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2 ~兄弟の名前&冬馬様と千明様~

 深ーい眠りに落ちた、俺。

 っと、ここで、兄弟全員の名前を紹介しておこうと思う。今のところ、全員のあだ名は出てきたが、名前は出ていなかったはずだ。……多分。

 それでは、紹介していこう。

 長男、アユこと歩。高校三年生。

 次男、ノゾこと望。高校三年生。

 この二人は双子。兄弟の中では、リーダー的存在。俺ら以外との話し合いとかがあると名指しで俺らが呼ばれない限り、二人が発言することがほとんどだ。

 三男、サツこと皐。高校二年生。

 四男、アキこと(あきら)。高校二年生。

 五男、タツこと樹。高校二年生。

 六男、カナこと(かなめ)。高校二年生。

 この四人は四つ子。個性が強すぎて、扱いが大変だと思う。

 七男、カケこと翔。高校一年生。……俺のことである。

 八男、ミノこと稔。高校一年生。

 九男、トオこと亨。高校一年生。

 十男、サトこと暁。高校一年生。

 十一男、スグこと傑。高校一年生。

 十二男、シノこと(しのぶ)。高校一年生。

 十三男、シズこと(しずく)。高校一年生。

 俺ら七人は、言わなくてもわかるであろう……、もちろん、七つ子だ。兄弟の中では、頻繁に意見が食い違い、話し合うことが多々。最長は十五時間の時があった。兄弟の約束として、ケンカしたら話し合うということがあるから、十五時間も話し合ったわけだ。

  もっと楽な方法もあるんだろうけどな。十五時間もやったときは、緊張が解けた後の全員のお腹が鳴った音は半端じゃなかった。

 そんなこんなで、十三人の兄弟である。仲は良いほうなんじゃないかと思う。

  そもそも、十三人の兄弟なんて聞いたことがない。俺らの七つ子も。小説でも、見たことがない。

 俺を除いて、全員運動好きである。俺は、嫌いじゃないが、特に好きでもない。運動神経もいいため、誰も追いつけないほどの速さ、強さでやるため、前の学校では、異次元の兄弟と噂され、避けられる存在であった。

