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第9章 通子の誘惑と不倫?

幻になる寸前だった第9章

バックアップがあった!少々加筆だけで復元出来ました。

本当はもう少し、男女の関係について歴史的観点から煮詰めたかったのですが、不得意分野でして。

さて、密室でふたりきりになった通子と村上。いきなり通子が・・・。


第9章 通子の誘惑と不倫?



今日は珍しく通子が先に相談室に入った。由美子は遅くなる。村上が来る。部屋の中には通子だけなのに気付いて村上はなぜか躊躇ちゅうちょする。それでもそれに気付かれないように部屋に入る。いつものところに腰掛ける。すると通子が席を移動し、隣に移ってきた。

「いっしょに読むにはこの方がいいでしょ。」

「・・・。」

「先生?緊張してる?」

(通子はホント小悪魔だな・・・)

「さて、今日は何について知りたいんだ?」

「不倫。」

ガタッ!!村上は思わずパイプ椅子からひっくり返るところだった。

「先生、不倫したことある?」

「無い!(キッパリ!)」

「へえ~。」

「だいたい通子、『不倫』とかいうけど、テレビかなんかのネタか?その意味分かってんのか?」

「妻子がありながら、別の女の人とエッチすることでしょ。」

「男か?女はどうなんだ?」

「あるでしょ。テレビでもよくやってる。お互い様でしょ。」

「・・・(イライラ)」

「先生って、奥さん以外の人とエッチしたことないの?」

「それも無い!そのエッチ、エッチって気軽に言うな!」

「あ、村上ちゃん、赤くなって本気で怒っている。」

「お前が大人をおちょくるからだ!」

「先生、おちょくるつもりなんてないよ。結構本気で聞いてるんだけど。」

「だいたいな、そういうのは一番プライペートなことで気軽に他人に聞くのはタブーだ。」

「村上ちゃんとは他人とは言えないよ。先生と生徒でしょ。」

「いや、お前は生徒じゃ無い。」

「えっ?」

「生徒って言うのは中学生以上を言う。お前は児童だ。」

「もう・・・びっくりさせないでよ。で、先生と児童・・・?なんか語呂が変?先生と教え子!これでどう?!」

「・・・あのなぁ。」

「教え子と不倫なんて犯罪だね。しかも小学生と・・・。」

「だから、不倫はしないし、していないって言ってるだろう。」

「先生、不倫しよ。」

(もう、こいつ何挑発してんだ。今時の小学生女子は何考えているか分からない。)

