3/3
背負われた村
――何を思ったか、祖先たちは亀の上に村を作った。
ゆるやかに小瓶が満ちていくような微笑みはただ我々にある
早朝は揺れにめざめる 騒がしく遊ぶこどもは危うさばかり
下界から昇るけむりをくぐりぬけ挨拶にくる渡り鳥たち
ひょうひょうと老婆が語るいい人をやめて小鳥になったお話
起伏から肉を掘りつつスコップの鈍いひかりを眺めていれば
かなしみも水洗いする丘の上 過去は背中に繋がっている
握手するたびに屠殺を思い出すなぜか伝言のように生まれて
主人でもいるのだろうかこの村は遥かな北の塔へとむかう
望まれて下界へくだる友人に風の護りをかける、幾度も
総身に尖った種を付けながら鷺が飛び立つまでを見ていた