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13 ~保体のバスケ&亨との会話~

 本編です。

「カケ、俺らにパスを出すときは交互にしろよ」

「そんな態度じゃ、パスを出そうとは思わないね。それに、二人がマークマンにべったりくっつかれてたら、パス、出せないしね」

「スグはそうなるかもしれないが、俺はならない」

「は? サトこそ、バスケ部だししっかりマークされるだろ。振り切れないし」

「俺は、本職だからこそ、振り切れるに決まってるだろ」

「俺だって振り切れますけど?」

  いきなり言い合いを始めるな。これから試合だってのに。

「はいはい、そこまで。その時の状況を見て判断するから。できるだけ交互になるように、二人がマークを振り切ればいいんだよ」

「その手があったか」

「楽しそうだな」

 すぐに試合が始まる。

「翔、誰のマークにつけばいい?」

 礼をした後冬馬様に言われる。

「そうですね……、サト、この中にバスケ部員は?」

「いる。4番。多分、カケのポジションだと思う」

「他はいない?」

「いない」

「ふーん……。三試合やるって言ってたよな。……では、8番にサト、6番にスグ、7番に千明様、5番に冬馬様で行きましょう」

「「分かった」」

「「了解」」

 全員から了承を得て、それぞれ散らばる。ジャンパーは、向こうがバスケ部員のため、こちらも暁がやることにした。

 ――ジャンパーっていうのは、ジャンプボールをする際に、飛ぶ人。ジャンプボールっていうのは、バスケの試合開始の時に行うもの。審判がボールを高く上げて、ジャンパーのどちらかがボールに触ったら試合開始。――

  バスケの試合の中継とかを最初から見ているとわかるよ。一試合一回しかないから、貴重だよ。

 俺は、暁がマークにつく人についている。ジャンプボールが終わったら交代することにしたけど、覚えているかどうか怪しい。

 ジャンプの高さは暁のほうが頭一つ上で、普通にボールをコントロールできるほどに余裕らしい。ちゃんと俺の手元に来た。それを見る前から走り出していた、傑にパスを出し、ゴールしてもらう。開始三秒で、2点。マークにつくも何もなかった。

  これなら、楽勝かもな。マークを振り切るのも。

 一試合十分のため、暁たちのエンジンも全開だ。

  まぁ、第1Q(クオーター)分しかないもんな。

 ――第1Qとは、一試合、第4Qまであり、間に休憩時間が入る。1Q十分。――

 冬馬様達も含めた四人に、順番にパスを出していく。時々、3P(スリーポイント)を決め、点差は開いていく一方だ。

 ――3Pとは、あるスリーポイントラインの外からシュートを打つと、三点入ること。――

  漫画とかではよくいる。3Pシューターとか。SG(シューティングガード)が打つことが多いかな。決まるとすげぇーってよく言われる。

 結局、一試合目は、47点で、50点には届かなかった。

「次は、50点行けそうだな」

「っていうか、相手にならなすぎ。分かってたけど」

「暁、他にバスケ部員はいないの?」

 冬馬様に聞かれて、さっきまでダラダラしていた暁の背筋がピッとなる。

「います、多分最終試合で当たるチームに三人」

「三人だったら、僕たちは仕事がないかもね」

「確かにね」

「二チーム目にはいないのか?」

「いるけど、多分、またカケのところ」

「はぁ、またか」

「だって、PF(パワーフォワード)で待ってても、ボール来ないでしょ」

 ――PFとは、バスケットボールのポジションの一つ。バスケットボールののポジションをすべて紹介しよう。

 一つ目、PG(ポイントガード)。コート上の監督。ボールを持つことが一番多く、オフェンス(攻撃)時チームに指示を出し、得点できるように場所を整える係。判断力が必要。

 二つ目、SG(シューティングガード)。チームの点取り屋。スリーポイントシュートが得意な人が多い。PGと同じ役割をすることもある。得点能力が高い人がやる。

 三つ目、F(フォワード)SF(スモールフォワード)PF(パワーフォワード)の二つがあり、チームによって役割は違う。プレーするエリアが違う。様々なことをやるポジション。

