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第4話、ティリア中央駅

 


 次の日、目覚めよく起きた俺は服が昨日のままだった事を思い出し、着替えた。

 そして時計で時間を確認すると9時過ぎだった為、急いで朝食をとりに食堂へと向かった。

 学園にいた頃は毎朝7時に起きてたが、疲れが溜まってたのか思いのほか寝てたようである。

 朝食はフレンチトーストと添え合わせのベーコンとスクランブルエッグ、そしてコンソメスープである。

 この辺りの味は学園の寮と対して変わらなかった。

 そして朝食を摂った後、部屋に戻り荷物を持ってチェックアウトしに受付に行った。

 この『精霊の安らぎ』はチェックアウトが3時という他の宿より少し遅めらしい。

 だが、俺はサッサと朝食を済ませた後荷物を持ってチェックアウトした。

 受付の人は昨日のエルフではなかったが、多分夫で夫婦で宿屋を経営しているのであろう。

 そして受付で部屋の鍵を返却すると俺は『精霊の安らぎ』を後にした。

 そして俺は「あっ」と思い、こっそりと《ミラージュ》を自分に掛けた。

 街中には防犯目的で監視カメラが至る所に設置されており、もしかしたら王家や国が俺を探す可能性があった。

 もはや死角なんて無いんじゃ無いか?と思う程に監視カメラは設置され、街をスキャンするかのように満遍なく設置されている。

 その為、非常に治安は良いが、今の俺にとっては邪魔な存在だ。

 固有スキル《ミラージュ》は顔などを変える事が出来る変装魔法で、非常に使い勝手が良い。

 ミラージュがあれば監視カメラに映っても本人と判断されない為、非常に便利である。

 しかし、使える人は☆3なだけあって非常に少ない。

 最も、多いと監視カメラと意味がなくなる為、少ない方が警察などにとっては良いのだろう。

 そして俺はしばらく歩きティリア中央駅に辿り着いた。

 ティリア中央駅はデザインは大阪にある梅田駅みたいな近代的建築の駅である。

 最もティリア中央駅は梅田駅よりも多くの路線などが乗り入れており、非常に大きい。

 俺が向かったのは高速鉄道乗り場ではなく普通電車乗り場である。

 この首都のティリアから『塔』があるスフィールノまでは約2800kmもの距離がある。

 その為、高速鉄道(日本で言う新幹線)だと料金が高すぎるのである。

 首都郊外にあるティリア国際空港からネフィラ空港まで約1000〜1500エル(10000円〜15000円)なのに対し高速鉄道だと2500エル(25000円)も掛かる。

 金はあるから良いのだが飛行機で3時間程なのに対し高速鉄道は約10時間もかかる為、この距離で高速鉄道を選ぶ理由が無いのである。

 そこで俺がやっていたのはSIRの案内センターである。

 SIRは独立行政法人スフィアナ旅客鉄道の略であり日本で言うところのJRにあたる。

 元々スフィアナ国有鉄道であったが、日本国有鉄道と同様に財政難に陥り民営化した。


「すみません、スフィールノまで行きたいんですけど。」

「はい。高速鉄道でしょうか?」

「通常鉄道でお願いします。」

「畏まりました。今からですと・・・1時間後の13:17に出発します旅客特急がありますがどうなさいますか?」


 案内センターの人に勧められたのは旅客特急と呼ばれる通常鉄道とは別の専用線路を走行する鉄道である。

 他の通常鉄道とは違い、殆ど駅に留まらずに長距離間を数十時間かけて走行する列車の事である。

 時刻表を見ると今日の13:17に出発して明日の16:25にスフィールノに到着する予定だった。


「では、それで。」

「畏まりました。こちら通常の座席と個室と両方ありますがどう致しますか?ちなみに個室はA〜Cランクまでありまして、Aランクのお部屋とCランクのお部屋は全て埋まっておりまして、Bランクのお部屋は1つだけ空いています。」


 通常の座席とは夜行バスみたいな席であり、確かにアレだとかなりキツイな。

 個室は金持ちの人や貴族などが利用する部屋であり、Aランクの部屋は確かに高そうな内装をしている。

 通常の座席で一夜明かすのは嫌だし、まぁ金はあるからBランクの個室でいいかなぁ?


「では、そのBランクの部屋をお願いします。」

「畏まりました。料金は先に頂戴しています。鉄道料金が1200エル、個室料金が800エル、Bランクの料金が500エルの計2500エルになります。」

「はい。」


 そしてスマホ(魔道具)をかざすとおサイフ携帯みたいにピロンッと音が鳴った。

 これで支払いは完了である。

 この機能は自分の持っている口座とスマホを直結させる事で出来る支払いサービスである。

 少ない金額なら現金で支払うが、2500エル(約2万5000円)もの額になるとこの機能を使い支払う人が多い。

 俺の財布の中には300エル(約3万円)程しかない為、2500エルも支払ったら残りは500エル(約5000円)しか無くなる。

 流石に旅(みたいな物)をするのに財布の中、500エルは少な過ぎる。


「では、確かに頂戴致しました。こちらはレシートと、鉄道乗車券と個室客車乗車券になります。再発行の場合は再発行料がかかりますのでお気を付けください。それではより良い旅を。」

