幻の翼
――これは人々の願いがもっと叶っていたころのお話。
心ゆくばかりに深くこもれびは見ているものをうつくしくする
下草を踏みしめながら暑い日は暑さに耐える理由がほしい
だれにでも見える姿で現れてだれに呼ばれたはじまりだろう
水をやる呪文はなぜか教わったときのゆかいな風をよびこむ
さっきからわたしの腹は鳴るけれど神々に言うことではないね
ふりむいて確かめたのは夏の川の、放った声が帰ろうとする
湖の迂回はひとを眠らせる 遠さ近さが黄昏れている
起き抜けのにぶい眼で中空に沈みはじめた天馬を追えば
空耳と抱擁 どうして、はじまりの雨のにおいは言い尽くせない
男神女神の区別もつかず牛の目のようにしずかに暮らすのでした
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公式企画「俳人・歌人になろう!2023」参加作品です。
▼小説家になろう 公式企画サイト
https://syosetu.com/event/haikutanka2023/
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