 四つ目、C(センター)。チームの大黒柱。PGぐらい重要。高さや強さを持っている人がやる。ゴール下でよくプレーしている。ディフェンス(守り)では要のポジション。

 分かっただろうか。インターネットで調べるともっと詳しく載っているから、知りたかったら、調べてみるといい。――

「それもそうだな」

「本職のポジションじゃなくても、多分、チームの誰よりもうまいから」

「そうだね」

 結局、二試合目に51点を取って勝ち、三試合目は、一番ちゃんとした試合ができて、43点だった。

  まぁ、怪我がなくてよかったよ。逆に怪我をしそうな感じだったから。喧嘩もなかったし、上出来、上出来。

「はぁ、全く歯が立たないじゃないか。余裕勝ちだったぞ」

「一番最後にバスケ部が三人いたところだって、カケ一人で相手できるぐらいだっただろ」

「俺一人じゃ無理だよ」

「大丈夫でしょ」

「カケなら余裕だって」

「できそうだね」

「冬馬様まで。無理ですって」

「やってみればいいんじゃない?」

「千明様までそんなこと言わないでください」

「言いたくなるよ。バスケ部相手に、主導権を握らせないんだから」

「それは、一対一だからです」

「そうとは思えないけどな」

「そう考えていてください」

  冬馬様達、昨日見て判断した時よりも、動いてたな。やっぱ遠慮してたのか? 俺は、遠慮しかしてないけど。一本もシュートをしてないからね。

「カケ! サトのほうが一本シュート数が多い!」

 傑が、A5サイズの試合結果やシュートした本数などが書いてあるノートを握りしめながら言う。

「それは、お前が、俺にじゃんけんで負けたのがいけないんだろ?」

 四人に順番にパスを出したが、パスを出す順番は、じゃんけんで決めた。

  冬馬様達も含めてね。

 横で、試合結果を見ていたのか、傑の隣にいる暁が言う。

  あー、これは、喧嘩する予感。今まで喧嘩してなかったのに。二日連続はやめてくれ。

 ちなみに、じゃんけんは、暁が一番最初に勝ち、最後まで傑は勝てていないから、一本の差があっても仕方ない。

  まぁ、このルールは俺がPGをしたときのみのルールで、他のメンバーがやるときは普通にやる。

「はぁ? あ、でも、いいや。得点数は、俺のほうが高いし」

 先程まで握りしめていたノートを、もう一度開いて確認した、傑が言う。

  負けてないポイントを探したんだろうな。この短時間で。それも効果的なやつ。俺はやめてほしいと思っているがな。

「俺のほうがシュートを決めてんだから、俺のおかげで、守る時間が減ったんだからな。光栄に思え」

  光栄に思うわけないだろ。

「俺のほうが、得点決めてるから、それこそ、チームに貢献してると思うけど?」

  守る必要も、貢献してほしいわけでもないけどな。

 2人はにらみ合いながら停戦状態に入る。

  思いつかなくなったのか? はぁ、本当に、面倒。ミノにでも、押し付けたい気分。

 俺は、睨みあっている二人に近づき、一度手をたたく。

「はい、そこまで。昨日やったこと、全くわかってないみたいだし、今日も二人だけ部活休みにしてもいいんだからね?」

 俺が言うと、二人ともふいっと違う方向を向いた。

「翔、傑が持っているノートって、翔が何か書いてたよね?」

 冬馬様が後ろから近付いてきた。

「あ、はい」

「何が書いてあるの?」

「試合の記録です」

「どんなことを書いてるの?」

「得点を決めた人とか、決めた時間とか、シュートした位置とか、どうやってシュート位置まで行ったかとか、相手がどこにいた状態だったかとか、試合結果とかですかね」

「……全部、覚えているのか?」

「まぁ、十分でしたら、第1Q分ですしね」

「試合が終わった後、何かを猛烈に書き出したのは、それだったのか」

「はい。忘れてしまうので」

「翔が見れない試合は、他の人が書いてるの?」

「はい。誰でも書けるようにノートを作っているので、家の兄弟であれば、誰でも」

「相当な記憶力だね」

  このぐらい、普通にできると思うけどな。

「まぁ、このぐらいなら」

「普通ではないだろうね」

「そうですかね」

「うん」

 冬馬様が、翔は何を言っているんだ、という感じの目で見てくる。

  普通ってなんだろうなぁ。

 そんなことを、深く考えていられる暇などない。あの二人からノートを取り上げないと、延々と見ていて、次のメンバーに渡せないことに気づき、少し離れたところに移動した二人に近づくと、二人が一歩後ろに下がる。