「ありがとう。」


 そう言ってチケットを2枚受け取ると案内センターを後にした。

 列車出発まで後1時間、さてどうするかな。





 少し時を遡り、レインが鉱石の買取を行っている時、スフィアナ連邦国首都ティリアの中心部にそびえ立つ城。

 首都ティリアは城や政府機関が集まる北側と商業地区や高層ビル群区画が立ち並ぶ南側と分かれている。

 東側はティリア湾と呼ばれる東京湾の3倍程ある大きな湾があり、西側は精霊湖と呼ばれる非常に透き通った綺麗な湖がある。

 この精霊湖は数百km離れた山地の雪解け水が流れ出てきており、それが溜まって湖が出来た。

 その為、霞ヶ浦のように海と分離して出来た訳ではなく別々に出来た。

 精霊湖のは非常に大きな湖で、面積は約1500㎢にもなる。

 ちなみに日本最大の湖である琵琶湖の面積は約700㎢であるからどれ程の大きさの湖か分かるであろう。

 そんな精霊湖が海のギリギリまで迫っている為、北側地区は幅が30km程、南側地区は80km程であり、南北でかなり偏っている。

 ちなみに北側の向こう側は自然保護区に指定されている森林地帯である為、先に行く道は無い。

 精霊湖は南側より北側に偏っており、精霊湖による妨げを受けない為、南側はかなり広い。

 そんな南側は300mや400m級の超高層ビルが建ち並び、この国兼世界最大の都市となっている。

 スフィアナ連邦国の首都ティリア中央州は8万㎢と北海道並みの広さがある。

 しかし都市は自然保護の観点からそこまで広がっておらず、東京都と神奈川を合わせたくらいの4500㎢しかない。

 その内、中心部にあるティリア公園(約800㎢)と北側を除いた南側の面積は3200㎢程である。

 その3200㎢の中に約1200万人程の人口が住んでいる為、東京都程とまではいかないがかなり人口密度は高い(東京都は6349人/㎢、南ティリア側は約3750人/㎢)。

 そんな南側の沖合20kmにはティリア国際空港がある。

 ティリア国際空港は4000m級滑走路2本、3500m級滑走路1本、3000m級滑走路2本のハブ空港である。

 ちなみに関西国際空港みたいに何もない所を埋め立てたのではなく、長崎空港みたいに島を空港にしたのである。

 ただ、小さな島であった為、空港の拡張と共に面影は一切見られない。

 そして、北側と呼ばれている場所は政府中央省庁などのスフィアナ連邦国の行政機関がある区画と保安隊と呼ばれている武装警察の駐屯地、そしてティリア城と呼ばれている城、そして自然公園がある。

 北側の面積は約500㎢であり東京23区の約4分の3程であり、行政区画•駐屯地区画•王城•公園がそれぞれ1:2:4:3の割合である。

 つまり、ティリア城は192㎢もの広さを待つかなり広大な場所なのである(ちなみに日本の皇居は64㎢な為、皇居の約3倍以上)。

 最も公園の方も137㎢もある為、代々木公園の54㎢より大きいのだが、王城よりは小さい。

 その為、ティリア中央州中心部にあるティリア公園がどれ程の広さか分かるであろう。

 すぐ近くに空港や空軍基地があるが、重要施設が集まっている為、上空は飛行禁止エリアである(その為、国際空港は20kmも沖合に建設したのである。関西国際空港は5km沖合)。


 そんな国の重要区画にやって来たのはエルネランド学園長であるテスニア•フォン•エルネランドだ。

 彼女は度重なる検査を受け、銃を持った保安隊員がいるチェックゲートを通り王城へやって来た。

 何度も通る検査に嫌になるが、会う相手がこの国の国王な為、仕方がないと諦める。

 最も、検査は王城区画のみだが、その区画内でも既に3回も検査をし、金属探知機や赤外線探知機のゲートは何度もくぐっている。


「今、陛下は政務中ですので此方の部屋でお待ち下さい。」

「はい、ありがとうございます。」


 そう言われ案内の保安隊員に部屋に入るように言われ部屋に入った。

 部屋に入って感想は一言で言えば非常に豪華絢爛であった。

 美術館にでも飾ってそうなソファーと装飾が施されたテーブル、この部屋の家具一つで自分の年収が釣り合いそうなレベルであった。

 この部屋には何度か入った事があるが、入る度に自分がこれから会う人がどれだけの力を持った人か想像出来る。

 しかし、これから話す事が嬉しい話ではない残念な話をしなければならないのは非常に残念だ。

 そうこう考えている内に部屋の扉がノックされ3人の男女が入ってきた。


「わざわざ済まないな。早速だが、結果を聞かせてくれ。」

「は、はい。」


 そう言って来たこの人こそ、このスフィアナ連邦国の国王であり、なおかつレイン•フォア•スフィアナの父であるフィルナンド•フォア•スフィアナその人であった。




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