「よし!」

「え?!ちょ、ちょっとぉ。」

「あ、いや、『よし』って言ったのはOKという意味じゃ無い。」

「もう、びっくりしたぁ。本気でよしっていうから、覚悟しちゃったじゃない。」

「いや、『よし!』ていうのは本気で『不倫』について考えようっていうことだ。その意味で覚悟しろ。子どもには難しい話もある。」

「大丈夫。村上ちゃんの話っていつも難しいことばっかじゃん。」

「じゃぁ、『不倫』で漢字でどういう意味だと思う?」

「『倫』って漢字がよく分からない。」

「5年生にこの漢字の名前の子がいるだろう?」

「みちこさん?」

「そう。みちって?」

「道?道路のこと?違うよね。」

「まあ、『人のみち』とか『人なら守るべきみち』とか『すじみち』とかいう意味を持つ。『仲間』っていう意味もあるけど。」

「道徳も道って漢字だね。徳っていいことのことだから、よいことの道筋か。似たようなもんだね。」

「まあ、そんなところだ。それに『否定』の『不』がつくから・・・。」

「人のみちに外れたこと・・・。それはそうだと思う。奥さんや旦那さんを悲しませる裏切りだものね。」

「そうだな。でも、話はそれだけで終わらない。」

「?・・・。」

「男は人のみちに外れるどころか、それがステータス、社会的に高い身分を象徴するるものだった時代がある。しかもずっと。」

「???先生、分かんない!」

「男はよかったが、女にはそれが許されない時代があったってことさ。しかもその時代の人たちがまだ生きているくらい、最近までそうだった。」

「えー!何それ!」

ドアがノックされた。由美子の到着だ。遅くなったので急いでパイプ椅子に座ろうとしている。

「先生、通子、遅れてゴメン。委員会の仕事がどうしても終わらなくて。で、何の話?」

「不倫。」

由美子も村上と同様の反応を示した。ガッシャン!椅子ごとひっくり返った。

「もう、何二人で話してんのよ!」

「いや、真面目な話だ。」

通子も続いて、

「そう、すっごく真面目な話になってきた。ちょっと興奮してる。」

「先生、通子に何、話したんですか。」

「興奮っていっても『怒り』だからね。」

「?」

と村上が今までの話をかいつまんで話す。

「男の人は許されて女の人は許されない・・・。」

「戦前は夫のいる女性の不倫は『姦通罪』という犯罪で、刑法上の取り締まりの対象だったんだ。つまり、刑務所に入れられるようなこととだったというわけさ。もちろん、即離婚の原因となり得る。対して、その相手の男は罪に問われるが、当の夫は別の女性と不倫関係になっても姦淫罪に問われることも無かったし、金銭に余裕のある男の人は『お妾さん』を囲うことも出来たんだ。」

「お妾さんって何ですか?」

「本当の奥さんとは別の第2、第3の奥さんにしているような人だ。」

み「アラブの王様の第2婦人とか第3婦人とか?」

む「まあ、似たようなものだと言いたいが、立場としては、言い過ぎにはなるが、『奴隷』に近いと言えなくも無い。経済的な補償はあるが、相手の都合次第だし、当然旦那以外の相手には不倫となる・・・。(また、おそらくだが、正妻には出来ないようなこともする相手としていた可能があるんじゃないか・・・この子たちにはとても話せることじゃないが)」

「それ、ひどいじゃないですか!」

「まあ、そう熱くなるな。それで十分幸せだった人たちもいるわけだから。」

「んなわけないじゃん!『奴隷』じゃ幸せな分けない!」

「だから、『奴隷』は言い過ぎの面もある。だけど、今でこそ完全崩壊に向かっているが、『家制度』が根本にあるからな。」

「どういうことですか?」

「家?」

「昔、結婚と言えば家同士の結びつきをつくり、墓を守り先祖を祭ってくれる血のつながりを持つことだった。今でも結婚式○○家って出てるだろう?」

「また、何言ってんのか分かんない。」

「今でこそ、恋愛結婚が主流なんだけど、結婚相手は親などが決めてくることも多かったし、そこまでいかなくても『見合い相手』は、本人の意向よりも親や親戚に選別されていた存在だろうな。見合いさえないことも不思議ではなかった時代だ。」

「そんな!好きでもない知らない相手と突然一緒になるんですか?」

「まあ、最初はそうなんだが、目の肥えた大人がこれは相手にふさわしい相手だと思って厳しい選別をくぐり抜けた相手だし、一緒にいるうちに情が移って自然と本当の夫婦になることが多かったとも言える。外見やただ面白いだけで選ばれる相手とは違っているから・・・。」

「マッチングアプリの世界?」

(おいおい)村上は思わず苦笑いをする。(あれって結構いい加減な情報で成り立って居る世界だぞ。会ってみると「えっ?」となることが多いって聞いてる)

「マッチングアプリは個々の条件、たとえば年収や職業だとか、趣味といったかなり個人的な要素で、合コンの範囲かな。しかも結構もられているらしい。」

「合コン?合コンって何ですか?」

「由美子、そうきたか。合コンって合同コンパと言ってな、意味は、あるまとまりのグループ、本来は会社をさす言葉なんだけど、例えば消防士さんと看護師さんがそれぞれ作っている集団の活動、カンパニイって言うんだけど、その両方が集まって飲食を共にしたりして交流していくっていう活動のことだ。」

