第11章 類は友を呼ぶ
「類は友を呼ぶ」残念ながら悪い意味で使っています。国内外の政治状況について村上の独白、つまり独り言ですね。
ちなみに何度も申し上げますが、この作品はフィクションです。実在を思わせるような人物も登場いたしますが、それらも全てフィクションです。(※後書き参照)それらの人物だったらどんなことをしゃべり行動するのか、思考実験的に作り上げたものです。よって作中の言動については作者の意図や考え、思想・信条とは無縁のものでありますので、責任は負いかねます。
第11章 類は友を呼ぶ
村上はサークルの自主研修などがないときには遅いときでも9時までには家に着くようにしている。今日はめずらしく缶ビール片手にニュースを見ている。ウクライナとロシアの停戦合意から、停戦期限までついに1ヶ月を切った。それまでに双方とも合意したラインまで軍を引き上げなければならない。しかし、ロシアは依然として、いやそれどころか攻撃はさらに激しさを増しているというニュースだった。また国内では年度内に成立しなかった予算のため、各地の公共事業が滞り、地方では支払いが出来ないために利息が膨らみ、さらに財政を圧迫しているというニュースだった。村上は残りビールを缶からコップに荒々しく注ぎ終えると力任せに缶を握りつぶした。
由美子、通子、そして俺(村上)も?・・・類は友を呼ぶというが、そんな関係?
だが、世界情勢はやばくなってきた。だれもが感じている。それは国内も国外もだ。
悪の枢軸も『類は友を呼ぶ』となってきたようだ。トランプ政権が誕生し、世界はますます混迷を深めるようになった。国内は国内で、与党が少数となったため、次年度の『予算案を人質』に野党が好き勝手を言い始めてしまった。これって国民生活を人質にとると同意義とも言えるのに、国民はどうもその感覚がない。どうもみんなが『木を見て森を見ず』であるように思えてならない。すったもんだした挙げ句、予算案の成立は3月下旬にずれ込み、年度内の成立が出来なかった。政策が滞るばかりか、結局は赤字国債を発行するはめになってしまった。予算案を年度内に通すのは与党の責任だ。しかし野党は責任がないような顔をしてしゃあしゃとしている。自分に火の粉が降りかからないからと言って、要求ばかり言い張るのは今の日本の姿を象徴している。なんか『ハイエナ』のようだ。ハイエナ立国にっぽんかよ。(注:ハイエナさん、ご免なさいだな)でもまあ各党の要求は悪いことを言っているわけではない。みんなが願っていることを言っているのだ。ただし問題は家に例えればこうである。それなりの預金はあるが、しばらく収入に見合わない支出を続けていたために借金は膨大に膨れ上がっている。そこに父母の弱みを握った子どもたちがそれぞれ勝手に要求をするになった状況と似ている。車が古くなったから安全機能がついた最新の車にしようとか、エアコンも省エネタイプにしようとか、要介護の祖父母のために家の中をバリアフリー化しようとか、地球温暖化防止に貢献するため、ソーラーパネルを屋根に設置しよう・・・みたいなものである。どれも大切でやれることはやった方がいいものばかりなのだ。しかし、入ってくるお金には限りがある。全部実現しようとすると借金しか方法はない。(もちろん切り詰められるものもないことはないのだが、それを予定していた誰かが、何かが切られることになる。)
しかし、それぞれ要求が通らないということをきかないと頑として譲らない。結局はまた借金が膨らみ、結局は将来的に自分たち(国民)が負担しなければいけなくなるということに等しい。今までの失態のツケを改革しようとした石破さんがなぜかそれを今までのことで責められているといった本末転倒のおかしな状況になっている。
