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12 ~当主家会議&保体のバスケ~

「まぁ、特別な存在だってことが分かってくれたら、いいです」

「なんとなく、わかったよ」

「そうですよね。こういうことを教えてくれる女中がいないんですもんね」

  教えてくれなくていいことも多々あったけど。

「教えてもらうものなの?」

「勝手に身に付いたなら、それでいいんじゃないですか?」

「そんなことできないよ」

「一度、当主様と相談してみたらどうですか?」

  というか、こういうの、アユたちは言わなかったのかな? ノゾとか、特に。

「そうする」

 晴樹様が答えるのと同時に、こちらに一人の気配が向かってくるのに気付いた。

  アユか?

 部屋の扉が開き、歩が顔を出した。

「ご飯行くよ」

「うん」

 晴樹様と夏樹様が立ち上がる。俺も立ち上がり、一番最後に電気を消して歩の部屋を出た。

「何話してんたんだ?」

 歩が俺を見ながら小声で聞いてきた。俺は、前を歩いている晴樹様達を見ながら、少し考える。

「……お二人の立ち位置に関して」

「よく、そんなところに踏み込んだな」

 歩が驚いた顔をする。

「アユたちが言ってないのか、と、俺は思ったけど? 特にノゾとか」

「言うわけないだろ。当主一族に関することだぞ? そんなところ、ずけずけと入っていけるわけない」

「アユって、妙なところ、自信なくすよな」

「悪かったな」

「まぁ、でも、お二人の未来に関することだし、一緒に住んでるし、助けられる俺としては、一応本人たちには知らせておきたかった。そのあと、行動に移すかは別だよ」

「それで、当主様に呼び出されても、俺は知らないからな」

「うん。勝手に呼び出されてくる」

「カケは、妙なところで自信あるよな」

「これでも、だいたいのところは、アユに連れまわされてるからね。多分、ノゾ以上に」

「あぁ、連れ出してる。話し合いの補佐は、カケのほうが向いてる。ノゾは、俺がいないところで、目を光らせてくれてる方が、向いてると思う」

「俺も、そう思う」

「俺の見方はあってるってことか」

「当たりはずれはないからね、そういうものに」

「まぁ、それもそうか」

 歩は、納得したように前を向いた。

「そういえば、当主様って、いつ帰ってくるんだ?」

 俺が、普通の声量で聞く。

「明日の昼」

 歩が答えた。

「どこかに行ってるってことか?」

「さぁ、そこまでは教えてくれなかった」

「お二人は知ってますか?」

 晴樹様と夏樹様は、一度顔を見合わせてから、首を横に振った。

「そうですか」

 玄関を出て、普段使っている女中の家に向かう。

「アユ、お二人は、嫌がってないのか?」

 俺は、歩に小声で聞いた。

「そもそも、女中の家ってことを知らないと思う。誰も教えてないんだろ」

「なるほど」

 女中の家に着くと、もう買い物組は戻ってきていて、準備を始めていた。

「おかえり」

 歩がそう言いながら、洗面所に向かう。俺も、晴樹様達も、歩についていく。手を洗い、台所に戻ってくる。

「カケ、二人、見てて。ノゾ、どこまで進んでる?」

  なんだかんだ言って、晴樹様達のこと、気にかけてるんだな。アユらしい。

「了解」

 俺は、二人を連れて、居間に入った。庭に面している方のふすまを開け、縁側に座った。二人もなぜか、横に座る。

「えっと……」

 台所からは、望が歩に説明している声がする。

「カレーって、普通のカレー?」

 俺の横に座っている、晴樹様が俺を見上げながら、きいてくる。

「普通の、とは?」

「女中が作ったやつ」

「普通ではないと思います。似てるかもしれませんけど」

「女中の、食べたことないの?」

「いいえ、食べたことはありますよ。何回も。でも、忘れましたね。こっちに来てから、一か月半は経ってますけど、その間、兄弟特製のしか食べてないので」

「おいしい?」

「それは、お二人が決めることです。僕的には、好きな味ですけど」

「そうなんだ。楽しみだな」

 ただ純粋に楽しみ、という顔をしている晴樹様が言う。

「あ、そうだ、翔、父さんに話すとき、一緒に来てくれないかな?」

「何の話をするのですか?」

「さっき、翔が言ってたことについてだよ。僕たちじゃ説明不足だろうから、翔から言った方がいいと思う」

  五歳ですよね? しっかりしすぎでは? それに、俺から言ったことだけど、当主一族会議に呼び出されるのは……。多分、当主様以外に、美佳様も来るでしょ。でも、当主一族のお願いは断れないし……。……自分の蒔いた種は、自分で回収するしかないよな。はぁ。

「分かりました。話す日が決まったら呼んでください」

  結局了承してしまった……。というか、ここまでできてたら、こっち方面については、何も言わなくていいよね。何を見て真似したのか、そもそもの能力なのか知らないけど。

「よろしくね」

 その後は、年長の双子が作ったカレーを食べ、片づけをして、屋敷に戻り、ばらばらに分かれて女中の家の風呂に入り、寝た。

  この日は、珍しく、寝る前に漫画とか読まずにぱったりいったんだよね。疲れてたのかな?