「つまりね、リアルのマッチング。」

「通子の説明で分かった。」

「・・・で、要は今の男性と女性のマッチングとは違い、昔は家と家のとのマッチングだったってことだ。」

「家か。」

「通子は、『建物』を想像しているだろう。」

「それ以外にピンとこない。」

「・・・。」

「むしろ、家系図という言葉に使われている意味?」

「ん。血のつながりとか、そういうことだ。英語では『ホーム』と『ハウス』みたいに分かれているけどね。」

「ある血のつながりともうひとつの別の血のつながりが結婚によって新たな血のつながりが生まれる・・・わー!頭がごちゃごちゃしてきた!」

村上が立ち上がった。

「よし。ちょっと最初から整理してみよう。」

「最初から?」

「不倫ですか?結婚?」

「そうだな。結婚というものがなければ不倫もありえないと考えてよさそうだから。」

「結婚について考えるんですか?」

「いやもっと前から考えて見よう」

「だから、もっと前っていつ?」

「人類誕生の頃。」

「はぁ~?猿の頃?」

「猿ではない。猿ではない『ヒト』が現れたのは200~400万年前と言われているが、今の私たちの祖先とも言えるホモ・サピエンスが誕生したのは40~25万年前頃だ。」

「あ、ハラリさんの『サピエンス全史』のホモ・サピエンスですね。」

「そう、我々のことだ。」

「そんな昔ってピンとこない。」

「そんな昔に『結婚』ってあったかな?」

「あったかも知れない。赤ちゃんもいたはずだし。」

「きっと今のような結婚はなかったと思います。ただ、なんらかで男女が一緒にならないと赤ちゃんは生まれなかったと思います。もしかすると群れのようなものはあって、その中で?」

「じゃあ、俺たちが問題としている結婚の『核』というべきものは何なのかっていうことで、それなりにはっきりさせておこうじゃないか。」

「核?」

「先生がよく使うんだけど、『中心』とか『それがなくなると別の話になっちゃうもの』という意味だと思う。」

「それならペアというか・・・。」

「ペアだけでは成立しえないだろ?」

「?」

「何のためにペアになるの?」

「エッチするため。」

「そうきたか。じゃあ何でエッチするんだ?」

「気持ちいいとか、愛を確かめ合うため。」

「それもある。」

「赤ちゃん?」

「赤ちゃんがどう関わるんだ?」

「いっしょに赤ちゃんを育てるため!しばらく行動をともにしないと赤ちゃんも生まれないし、育てられないんじゃないかな。」

「人間の赤ちゃんはとても弱い存在なのは分かるよね。生まれてすぐに立ち上がるアフリカの野生動物などは違う。ましてやウミガメのように産みっぱなしでもやがて孵化して一人で海へ向かう赤ちゃんでもない。それが自然の掟とは言わない。まあ、卵や赤ちゃんの段階でオスメスいっしょにそれらを守る生き物も沢山いるからね。」

「ということは野生動物や魚のようなものにも結婚っていうのはあるんだ。」

「つまり、今、俺たちはそういうものを『結婚』として考えているということで、社会的な地位や権利や利益を求めている制度としての結婚、つまり同性婚でも成り立つようなものは話題としていないということだ。今のところ。」

「今のところですか。」

「まあ、つまり赤ちゃんを産み、育てるためにいっしょになることを、今『結婚』っていうことにしようということですか。」

「まあ、そんなところだ。でもね、さっき由美子が言っていたように動物は『群れ』で育てることも多く、その最小単位が『夫婦』ってなところだろう。特に人間はその傾向が強く、現代ではすっごくでっかい『群れ』で学校を作り、すごくでっかい『群れ』、つまり集団で子育てをしているだろう。」

「学校とか保育園とか、社会の制度としてですね。そう、確か、人間の大脳の発達に比例して人間の集団って大きくなっていったんですよね。」

「由美子のウンチクね。」

「でもね。そのペアって永遠に動かないものかな?」

「えっ?」

「それは、現代では結婚する時に、一生連れ添いますって永遠の愛を約束するが、もともとそれはキリスト教的な考え方で後から出てきたものだ。そんなものがなかったころならどうだろう?」