世界情勢も厳しいこの中を自民党以外に乗り切れる野党がいない(と思われる)のが悔しい。野党は目先のことしか考えない、今世界で流行っているポピュリズム政権となるだろう。(短期しか政権をとったことがないから近視眼的なのもある。しかし、長期政権をとれるほどの力がないことは、国民がよく知っている)野党は政権をとることしか考えていない。その後のことを本気で考えていないようだ。まるで大学に合格するのが目的の受験生のようだ。本来なら何のために大学に行くのかが先にあると思うのだが。例えば先生になりたいからとか。野党は政策の見直しでまるで『打ち出の小槌を振る』ようにどこからかお金がどんどん出てくると思っているのではないか。具体的な案がない。「工夫すればなんとかなる(自民党が工夫してこなかったから)」・・・そんな簡単なことだったらとっくに今までやれているはずだ。決まった枠しかないのだから、どこかがよくなった分、どこかが痛みを感じるのだ。野党が力を持つと世界と同じように日本もポピュリズムの中をまっしぐらに進む道を選ぶのか・・・。
もう一点もっと気になるのは海外での動きだ。先にロシアとウクライナの停戦合意が実現した!・・・が、ひどいものだ。今までの欧米が「正義と民主主義」を大義に掲げて多大なる犠牲を払ってきたのに、それをあっさりと「名誉と金」にすり替えてしまった。プーチン大統領の要求を大幅に認め、停戦にあたって今までのロシア占領地域のほぼ全土の承認とウクライナが支配下におさめた地域の返還、ゼレンスキー大統領の退陣、ウクライナのNATO不加盟維持、ウクライナの復興と開発の利権(ロシアから独占的に)等をあっさり認め、それに反対していたウクライナへの支援を打ち切った。ウクライナとしては一方的とも言える停戦案をのむしかなかった。中にはアメリカに同調して支援を打ち切った国も出てきたが、ヨーロッパでは猛反対した国が多い。特にロシアと国境を接する国々はだ。停戦までにロシアは猛攻撃を仕掛けている。もうすぐ停戦の期限だ。短期に決戦すればよいので持てるだけの戦力をつぎ込み、少しでも合意に反して領土を拡大しようとしている。(また、ここが火種になるんだろう)ヨーロッパ各国では最後の抵抗に最後の力を振り絞って支援を続けているが。
そして重大な懸念は今回はまたしても国連が機能しなかったことだ。棄権した国もあるが、総会においてほぼ世界中全ての国がこのロシア戦勝と同義の停戦案には反対したのだが、見事安全保障理事会で覆されてしまった。生徒総会の議決が総務委員の議決でひっくり返されるようなもので、しかも委員の誰かが一人が反対しただけで。常識的にはあり得ない。でも、それが現世界の常識であり、現実なのだ。力ありきがまかり通る民主主義の崩壊だ。ついに最低ラインさえ切ってしまった。ウクライナの戦いは民主主義の戦いであった。やがて、それは弱き自分達に回ってくる。その時に信じる正義につくか、権力に媚びを売るか。生き方の問題なのだろう。グレイトになったと勘違いしているアメリカはこのままではいずれ死ぬ。そして、民主主義も。
村上はもう一本の缶ビールを冷蔵庫から出そうしてやめた。キリがない。
俺には漁夫の利をねらうトランプが、本来は敵であるプーチンと金目当てにつるみ、よってたかってウクライナから何もかも剥ぎ取ろうという恥も外聞もない暴挙に出たとしか思えない。いじめにあっている子に対して周りが必死でそれを停めようとしているのに、金を払えば助けてやると、逆に困っていることにつけ込んでその子から持っているものをむしり取ろうとするヤツらと同じじゃないか。ウクライナでの利権を得た以上、確かに今後アメリカが金銭的には一時的なメリットを享受するだろう。だが、それと控えに絶対失われてはいけないものをアメリカは差し出した。アメリカの国としての名誉と信用は完全に失われた。もう誰もアメリカを信じない。アメリカ離れは確実に進むだろう。嘘を平気で付くロシアはどこの国も信じる国はない。アメリカもついに仲間入りだ。類は友を呼ぶ。