  そんな怖いことしてないけど。

「サト、スグ、どっちがノートを持ってるんだ?」

「「こいつと一緒に呼ぶな!!」」

  めんどい。この状況で呼んじゃった俺も悪いけどさ。

「悪かったな。で、どっちが持ってるんだ?」

「「俺/スグ」」

「頂戴。次のメンバーに渡すから」

「ん」

 俺は、暁からノートを受け取り、パラパラと中を見る。

  特に何もしてないと思うけど、なんとなくね。

 授業終了のチャイムが鳴り、俺は男子更衣室に移動した。制服に着替え、更衣室を出る。教室に向かっている間に、次のメンバーに会えるだろうと思い、廊下をすたすた歩く。

  2人と一緒にいると、疲れるからな。どのペアといてもだけど。

「あ、カケ」

 廊下の向こうから、亨と雫が歩いてくる。

「サトとスグは? 一緒じゃないの?」

「一緒にいると疲れるからな。さっきも言い合いしてたしさ」

「なるほどね」

「はい、これ。データ化してほしかったら、記録しておいて」

「了解」

 俺が差し出したノートを亨が受け取る。

「今日の体育はどんな感じか、それを見ればわかると思うよ。それじゃ、頑張って」

 俺は、二人の横を通って教室に向かう。

 この時の俺は、二人から、大丈夫か、という目で見送られていたことを全く知らなかった。


「カケ、昼ご飯、一緒に食べよ」

 昼食を食べたりする昼休みの時間になると、亨が教室のドアから顔をのぞかせて言う。

  こっちに来て初めて、昼ご飯に誘われたかもしれない。冬馬様達は隣で食べてるけど。

 教室で一人、いつも通り昼食を食べる気でいた俺は、弁当箱とスマホを持って、教室を出た。

「トオから誘ってくるの、珍しいね」

「うん、まぁ……」

  トオの反応が、あやふやだな。珍しい。

「どこで食べるつもりなんだ?」

「……人目のつかないところ」

  人目のつかないところ、か。まだ、学校を全部把握したわけじゃないから、どこがいいのかわからないな。妥当なところでも出しておくか。

「屋上とか、校舎裏とか、か?」

「屋上は、あまり見ないね」

「じゃあ、行くか」

  トオのこの感じ、言いづらいことなんだろうな。早めに、トオの思い通りの場所に行った方がよさそうだ。

 俺は、亨の前を歩いて屋上に向かう。

「ここら辺でいいか?」

 屋上を覗きに来ただけではわからない、建物の横に立って言う。

「うん」

 俺はそこに座り、建物に寄りかかる。弁当を開いて、一口食べた。

「話、聞くよ。何があった?」

 隣に座った亨を横目に見ながら言う。

「今日のカケ、おかしかった。普段だったら、面倒でもサトとスグから離れない。カケこそ、何があったの?」

 亨が俺の感情を探るような目で見てくる。

  トオは、感情をちょっと出しただけでもわかるから、苦手だ。

「……何もないけど?」

「嘘だ。何もなかったら、サト達と一緒にいるし、冬馬様達からも目は離さない。それに、あんなそっけないことはない」

「そうかぁ?」

  普通にしている風にできてたと思ったけど、まだ隠せてなかったか。トオに分かられちゃ意味ないもんな。まだまだだなぁ、俺も。

「そうだよ。なんか考えてるでしょ」

「まぁ……、考えている……ことはある」

  トオだし、ちょうどいいか。あ、でも、昼休み四十分しかないから、今は無理か。

「何? 聞くよ」

  トオが真剣だな。これはちょっと、半端なこと言ったら怒られる。

「あの、さ、俺……」

「うん」

「……俺らが相談を始めたら、四十分じゃ終わる気がしないから、トオの予定が空いてる日にしないか?」

「……確かに。じゃあ、今週の土曜日の午前中」