  まぁ、こんだけ兄弟がいれば、全く苦じゃなかったけど。避けられて、良い気はしなかったけど。

 そんなこんなで、今に至る。ちなみに、冬馬様や千明様も似たような感じだということを運転手から聞いているため、少し楽しみにしている、自分もいる。


 翌日、朝起きて、昨日夕飯を食べた家に向かう。この家は、昨日掃除をした。昨日の夕飯を食べているときに決めた。

  夏休み中は、ここでご飯を食べるということらしい。

 家につくと、もう歩と望、皐と要が来ていた。七つ子の中では、俺が一番だ。

  まぁ、この四人はいつ起きても、どれだけ早く起きても、起きているからな。

「おはよ、カケ」

 おかずを盛りつけしていた、要がこちらを見て言った。

「おはよ、なんかやることある?」

「じゃあ、テーブル拭いて」

 シンクの側にいた、皐から指示があり、布巾が飛んでくる。後ろを向いたままなのに、ちゃんと俺のところに来る辺りが、皐らしかった。

 俺は、絞られたままの布巾を軽く広げて、居間にあるテーブルを拭く。

「終わったよ」

「じゃあ、次、おかず運んじゃっていいよ。あと、箸も」

 俺は、シンクの近くに布巾を置き、おかずの盛り付けをし終えた、要から指示が飛んでくる。

  毎回思うけど、一気に二人や三人から指示が飛んでこないところが、すごいと思う。

 俺は、台所から、皿や箸を居間に運ぶ。

 みそ汁や、米を運び終えたところで、彰や樹、稔以下のメンバーが、ぞろぞろとやってくる。このメンバーは起きるのが遅い組だ。

  遅いといっても、まだ六時前だけど。

「早いなぁ、相変わらず」

 彰は、そう言いながら今に入って、適当な場所に座った。

「おはよ」

 後から来た面々も居間に入っていく。

「よし、食べようか」

 歩が全員そろったことを確認し、そう言った。

「「いただきます」」

 それぞれが、それぞれのスピードでご飯を食べて行く。一応、当主一族と血が繋がっているから、昔から教育は厳しかった。

  ……らしい。他のところを見たことないからわからない。そこまで厳しいという感じはしなかったけど。

 ご飯の食べ方ひとつとっても、箸の持ち方、茶わんの持ち方、座り方、食べる順番、などなど、女中から散々言われてきた。

「なんか、この生活だと、鈍っていきそうで怖いよな」

「全部自分達でやるから、鍛え上げられる部分もあるよ」

「そういう考え方もあるな」

 そんな他愛のない話をしながらご飯を食べ、朝食の片づけをする。

「どっちがどっち側の家を担当する?」

「カケ、どっちが良いと思う?」

「メンバー的には、速さは変わらないと思うから、どっちがどっちを担当してもいいと思う」

  そういう風に組んでるからね。

「じゃあ、俺らが右でいいよ」

「早く終わったら、ここらへんで待ってて」

「了解」

 昨日決めた二組に分かれ、一つ目の家に入る。

「ほんじゃ、始めようか。カケ、分担はどうする?」

 家につくと、歩が言った。

「えっと、やらなきゃいけないのは、布団干し、掃除機がけ、雑巾がけ、台所整理、洗面所系の掃除と整理だから……」

 俺は、一瞬でメンバー分けをする。

「布団干しは、スグ。掃除機がけは、シノ。雑巾がけは、サツとトオ。台所整理は、アユ。洗面台系の掃除と整理は俺でいいんじゃない?」

「じゃあ、それで。各自やること!」

 歩は、俺が出した案に即座に賛成し、自分の担当である、台所に向かう。

  アユが、俺の分け方に反対することなんて、ほとんどないからな。

「他のメンバーはこれでいい?」

 俺は、少し心配しながら、歩以外に訊く。

  まぁ、アユが決定したことは、大抵みんな納得してるけど。

「うん、いいよ」

 他のメンバーもそれぞれの持ち場に向かう。俺も洗面台のほうに向かった。何をするのかというと、洗面台付近にあるものを、段ボールに入れて、女中たちに送り付けるのだ。

  ここにあっても邪魔なだけだからな。

 ゴム手袋とマスクを装着して、そこら辺にあるもの段ボールに入れて行く。同じ家に住んでいた人は、同じところか、徒歩二十分ぐらいのところに移動させられているため、全部一緒に入れる。

  手袋とマスク、買ってきといて良かった。

 こうなるだろうと予測していたため、昨日ご飯を買った時に、ゴム手袋とマスクも一緒に買ってきていた。

  埃だらけだろうし、女中が使っていたのなんて、触りたくないからね。……ちゃんと、他のメンバーにも渡してある。

  なんか臭いな。

 マスクをしていても、変なにおいが鼻に入ってくる。水を抜いてないのだろうけど、今、抜きに行くのも面倒なため、先にこっちを片付ける。

 全部片付け終ると、段ボールで扉がふさがるほどに多くなっていた。

  どんだけあんだよ。

 風呂場に入ると、案の定、水抜きがされていなく、蓋がしてあってもすごく臭った。

  うぅ、臭い。

 俺は、風呂のふたを開け、袖を少しまくり、栓を抜いた。横にある、台に載っているシャンプーたちをビニール袋に入れ、風呂場を出る。段ボールの空いているところに入れて、風呂場に戻り、水を抜いた、垢だらけの風呂場を全部洗う。