 翌日の昼には、当主様達が戻ってきて、晴樹様と夏樹様の面倒を見る役目を降ろされるかと思いきや、歩たちは、今後もよろしく、ということで遊び相手になっているらしい。

  嫌々、という感じではなかったから、いいけど。

 歩たちというくくりに、俺ら七つ子と上の皐たち四つ子は入っていないから、実質、年長の双子だけ、らしい。

 俺は、その晴樹様達に呼び出され、夕飯前に当主夫妻と晴樹様と夏樹様と一緒に相談をすることになり、早く逃げ出したいと思いながら、説明をした。

「そういうのもあったか。ありがとう、翔君。全く気付かなかったよ」

「でも、女中は入れたくないですよね?」

「もちろんだ。千明は心配だけれど、それ以上に、翔君たちに迷惑をかけてしまう」

  気にしてないですよ、とは言えない……。サツの運命もかかってるから。俺だけだったら、普通に引き受けるけど。

「ほ、保育園に行っている間の時間とかだったら、いいんじゃないですか? この屋敷じゃないところでやれば……」

「それもありだね。まぁ、でも、いったんは、呼び方だけ変えようか。自覚がないなら、それはそれでってことで、翔君たちは、君付けね。冬馬たちからも言われているんだろう?」

「……はい」

  まだ、実行できてないけど。

「晴樹たちも、翔君たちのこと、君付けね。優斗たちは、兄さんね。千明も忘れちゃだめだよ」

  えぇっ、いや、それはなんか……。

 なんて声を、口に出せるわけもなく、心の中にとどめておく。

「分かった」

「他は、七歳からだよね? その時に考えよう。美佳、適当に出しておいて」

「そうですね。分かりました」

「じゃあ、翔君、晴樹たち連れて歩君たちのところに戻ってくれていいよ」

「分かりました」

 俺は、晴樹君たちを連れて、歩の部屋に向かった。

「翔君、歩君、望君……。難しい。千明の言ってたこと、わかる……」

「千明兄さん、だよ。晴樹」

「あ、そうだった」

「頑張って、慣れてください。僕たちも慣れますから」

 俺はそういいながら、ポケットに入れていたスマホを取り出し、兄弟のグループメールを開き、

 ―晴樹様と、夏樹様を君付けで呼ぶことになりました。(強制だと思われる)―

 と打ち込み、送った。

「うん。頑張ろ。まずは、名前を覚えるところから」

  そこからっ!?

「翔……君。他の人の名前、教えて」

「えっと……。そういう場を設けましょうか?」

「じゃあ、それが決まったら、誘って」

「分かりました」

 その後は、いつもの休日を過ごした。

  ……おっと、いつものではなく、これから、いつもになる休日を過ごしただ。


 翌日。

 学校で、二度目の体育がある。

  今日は、ケンカしないでくれよぉ。止められないんだから。みんなの前で、俺一人では!

 前を歩いている二人を見ながらそう思う。

 前回は、体力テスト的なことをやらされたため、ちゃんとした体育は、初である。

  どうやったら、体力テストから、殴り合いのけんかに発展するんだよ。って感じだけどな。いつもそんなもんだ。

 ちなみに、この時期、一年はバスケをしていて、二年は野球で、三年はサッカーらしい。

「二年はずるいなぁ。タツ、どんなことやらかすかな」

 と、傑がぼやく隣で、全体を見回している、暁がいる。

「バスケで良かっただろ。()()()問題ない」

「はぁ? どこがいいんだよ。そこが問題なんだよ」

「そんなことより、もっと重大な問題があるんだよ」

「そんなもん、ねぇよ。バスケな時点で問題だ」

  はぁ、よう、飽きないよ。ほんと。

「はいはい、ストップ。サト、重大な問題って?」

 俺は、これ以上発展してほしくないため、見知らぬふりをして離れていたかったが、そんなことができるはずもなく、なんとなくで、二人の間に入っていた。

「腕の立つやつがいない。同じチームに入れるとしても、全~~く役に立たなそうっていうこと」

「そんなもん、わかってたことじゃね? どこが重大なんだ?」

「チーム分けで、知らねぇやつ、使えない奴を入れられたら、そいつらと協力なんて、100パー無理だろ」

「そこは、全てカケがフォローしてくれるから、何の問題もないだろ。俺らは俺らでやって、カケに負担をかけさせないように、単独で点を取ればいいんだから」

  おいおい、全て俺に押し付けようとするな~。自分でもやってくれ~。

「それいいな。誰の協力も得ずに、やるということだよな?」

 挑発的な顔をしながら暁が、傑を見る。

「そういうこった。腕の立つやつがいないんだから、そのぐらいできるだろ?」

「勝手に、二人で話を進めるな!」

「わぉ、え、でも、カケに負担をかけさせなければいいんだよね?」

 対して驚いていないような感じの傑が言う。

「そこに突っ込んでるわけじゃない!」

「じゃあ、なんだよ」

  説明する気が起きない!