  おし、半端な答えは許されないから、考える時間が取れた。よかった。

「了解」

 そこからは、二人とも無言でご飯を食べる。

  毎日夕食を一緒に食べてるけど、昼食だとまた違う感じだな。誰かと一緒にいるだけでも、なんかこう、緊張しなくていい。兄弟だからかもしれないけど。

「久しぶりに、誰かと一緒に昼食を食べるっていうことをしたなぁ」

 俺がなんとなく思ったことをつぶやくと、亨がすぐにツッコミを入れてくる。

「いつも冬馬様達と食べてるだろ」

「一緒というよりは、ただ隣にいるだけというか……」

「今日の俺も、隣にいただけだけど?」

「誘ってきただろ? 冬馬様達には誘われることもないし、席が隣なだけだから」

「それもそうか。俺の場合は誘わない限り、誰かと一緒に食べるってことも、隣にいるってこともないからな」

「まぁ、そうだよな。兄弟たちが、友達ができたー、なんて言ってきたこと一度もないからな。逆にできたら、すげぇ、って反応になる」

「知り合いでしかないよ。ただ、ちょうどこの場で会って、名前を知っただけの、さ」

「否定しない」

 2人で小さく笑っているところに、屋上に来るための階段を、誰かが上ってくる音がした。なんとなく気配を探る範囲を広げる。

  五人だな。前に二人、後ろに三人か。あー、くそっ、兄弟の気配ぐらいわかるようになりたい。これだけ一緒にいても分からないけど!

「カケ、何人?」

「五」

  今話しかけないでくれ。

 隣に座っている亨の気配と似ている気配かというのを比べる作業をしてみる。

  無理か。あれが、他人かもわからないから、比べられない。

「おい、俺が一番初めに聞くからな!」

「俺が先だ! 俺のほうが先に気づいたんだからな」

「あのさ、二人とも、もう気づかれてると思うんだけど……」

「シズ、もう遅い。ほっとけ。カケたちも気づいてるだろ」

「相変わらず、声が大きいなぁ。耳がおかしくなっちゃうよ」

  あの五人か。他の人がいないから比べようもないな。教室に戻ったらやってみるか。血とかで気配が違ったりしないのか?

 俺がそんなことを考えていると、隣に座っていた亨が立ち上がって、屋上に来るための階段がある建物の扉のところに歩いていき、仁王立ちをして待っている。

「あ、トオ。……もしかして気づいてた?」

 驚いた顔の暁が言う。

「当たり前だろ。声が大きすぎるんだよ」

 なんていう会話が聞こえてくる。

「大丈夫なのか?」

 稔の何かを探るような声が聞こえてくる。

「何が?」

 すべてを隠すような亨の声も聞こえてきた。

「何が? じゃないだろ。今日、おかしかったんだろ?」

「そうでもないけど?」

「トオのことは聞いてない」

 だんだん声が近づいてくる。

  あぁ、みんなが分かるほどおかしかったんだ。稔だけならまだしも。

「あぁ、カケのこと? 大丈夫だよ」

「今日のトオ、鈍くない?」

「そんなことないと思うけど」

 予定通り、バスケについて少し詳しく説明しましたが、ルールもあやふやなところがあるので、Bリーグを見たり、インターネットで調べてもらえると嬉しいです。

 さて、今回は七つ子がメインでした。交互にマークを外すとか、そこにパスを出すとか、決めてできることなんでしょうか……。この話を聞いている周りは、ドン引きです。できれば戦いたくないとか考えてます。稔たちは、他のことチームを組んでますが、攻撃は兄弟たちだけでやってます。


 次回は、亨と翔の話し合いです。二週間後に投稿です。

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