  けっこう疲れる。

 全部洗い終わり、三箱を持ち上げ、玄関に持って行く。

  もう玄関の前埋まってる……。置く場所ないっていうか、どんだけ物あんだよ! 何度も言うけど。

 もう二往復して、全部の段ボールを玄関に運んだ。

「よし、次、行こうか」

 全員の持ち場が終わり、次の家に向かう。向かってる間に向こうのメンバーに会った。

 全部の家が終わり、昼ご飯を食べ、歩の部屋に集まった。

「なぁ、すごい物、多くなかったか?」

 歩がつぶやいた。

「多かった」

「びっくりするぐらい、多かった」

「配達とか、どうするの?」

「相川家のそれぞれのとこらへんにいる、業者が来るって言ってた気がしなくもない」

「多分そうだったはずだよ」

「じゃあ、玄関のところにあるって言うことだけ、伝えておけばいいか」

「誰が行く? 当主様のとこだよね?」

「俺、一人で行って来るから、いいよ」

「俺も行く」

 歩が言うと、すかさず、望が言った。

「俺か、カケも連れてった方が良いと思う」

 皐が言う。

「ぞろぞろ行っても、申し訳ないから、俺とサツで行って来る」

「アユに負担かけすぎてない?」

「ノゾも連れてった方が良いと思う」

「三人ぐらいだったら、大丈夫だと思うし……」

「サツは、廊下に居ればいいんじゃない?」

「誰か来たら避ければいいし」

「うん、アユとノゾでいいと思う」

「じゃあ、今、行って来るか」

 歩が立ち上がると、望と皐が立ち上がった。

「行ってら~」

 その後は何事もなく、翌々日に編入試験を受けに行き、一週間後には、合格通知が来ていた。

  まずは、一安心。まぁ、落ちるはずがなかったし、落ちてたら、冬馬様達に合わせる顔がないからな。

 始業式の二日前には、ここの自治体が毎年行っている、バレーボール大会に兄弟で参加した。

  まぁ、俺は、出てないけど。

 ストレート勝ちがほとんどで、二、三点取れたらすごいレベルだった。クラブチームなどが、少し点を取っていた。

  何、点を取られてるんだよ。出てない俺が言えないけど。

 準決勝と決勝を次の日にやるということで、その日は終わった。

 しかし、次の日に予定していた、準決勝と決勝は、よく分からない理由で延期となり、始業式とかぶってしまうことになった。このことを、歩と二人で当主様に報告しに行ったところ、好きにしていいよ、と、悪意もなく言われたので、一応、大会に出場した。結局優勝し、翌日から学校に行くことになった。


 翌日、当主様夫妻と車といっていいのか分からない、車で学校に向かった。

  何で、当主様と美佳様がいるの……。

 今でも、少し緊張しているが、夏休み中に何度か話す機会があったので、最初に出会った時よりは、緊張がほぐれている。

  まぁ、今でも、名指しされると、すごい緊張するけど。

「大地様、なぜ、優斗たちには伝えないのですか?」

 美佳様が言う。

  えっ? 知られてないの? 俺らが来てること。

「特に意味はないけど、少し驚かしたいだろ。君たち、夏休み中に誰かと会った?」

 当主様に問われ、全員が首を横に振った。

  そもそも、驚かしたいとは、思わないけど……。父さん目線だと変わるのかな?

「そうか。なら、楽しみにしているだろうな」

  俺らと会うことを楽しみにしてる? 冬馬様達が? 本当に?

「そうでしょうね」

  美佳様も同意しちゃってるけど、そんなに楽しみにされるような人じゃないよ、俺ら。避けられてる人だし。

 学校につくと、当主様の後に続いて、俺らも職員室に向かった。

  向かっている間の、皆からの目線といったらなんのって。おかしな目線で見られた気がする。

 校長先生とあいさつした時も、先生とあいさつした時も、全く昨日のことについて怒られることがなく、校長先生に至っては、スポーツ好きなのか、もう知っていて、ほめてくれる始末だった。

  学校休んだのに、こういう感じなの? 向こうが厳しすぎただけ? これで大丈夫なの?

 制服は学ランのため、向こうと変わらない。ボタンとかが変わっただけだ。学年色も一緒なので、ほぼ何も変わってない。

  あ、でも、生徒手帳は変わったか。

 俺らが、先生から説明されているうちに、当主様達は帰ったらしい。

 学年の階に移動した後、それぞれの教室の前に、先生に呼ばれるまで、待っていることになった。

 この学校は、一学年六クラスなので、俺らの世代だけ、一クラスに二人がいるということになったのだが、それが、最悪のペアで、どうしようか考えていた。

  はぁ、ほんと、どうしよう。サトとスグを合わせちゃダメだよぉ。まじ、どうすんのさ。前の学校と同じ感じだったら、俺が、その二人と一緒に体育することになるよ? 嫌だなぁ。

