから、休み時間が終わったら、自分が出した出さないに関わらずにボールを片付けようとか、いつでも自分から元気に挨拶しようとか、強制されることが増えた。元気に挨拶したくない気分のときだってあるのに・・・。」

「ほう。」

「先生、ふくろうじゃないんですから。『ほう』ばっかりじゃ。」

「まあ、『登竜門』って言って成長するための壁って、私は必要だと思うが、通子の言い分も分かる。」

「先生って時々古い言葉を持ち出してきますよね。登竜門って鯉が川をさかのぼり、大きな滝を登ると龍に進化する、その滝を登竜門って呼ぶんですよね。一皮むけて成長するためのハードルってところかな。」

由美子が念のため解説する。

「まあ、そんなところだ。今は登竜門以外にもなにかハードルがたくさん有り過ぎてみんな疲れ果てているってところかな。」

「そう!そんな感じ!!もうだめ、滝から落っこちて、滝壺の底に沈んで、もう二度と浮き上がれないみたいな・・・。そんな中でオタクを貫いている由美子はすごい。」

「え?私、オタク?」

「もち、読書オタク。」

「まぁ、間違いではないと思うけど。通子はさっき、良い感じの言葉でないって・・・。」

「みんながオタクとは言わないまでも、やりたいことがあるんだから、嫉妬に近いものがあるんじゃない?」

「なるほど。通子すごいね。心理分析みたい。みんな実はオタクに焼いているんだ。」

「私も由美子に焼いてるところ、あるよ。」

「おい、通子!なんで俺をにらむんだよ(お、こわ)」

「先生、オタク、好きでしょ。」

「まあ、嫌いじゃないが。」

「オタクの由美子、自分のものにしたいでしょ?」

「はあ?」

「また通子、そんなこと言う。先生に失礼だと思う。」

「ごめん。でも、村上ちゃん、由美子のこと好きだから。」

「もちろん、通子も由美子も教え子として大好きだよ。それは間違いない。そしてそれと違う感情はない。(キッパリ!)」

「なんか『学問のススメ』が『オタク』の話になっちゃいましたね。いつもの通りの脱線。」

「いや、脱線でもないさ。まあ、勉強とか学習とかなぜしなければいけないかという、学生には大事な話だし、きちんと考えておくべき事だと思う。」

「もちろん、決まった答えはないんですよね。自分なりに今時点での考えを確立すればいいということですね。いつものように。」

「まあ、そんなところだ。・・・で、法律にはどう書かれていると思う?」

「勉強しろって法律に書いてある?いやだぁ!」

「先ず憲法。日本人の3大義務は何だ?」

「労働の義務、納税の義務、子供に教育を受けさせる義務です。」

「そう、その教育の義務だが、日本国憲法の第26条にはこう書いてある。『 1 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとし く教育を受ける権利を有する。 2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教 育を受けさせる義務を負ふ。 義務教育は、これを無償とする。』つまり、教育を受ける権利と子供に教育を受けさせる義務が書いてあり、憲法には君たち自身が勉強しなくてはいけないなんて書いてないよな。権利はあると書いてあるけど。そして、第23条には『学問の自由は、これを保障する。』とあり、学問の自由が保障されている。」

「えっ!自由って算数が嫌だったら勝手に図工とかに変えていいの?」

「いや、もちろん違う。何を研究しようとしているかは自由で、国から邪魔されることは無い。ただし、これは大学を対象とした法で、義務教育の君たちにも、我々にもはあまり関係ないけどね。それに自由と勝手は違う。」

「算数の時間に図工をしたいってもダメってことですか?勉強の自由じゃないんだ。」

「そういうことだ。君たちには大人と違って手厚く保護されている。その中で大人として社会に出ても生きていけるよう最低限の知識や技能、考え方や態度を身につけるための義務教育だ。保護されている分、制限されることや強制されることもある。」

