第0話 たとえそれが、愚かでも
第三回書き出し祭りに参加した作品の、連載バージョンです。
不定期更新ですが、よろしくお願いします。
暗闇が、怖かった。
静寂が、怖かった。
孤独が、怖かった。
まるで世界に一人きりのような夜が、怖かった。
《アキラ》
そんな時は決まって、《彼》が頭を撫でてくれた。
大丈夫だと、言ってくれた。
物心ついた頃から、いつも側にいてくれた。
守ってくれた。
だから一人じゃないのだと、怯えなくて良いのだと、思えるようになった。
《大丈夫ダ》
……本当に?
問いかけた幼い僕に、それでも《彼》は力強く頷いた。
真っ直ぐと僕を見て、それが何より正しいのだと言いたげに。
《必ズ、護る》
まだ小さかった僕は、その言葉に安堵した。
それなら大丈夫だと、信じた。
信じてしまった。
まだ、何も知らなかった頃の話だ。
まだ、何もわかっていなかった頃の話だ。
あの頃の僕は、何も知らなかった。
いや、今も僕は、何も、知らない。
それでも僕は、傍らの《彼》の手を、離せない。
異形に縋る人の愚かさを知りながら、今日も僕は、《彼》に護られている。
とりあえずプロローグ的なのくっつけてみました←
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