「キリスト教?」

「後で追々出てくる。」

「ん~。混乱してきた。つまり、まだ人間がゴリラみたい時のことね。」

「ゴリラ?」

「ゴリラは結婚式もしないし、結婚指輪も交換しないでしょ。」

「あーなるほど。そういう意味ね。」

「永遠の愛を誓っていても不倫したり、離婚したりするんだから、きっとそれが本当の人間の姿なのかも・・・ね。」

「通子、ごめんな。なんか夢を壊してしまったようだな。でもそれは全てがそうじゃないし、離婚するよりも最後まで連れ添う夫婦の方が多い。(離婚は昔からみれば爆増だけど)」

「ちょっと悲しい。でもなんかこの話の続きは考えておきたい。」

「ここで、ちょっと最近話題となっている学説に触れてみよう。これも深入りするとんでもなく広く深い話になるから、かいつまんで。」

「だいたい村上ちゃんの話、長いし。」

「まあ聞け。それはね、雌雄の体格差によってハーレムをつくるか一対一か決まっているんじゃないかという学説だ。ちなみハーレムって分かるか。」

「知ってるよ。最近の異世界もののアニメってそんなのもあるから。」

「男性一人に複数の女性が・・ってヤツだよな。そのハーレムを作る典型的な動物がライオン。それからオットセイとかゾウアザラシとかの海獣、鳥類ではキジなんかもそうだ。これらはオスがメスよりも一回り以上も大きい。対してハーレムじゃなくオスメス一対一の関係を結ぶ動物は『おしどり夫婦』の元となったオシドリなんかは色は全然違うが大きさはほぼ変わらない。で、この雌雄の体格差とオスメスの交わりを研究して分類した学問、『進化心理学』っていうらしいんだが、それによるとヒトはハーレム型よりは雌雄の差がないんだけど、オシドリ型よりは若干男性が女性より大きい傾向があるらしい。」

「ということはどういうことですか?」

「この学説としては、ヒトは一対一型に近いんだけど、ハーレム型の間にあるということだ。」

「結局、私たちはどっちなの?」

「基本的には一対一、つまり一夫一婦制なんだけど、途中で相手が変わったり、男女とも誰でもいい・・・的な・・・分類に・・・。」

「はぁ~!何それ!みだらじゃないですか!」

「まて通子!学説、学説・・・。まあ、生物学的(進化心理学的)では大前提としてそうなんだ。」

「先生、許さない!」

「俺を『先生』って呼んだ・・・。まて、まて!」

「先生、やっぱり不倫してるんだ!」

「してないよ!・・・。」

「ちょっとストップ!先生、まだお話、途中ですよね。続けてください。通子ってこう見えてもすっごく純粋だから気を付けてください。」

(通子、不倫しよって言ってきたのお前だぞ。・・・まあ訳が分からないが、こういう通子で少し安心したけど・・)

「分かった。で、いきなり平安時代に跳ぶんだが・・・。社会科で最初に時代の説明はしたよな。」

「憧れの大先輩、紫式部さんのころですよね。」

(紫式部を先輩呼ばわりする由美子が怖い・・・)

「平安時代は『通い婚』と言って男性が女性の家を訪ねる形の結婚?(この子達には言えないが、『夜這い』ってやつだろう)だったんだが、時代も進むと『正妻』とは一緒に住むようになる。でも、別の女性のところへも『通い婚』をしていたんだ。つまりハーレム的だったわけだ。もちろん貴族の話だけど。まあ一夫多妻制がずっとあったということは間違いないようだけど。」

「・・男って・・汚い。」

「悪いな。で、話は進むよ。鎌倉時代とか武士の世の中になるとまたこれが形を変えるんだ。」

「鎌倉から室町、戦国時代を経て安土桃山、そして江戸時代ですね。」

「授業での知識は得たな。でも知識だけじゃ駄目だ。」

「どうせ、男ってもっと汚くなるんでしょ。」

「まあ通子、そう言うなって。で、室町時代くらいになると『嫁取り』っていう言葉が出始めるんだ。そう、家が女の人を迎え入れる形がはっきりしてくるんだろうな。そしてその形がかなり長い間続くことになる。つまり、『家』ということの存在が重要視されることになる。家の血筋を絶やさないために多くの妻が認められるんだ。まあ、平安時代の通い婚も多くの子孫を残そうという現れだと思うんだけど。時代がさかのぼっていけばいくほど生存率は下がるわけだから、子孫をできるだけ多く残そうということは当然なんだろうけど。そして、時代が進めば江戸時代には将軍の血筋を絶やさないために『大奥』なんて仕組みもあったし、つい最近?までそんなことが許されてきていたんだ。」

