ダンジョンマスター
自分に流れ込んだ知識によると。
どうやら僕はダンジョンマスターに成ったらしい。
そして僕がいた場所は本当に見覚えがないだった森らしい。
知識には近くの情報も含まれてる。
周りは森のみで近くに知恵の有る者の気配はない。
そして僕がここに連れ来られた原因だ。
ダンジョンマスターに成るには、ある程度の知力と力が必要らしい。
その為かダンジョンマスターは強く賢い個体が多い。
ここは元々弱い地脈しかないはずなのだが、先程の地震で偶然出来たダンジョンのようだ。
だからその際この近くには力は有っても知恵のない個体しか無かったために連れてこられたらしい。
「さて、ここからが問題だ」
どうやら力が足りず俺はレッサーバンパイアに為ったらしい。
いや意味は分かる力の強い猪がいたとして、そいつをレッサーバンパイアにしたかといって、
知力がつくとは思えない。
また他に知力をつけさせる方法も思い付かない。
知力を持った者に力を付けさせるのが一番楽だったみたいだ。
「はぁ、ついてないなー、太陽は好きだったのに」。
一応、貴種に変異すれば太陽の下に出られると知識は教えてくるが
「肝心の変異の仕方は分からないし困ったなぁ」。
暫く考えたが答えが出ない。
「仕方ない、一旦考えるのを辞めてダンジョンの探索でもしよう」。
ダンジョンの見取り図は知識として有るが、自分の目で見ておきたい。
すぐに終わった。
何せ直線百メートルの洞窟型ダンジョンだ。
知っていた、知っていたから落胆はない。
ここに来た目的はもう一つ太陽の効果を試して見たかった。
僕はゆっくり、洞窟の外の太陽の当たるところに指を出してみた。
指先に火が付き僕は慌てて手を引っ込めた。
太陽に当たった人差し指の五ミリ程が灰と成って燃え尽きた。
だけど慌てることはない。普通の怪我なら直ぐに治るようで、太陽による怪我は暫くかかるみたいだがこれも治る。
「こりゃ鏡で日光当てられたら即死だな。直線だし、ただ、それよりも先に考えなければならないことがある」。
そう、今まで目を反らして来たがこのダンジョンを維持するための力が足りない。
普通地脈の上にダンジョンは出来る。
なので、維持するための力は地脈からもらうのだが、
このダンジョンはイレギュラーだ。そう地脈の力が足りない。
そこで自分のレッサーバンパイアとしての魔力で補おうとしても、
元々は地脈から分けてもらった魔力。足りるわけない。
解決策はこのダンジョン内で何でもいい、魔力、生命の力等の、力が使われればいい。
最悪力が使われなくても生き物は生きてるだけで生命の力が、アンデットは不のエネルギーを振り撒いてる。
「なにかが居るだけでいいんだけど、こんな直線百メートルで何もない洞窟、思いつくのはゴブリンの寝床か、盗賊の寝床、どっちも嫌だなー、はぁついてない」