 俺は、先生に呼ばれ、教室に入る。先生に指示されたところに立ち、教室内をざっと見まわして、また考えることが増える。

  ここに、二人ともいるのかよ。冬馬様と千明様……。俺、どんだけ苦労しないといけないわけ? なんかやったか? っていうか、二人ともオーラが違くて、初対面でも分かりやすい……。

「自己紹介」

 先生に小声で言われ、俺は、考えていることを隠すように、少し笑う。

  これも、女中たちにさんざん言われて、やったからなぁ。感情を隠すということ。

「相川翔です。長崎から来ました。よろしくお願いします」

 最後に、ニコッと笑っておけば、大丈夫だ。

「仲良くするんだぞ。じゃ、一番後ろの席だ」

 先生に言われた席に向かって、歩く。

  仲良くするんだぞ、って言うのは、転校生が来たときに言う、先生たちの定型文なのか?……いやいや、そんなこと考えてる暇ないから!

 自分自身にツッコミながら、席に座った。それから、いきなり席替えが始まり、俺も移動することになる。

  うわっ、隣、千明様かよ……。斜め後ろに冬馬様もいるし。まず、あいさつだな……。

 先生が出て行って、休憩時間に入る。俺は、立ち上がって、隣にいる、二人の前で跪く。

「初めまして、冬馬様、千明様。相川翔です。よろしくお願いします。夏休み中はあいさつに行けず、申し訳ございませんでした。他の兄弟がバレーの大会に出ていたので、行かなくてはいけなかったので」

「えっと……、まず、顔をあげて。凄い目立ってるから」

 俺が言いきると、申し訳なさそうな、千明様の声が頭から降ってくる。俺は、顔をあげた。

 そこで初めて、しっかり二人の顔を見た気がする。

 冬馬様は、当主様よりもきれいな顔立ちをしていて、千明様は、ただ単にカッコいいと感じた。

 そこで、一息つけたことで、周りの状況が目や耳から入ってくる。

  うわぁ~、すごい目立ってる。うん。

「よろしく、翔君。唐突だけど、兄弟って何人いるの?」

 千明様が聞いてくる。

  本当に知らないのかな? でも、兄弟って事は知ってるんだ。どこまで知ってるんだろう。当主様は本当に何でも知ってるような感じがしたけど。

「えっと、僕を含め十三人です」

 千明様も冬馬様も、少ししか顔が動かなかった。

  いつもはもっと驚かれるんだけどな。もしかして、やっぱり、知ってた? でも、そうだったら訊いてこない……。あ、でも、確認で訊いてくる可能性もあるのか。それに、俺らでも感情を隠せと言われるぐらいだから、それで隠れてるだけなのかもしれないしな。

「……多いね。じゃあ、その兄弟たちにも伝えておいてほしいんだけど、僕らには、敬語を使わなくていいし、跪いたり、床に手を付けて謝るのもなし。頭を下げるぐらいにして欲しい」

  は? え? 今まで、女中にさんざん言われてきたことは、何だったの? どっちが正解なの? あ、でも、当主一族最優先だから、そっちに従った方が良いのかな?

「……それは、できません。すみません。当主一族にそんなことは……」

 一応、今までのマニュアル通りの回答をしておく。

  一番の逃げ道になってるな。一番逃げたくない道なのに。

「いいから。女中もいないし、そんなことに文句言う人いないから。そのかわり、親戚の集まりの時には、変えてもらうことになると思うんだけど」

「……分かりました。これからお願いします」

 やっと、全員の名前が出ました。何なら、まだちゃんと話していないキャラがまだいますね。(早く話させてやれ)

 そして、冬馬たちと会いました。翔は、大変な立ち位置に居ますね。僕は絶対に嫌です。この兄弟といると楽しそうですけどね。(いいなぁ)

 今回までは、「美少年の妹が女中に虐められるのは、どこも同じですか?」と被っている、翔たちの兄弟視点でしたが、次回からは、被っていない部分となります。


 次回は部活動体験です。

 さて、問題です。誰がどの部活に所属していたでしょう?

 部活の選択肢は、サッカー部、バスケットボール部、テニス部、バレーボール部、弓道部、野球部です。(あ、あと、帰宅部)

 次回までに、予想してみてください。

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