「つい最近?」

「もしかしたら知っている人の範囲ということだ。」

「えっ!村上ちゃん、そうなの!?」

「ちょっ、アホ言え!曾爺さんくらいならもしかしてと思ったし、『そんなこと』の意味も広かったから。」

「でも、戦国時代から昭和くらいだったら、すっごい長い。なにそれ?ひどいじゃん!」

「いや、江戸時代に戻ると昔々『士農工商』って言ってたけど、『身分制度』があったじゃないか。職業も固定だったんだけど、結婚も同じ身分じゃなければ駄目で自由恋愛は厳しかった。そこで親が結婚相手を決めるということは別に不思議なことじゃなかったんだ。まあ、そのためか結構厳格に不倫を禁じたおきても作られたらしいけど。でも子宝に恵まれない場合は、家の存続が危ういから、女性は離縁され、別の女性と縁組みされることもあったらしい。」

「????」

「そう。でもね、結婚相手以外にエッチは出来ないかって?そうじゃない。これは昔からなんだ。」

「じゃあ、パートナーが居ようが居まいがエッチし放題だって事?」

「ある意味、そうかも。」

「何それ!」

「江戸時代には『遊郭』っていってね、政府公認の『売春宿』もあったんだ。」

由美子も通子も一瞬ガクンと引く・・・。

「『売春』って・・・。」

「んほん・・・。そうだ。恋愛とは別に商売としての・・・それだ。しかも、そういうところだけでなく、『妾』なんて制度も江戸時代を超えてずっと残っていたんだ。未婚の者にとってはエッチに関しては今と比べてもずっとおおらかだったようだ。もちろん、明治維新となってキリスト教文化・・・生活スタイルも法律もそれに則っているので、キリスト教、特にカソリックという宗派の教えとして一夫一婦制が基本となってくるんだけどね。」

「日本人って仏教でしょ。キリスト教の人はそんなに多くないでしょ。」

「いや、確かにそれはそうなんだ。でも、今の文化や制度というのは外国、特にヨーロッパから取り入れたものだから、そのベースとなるものが否が応でもキリスト教に根ざしたものなんだ。よって、俺が学生時代、こっそり憲法、法律ね、それのゼミに出ていたら最初はキリスト教のことについて話があったから、今の通子や由美子のように面食らったけどね。また昨年、イタリア旅行の話をしたんだけど、ヨーロッパの文明の多くはキリスト教の上に成り立っていると思った方がいい。日本人には分からない感覚だと思うけど。」

「確かにクリスマスにはケーキを食べるけど・・・。」

「???まあいいか。で、キリスト教の結婚というのは、アダムとイブにさかのぼる。男と女というのは男のアダムの脇腹からイブが生まれたから、それぞれ寄り添ってひとつとなるという考え方なんだ。よって不可避の一夫一婦制がキリスト教の考えとなっているんだよ。」

「でも計算が合わない。明治時代からとしても、曾爺さんは昭和の出発くらいでしょ。」

「出発か?でもまあ、その計算は正しい。昭和どころか、戦後もしばらく公然と『遊郭』のようなところはあったんだ。『赤線』とかいったらしいが、公然と『売春』が行われていたし、『妾』という制度もそれなりに残っていたらしい。しかも、それらは戦後は法的には葬られるんだが、実際にはそれなりに・・・。」

「・・・頭きた!!!」

通子が思いっきり村上の腕をつねる。

「あイタ!オイ通子!止めろ!!」

「男なんか、みんな死ね!」

「ォォォオ!止めて!」

「ちょっと通子、村上先生は違うでしょ!」

「いや、こいつも男だ!」

「そういえば、前にテレビでやってた『慰安婦問題』ってそういうやつですよね。」

「・・・?」

「・・・(おーイテ)そう。同様の問題だ。あれは韓国の人だけじゃなくて国内でも日本人を含めて商売として行われていたことで、もし、それが強制されていたもの(基本的にみんな金銭的に強制されていたとは思うけど・・・)だったらなおさらひどいことだ!ほんとに奴隷と同じだからな。」