日本も一時的ではなく、アメリカとは距離をおくというようにパラダイムを転換しなければならない。今のアメリカは金にならないとなると切り捨てるか、むしろ身ぐるみ剥ぎにくるだろう。(人々も国々もそう考えるようになった)そうなると、日本は自分で自分を守るしかなくなる。今はオーストラリア、フィリピンなどの東南アジア諸国、ヨーロッパと新しい枠組みを作ろうとしているが、おそらく各国も自国のことで手一杯だろう。そうなると、相手が通常兵器で攻撃してくるとしてもその相手が『核兵器』をちらつかせてくれば、日本が屈指ないためには『核武装』しかなくなる。(日本国内には有り余るほどの材料=使用済み核燃料が転がっているのだ。濃度は低いが46トンものプルトニウムもある。技術的にも条件的にもほぼそろっているが、作らないだけなのだ。)残念ながら。昨年、由美子に話したようにウクライナは平和と繁栄をもとめ、『核』を手放した。その後、クリミア半島、そして今回の侵攻である。(もし、ウクライナが核を手放さなかったとしたら、お互いに戦術核を使ったのだろうか?それは分からない)
こうなると台湾もきな臭さを増してきた。そしてなぜか北朝鮮もである。今は衛星から軍の動きも確認できる。ウクライナ侵攻も秘密の外交手段と衛星写真の解析で予測出来ており、異例の注意喚起が実施されたのだが、『まさか大国はそんなことはしないだろう』という常識に世界は出遅れた。そして今、トランプは北朝鮮のキムとも裏側で交渉を始めたという。北朝鮮というマーケットを手に入れるためなら韓国を見捨てることも辞さない?体制がどうであれ、朝鮮半島はトランプにとって都合のよいマーケットであればよいのだ。朝鮮半島は中国の言いなりにさえならなければいいのだ。最後の防衛線として日本もあることだし、日本が再び戦場になろうが、アメリカまで火の粉が飛んでこなければ問題はないと・・・。(そう言えば、ウクライナのゼレンスキー大統領はそんな態度のアメリカに食ってかかったっけ)中国がそこ(日本列島=フロントライン)を越えなければ別に台湾はどうでもよい・・・という判断に至るかもしれない。日本が万里の長城のごとく中国をせき止めておくためには日本の防衛力は強化しなければならない。それはアメリカが懐を痛めるのではなく、あくまで日本の問題だ。・・・すぐに壊滅してしまうのか、アメリカが準備を整えるまでの時間稼ぎなのか。いずれにしろ、日本には軍事力を強化してもらわねば・・・、いやさせてくるだろう。もし、韓国がなくなると日本が本当のフロントラインになる。これは東アジアの地図を大陸側から日本海を隔てて日本の国土を見ると、日本は彼らを囲む壁のように見える・・・。この景色をみるとそれらの意味がよく分かる。この邪魔な壁を取り除きたいと思うのは自然な感情かもしれない。いや、日本は中国を封じ込めておく、むしろアメリカにとって都合のよい壁なんだろう。
村上は妻が用意しておいた夕食に取りかかる。遅い夕食だ。新鮮な鰯を一晩塩漬けにし、30分ほど真水で塩出しをしたものだ。オーブンで表面がカリッとなるまで火を通してある。適度な塩味と鰯の脂がうまい。何匹でもいけそうだ。そしてご飯も。このちょっとした贅沢?がずっと続いて欲しい。
登場人物について
英語読みですが・・・作品中では簡略化して表記しています
ちなみにトランプさん Dounaludo Joan Twolump (どうなるど じょん とぅらんぷ)
※ふたつのかたまりって何を意味してるのかな?
プーチンさん(UlajimiR Urajimirobitch Pootinco (うらじみあーる うらじみろびっち プーチ○コ)※卑猥なので、一部の発音にしているのです。
石破さん(Seagull 石破)※ハーフのキリスト教徒です。
(いよいよファイルがほとんど消えた『拉致』の執筆が終わりそうですし、今度は通子が危ない『ネット社会の闇』も推敲に入りました。そして久しぶりに読書感想にもいきたいと思っています。子供向けのスティーブ・ジョブズの伝記を買いました。