「なあ~んだ。」

「『なあ~んだ』か。じゃあ、義務教育の学校もなく、全く自由だったらどうだ。」

「図工人間になっちゃう。あ、でも学校もないから図工もないんだ。となると何を勉強していいか分からない。」

「まあそんなところだ。だから『学習指導要領』があり、カリキュラムにしたがって全国一律に学ぶのさ。」

「でも先生、先生って全国一律じゃよくないっておっしゃってましたよね。」

「ああ。でもそれは地方の特色がほとんど考慮されていない点を言ったんで、日本語とか足し算、引き算、かけ算、割り算なんか、全国一律であった方がいいものもある。」

「あと、昨年の夏、お話に出てきた国家としての基本というか、なんと言ったらいいんだろう。私は女の子でも本を読んだり勉強がしたい。それを否定する一部のイスラムの国とは真逆で、それが許されるというか、それを価値として認めてくれることを学ぶこと。道徳かな?それも私は国として必要なことなんじゃないかと思う。」

「それも一理ある。でもね、結局女子に教育をさせないとか、させるとか、あまりにも国が決めるような仕組みを作ると独裁的な人が出てきた時に大変なことになる。そこはとても難しいところなんではないかと思う。で、我々の立場で定められている教育の目的何だけど『教育基本法』という法律で『教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値を尊び、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない』と書いてある。要は平和な世の中を形作る人であり、立派な(?)国民を育てること目的とするってことだ。」

「もう、村上ちゃんも由美子もムズい!勝手な勉強は確かに違うという感じはしたけど、やっぱり勉強は楽しい方がいいな。」

「どきっ!通子、先生の授業は楽しくない?」

「まあ、69%くらい楽しい。」

「微妙だなぁ。」

「まあ、50%を大幅に超えてるんだから大きく合格じゃない?うちの学校でも50ぱ切ってる先生もいるから。」

「先生方を値踏みしてる・・・。」

「でも、やっぱり勉強って将来に備えての部分が大きいように思いました。特に義務教育の私たちには。」

「でもね、まあ、勉強と学問はちょっと違うと思うんだ。『学問』は福沢さんの言うような実学的なことだけじゃなく、フォン・ブラウンのような夢の追求であって欲しいと思うんだよ。なんかこう自分に目をむけるというよりは人類全体の発展というか、そんなところに目が向いているような気がする。最終的には同じゴールにたどり着くことも少なくないんだけど。」

「分かった。村上ちゃんが言いたいことは、勉強とか学問って自分のためでもあり、世の中のためでもあるってことねっ。」

「通子、すごい。そうだよ。お前、いい!」

村上は思わずハグするポーズ。(単純に言えば、全く通子の言うとおりだ。)

「村上ちゃん、褒められるとここらへんが熱くなる。ホントにハグしていいよ。」

「気持ちはハグしたいけど、やっぱりそれは無理。」

「ケチッ!もう意気地なし。」

「通子、それ以上先生をいじめちゃダメ。」

「ハイハイ。」


-----------------------


「読書会って、結局読書会じゃないんだ。」

帰り道、通子が由美子にぼそっと投げかけた。

「あ、そうかも。去年の夏休みも結局今みたいだった。」

「ふ~ん。」

「でも今日はちょっと違った。去年はほとんど落としどころがないまま終わったような気がするけど、今日は通子がストンとまとめから、すっきり感がすごい。通子といっしょでよかった。」

「いや、それって二人が変に話をこじらせていくからでしょ。全くもう。」

ランドセルがふたつ学校から遠ざかっていく。


学問のススメ(福澤諭吉)のことをこの章では「実学主義」のようにとらえているように書いていますが、単なる実学主義ではないとも思います。ここは読んだ方がそれぞれ思いを巡らす部分だと思います。


この章は急いで書いたので後ほど修正が入ると思います。済みません。他の章もかなりいいところまで出来ているのがありますので公開も間近と思います(が)。


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