「つまりは『不倫』とか『H』って普通のことなの?パパもママももしかしたら・・・。」

「それはちょっと短絡的だな。俺はそういうところに行ったことはないし、これからも行くつもりはない。妻も娘も息子も裏切るつもりはない。俺はキリスト教徒ではないがね。また、お前のご両親も同じだ。俺も家庭訪問や面談でお前のご両親はよく知っているつもりだ。大丈夫だ。」

「先生、『これからも行くつもりはない』ってどういうことですか?今ももしかしたらあるってこと・・・?」

「するどい。」

「今もある?ってことですか?」

「ある。いわゆる『風俗店』ってやつだ。性的なサービスを商品としているらしい。」

「村上ちゃんも行ったことあるんでしょ。」

「断じてない!『らしい』って言っているじゃないか。貧乏学生だったし、二十四時間中、十六時間は仕事とくれば必然的に行きたくても行けない。」

「てことは、本当は行きたいんだ!」

「馬鹿言え!(もう!)」

「あ、やましさMAX!顔真っ赤だよ。・・・もし、良かったらこの通子がタダで相手してあげる。」

「通子!やめなさいよ。村上先生、困ってる。こんな先生見たの初めて。これ以上は私が『友達として』許さない。」

「・・・私『妾』でもいいもん。・・・村上ちゃんの心が私から離れなければ。ぐすん。」

「もう!で、結局どうなのか、まとめてください。先生!」

「・・・せ、生物学(進化心理学)的には、人間は男女とも人間は赤ちゃんが大きくなる3年くらいまでは一緒にパートナーを組むが、それを過ぎると他の人とパートナーを組める生き物らしい。その方がおそらく多くの子孫を残しやすい。しかし、文化的は一人のパートナーと生涯連れ添うことを道とする存在だと思う。ただ、そうはいってもそれはやはり一人一人の生き方の問題だとは思う。つまり、自分にとってどういう生き方が大切なのか・・・。」

「あ、保健の授業を思い出しました。古い脳と新しい脳?。」

「あ、私も覚えてる!本能と理性ね。それにあてはめて考えれば、人間って本能はエッチしまくりたいんだけど、理性的に考えるとそれは人の道に外れるからほどほどにってことね。」

「でもね、エッチとかは別として多くの異性ときちんと関わるということは大切なことだと思う。リスペクトだよ。もし、脳の機能が男女で違うとしたらお互いに関心を持ち、きちんと理解しあわないと偏った考え方にもなりそうだしね。」

「分かりました。そうですね。」

「で、通子。痛かった。謝れ。」

通子は横に振り向きざま、村上の頬を自分の唇で触ると、

「先生、ゴメンね。お詫び!」

と、その瞬間、村上はパイプ椅子ごと床にひっくり返った。

「おい、通子~!」

「ヤバい、由美子逃げるよ!先生、さよなら!」

通子は立ち上がりざまに由美子の手首をひっぱって相談室から跳びだした。

「先生、また明日!」

ドタドタと廊下を駆けていく二人。

「もう、全く・・・。やられてしまった・・・。」

村上は腰を押さえながらゆっくり立ち上がるとパイプ椅子を起こし、相談室内を整理した。

(そう言えば俺はこの頃ってどうだったけ。こんな積極的じゃ無かったよな。日本舞踊を習っていると噂のあの子が好きだったなあ。声もかけらず終わったし。でも、小学校の卒業式のあと、別の・・・。)

相談室の電灯を消すと村上は足を少し引きずりながら教務室に向かった

性の乱れって、感じます。プラトニックなんて死語なのかなあと思うときもありますが、どうなんでしょう。

でも、人口は激減の方向に向かっています。増えればいいってものでもないと思いますが、新しい命のが誕生しないってことは残念です。


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