始めてのバトル後編
このままだと、ジリ貧だ。
ぼくは作戦を変更した。
向こうに遠距離攻撃が有ってこちらに無いなら、近づいて殴りあうしかない。
僕は決死の覚悟で飛び込んだ。
まるで読んでいたように何匹もの狼の魔物が飛びこんで来たが。
こちらも既に読んでいる。
その全員を殴り飛ばす。
その間に足にダークウルフの影が噛み付いてくる。
僕はその後も距離を詰め、ダークウルフを殴り付ける。
しかしダークウルフの影が割り込む。
「うああああああ」
全力で殴るが影を突き抜けなかった。
今まで、やり合った印象だとイケると思ったのだが、先ほど噛まれた分踏み込みが足りなかった。
また睨み会いに成る、息が上がってきていた所なので助かる。
少し余裕ができて気づいた、最初に受けた傷が治り始めてる。
じり貧だと思っていたが、時間はこちらの味方のようだ。
朝になればダンジョンに戻らなければだが、そうなると狭くなるので、向こうの連携はなくなり各個撃破だ。
いつもより時間が長く感じる、手にじんわり汗をかく。
ダークウルフも、低く唸り動かない。
そこにダークウルフの背後から、狼の魔物が、飛び込んできた。
「伏兵、ここまで隠していたのか」。
向こうも、ここまでの戦いで、理解しているのだ。
ダークウルフ以外の魔物ではダメージを与えられないと。
ただ、行動の邪魔はできると。
呼応して、他の狼の魔物も一斉に飛びかかてきた。
来る者を振り払い、薙ぎ払うがこれで両手が塞がる。
両手が使えないタイミングを見逃すほどダークウルフも甘くない。
完全に組み敷かれ、喉を噛みちぎられる。
「うはが」
衝撃で拘束が緩む、生物はこれで死ぬが僕は死なない。
半ばダンジョンマスターとしての本能か、ダークウルフをダンジョンに蹴飛ばす、すぐに身を起こしダークウルフを追いかけダンジョンに自分も飛び込む。
ダンジョンにダークウルフが入った今この時が、チャンスだ全力で拳を振り上げる。
体が疼く、普段送り込んでいる魔力がダンジョンから力として、流れ込んで来る。
拳がそのままダークウルフを貫く。
「はぁはぁ」
ダンジョンから来た力のおかげか体の再生も終わっている。
ダークウルフがこちらを見ている気がした、コイツらは生物だ僕を殺した後勿論食べるつもりだったのだろう、そして自分の死を感じで訴えかけてくる。
自分を食えと
僕はコイツの意思に答えたいと思った、この偉大なる強敵の意思に。
バンパイアなのでもちろん焼いて食べる訳ではない、その首に牙をたて血を吸うのだ。
それが唯一僕を躊躇させる、何せコイツは野生の獣だから埃っぽい
「今日は、いきなり襲われるし、洗ってたらこいつ死んじゃうだろうし、全く本当についてない」。
そう言って僕はダークウルフの意思にこたえるので有った。
 