「あぁ、もう、それでいいよ。面倒になってきた」

「じゃあ、サト、それで」

「おう」

 二人がやる気になったので、俺はもうほおっておくことにした。

 ここで、暁の言いだした、チーム分けについて説明しておこう。

 体育は二クラスでやる。バスケのチーム分けは、一クラス、男女に分かれ、その中で、五人ずつに分けてチームを組んでいく。すると、俺らのクラスは三人、暁と傑のクラスは二人余る。その、余った、三人と二人を足して、五人でチームを作ることになる。

 二人の中では、暁と傑が余ることは決定事項で、クラスも自分のチームに入れる気はなさそうなチーム分けになっている。そして、俺らのクラスからは、俺が確実に残ることになっているらしい。

  他の二人も、もう決まってるっていうのにな。

「あのさぁー、二人とも、こっちのクラスで残る三人って、決まってると思うんだけど」

 俺が言うと、二人とも、誰だ? という顔でこちらを見る。相当、兄弟以外でチームを組んだ時に、協力ということをしたくないのだろう。それも、部活に入っている強いやつではなく、ただの素人も混ざっている人たちだと、なおさらだ。

「言っちゃ悪いと思ってるけど、冬馬様と千明様が、どこかのチームに入れるとでも思ってるのか?」

「ないな」

「ない」

 二人は即答だった。

  なんだ、わかってんのか。

「冬馬様達なら、まだましだ」

「だからさ、そんな重要な問題でもなければ、協力するとかしないとか、フォローするとかしないとか、考えなくていいだろ」

「そうやって考えれるのは、まだ、カケぐらいだと思うぞ」

「まぁ、でも、カケがそう考えてくれてるなら、いいや」

「ありがたいな」

 結局、俺と冬馬様と千明様が、他のチームに入れてもらえるという、特殊なイベントもなく、暁と傑も入れてもらえるはずがないため、五人で組むこととなる。

  最初から決めつけてるように書いてるけど、本当にそうだから、書き方は何でもいいだろ。

 突然なのだが、この学校の体育館は、すごく偏っていると思う。部活体験の時にも来た体育館でバスケをやるのだが、コートが四面もあるのだ。確かに、バレーコートやバドミントンのコートより、小さいが、バレーコートが二面なのに、バスケコートが四面あるのか、それがすごく気になる。

  バレーコートがある方が、第一体育館で、こっちが第二体育館という名前だから、後から作るのに、大きく作ったのか?

「それじゃ、チームごとに分かれて、五分練習」

 体育の先生に言われ、指示されたゴールの前にそれぞれチームごとに走っていくが、俺らは、ゆっくり歩いてゴール下に向かった。

 ゴール下についたところで、練習するわけではなく、打ち合わせがメインだ。俺と暁と傑は、練習しなくても合わせられるでしょ、みたいな空気だった。先ほど、二人で単独行動すると宣言していたし、確かに、合わせる必要はないと思う。

  合わせるようになった時、本当に合わせられるかは知らないけどな。唐突に二人は意見が変わったりするから。先が読めない。まぁ、データしか見てないけど、合わせてやりますよ。そのぐらいはできないと。

 それ以上の理由が、冬馬様達と練習するのか……という空気である。暁と傑はまだ慣れていないため、やるなら二人がいいという空気だった。

  なんで、こんな時だけ意気投合してるのさ。漫画とかでよくあるけど!

「ポジションだけ、なんとなく決めた方がいいんじゃないかな?」

 千明様が、そう切り出してくれた。

  千明様が切り出してくれなかったら、どうなっていたことか。

 俺は、千明様の話にすぐに乗っかる。

「冬馬様達は、どこがいいですか?」

「どこでもいいよ。空いているところで」

「じゃあ、PG(ポイントガード)は、カケでいいですか?」

 暁が言う。一応、バスケ部所属だ。このチームの中で、一番バスケについて詳しいと思う。

「いいよ。暁と傑は?」

「ポジションとか、あまり考えてないです。好き勝手に動いてるので。な?」

「おう」

  確かに、好き勝手にやってるな。兄弟とやってるときは。

「翔、どうするのが一番?」

  えっ、何? もう冬馬様に聞かれるぐらいになっちゃったの? 責任重大すぎるだろ。

「……そうですね。好き勝手に動いてもらえれば、パスを出すので、ポジションは決めなくていいと思います。マークマンだけ、その都度決めましょう」

「うん、それでいこう」

 冬馬様と千明様は、各々で準備運動をしだす。

  昨日見てた感じだと、他の人よりは、断然うまいし強いんだよな。なんか、こう、小説ではあまり見かけないけど、スポーツ漫画では見たことあるような……感じ。

「カケ、俺らに出すときは、交互にしろよ」

 しっかり当主家会議に呼び出されました。その中で、しっかり意見が言えるのは、兄弟の中でもそうそういません。(特に一人だと)

 そして、二回目の体育。バスケです。これでも、ルールは知っているつもりですが、そこまで細かくは話に出てきませんので、安心してください。次回には、一応、全ポジションと特徴を紹介するかもしれません。(ルールについては、有名なバスケ漫画でも漁ってください)


 次回は、登場人物紹介 望編です。

 これは、7部分目の特別編と同類の、名前が変わったやつですね。

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