プロローグ
光の道を歩いている、黒く肩までの髪が光を受けて少し赤茶色に透けて見える
少女はまるで雲のような壁に手を付き大きく息を吐き出すと
「確かに、白い何も無い空間を歩くと気が狂いそう、光が見えるだけましかな?」
少女の名前は緒方 悠<おがた ゆう>、温品中学校<ぬくしな>1年、アニメと百科事典、ネット小説を
こよなく愛するオタクな少女である。
暫く進むと少し開けた場所に出た、開けたと言っても白い壁が部屋のように広がっているだけだが。
「良くここまでたどり着きましたね、不屈の悠」
「ちょ、誰が不屈よ!」
声のするほうに顔を向けると紫の長い髪を”ふわり”となびかせた怖いぐらい美しい女性が立っていた。
「だって、罵倒されても、教科書を隠されても、靴を捨てられても、濡れ衣を着せられても、
学校に行き続け、現在進行形でいじめられている 緒方 悠ちゃん?」
悠は学校に入って以来ひたすらいじめられていたが、
「いじめ?自分の意思に従わない人を、能無し達を使って排除もしくは従わせようとする
ただの人殺し予備軍の行為?そんなもの怖くもなんとも無いわ!」
と、いじめの主犯格の裏に居るただの卑怯者すら、犯罪者と馬鹿にし、子供が大人になったような教師すら馬鹿にして、まとめて無視していただけなのだが。
「人は暴力の恐怖に、一人になることの恐怖に心が恐れるものよ、それを馬鹿にしたり無視できる
そんな貴方は、私と私の眷属には「不撓不屈の悠」と呼ばれているのです」
悠は軽く首を横に振りながら、
「勝手に厳ついあだ名をつけんな!ってかここ何処よ?」
女性が手をかざすと床からオリーブ色のソファーとサイドテーブルが競りあがってきて、
女性は深くソファーに腰を下ろす。
「此処は召喚回路の隠し通路、貴方達はおろかな王の目論見で集団召喚される途中です」
悠も向かいに腰を下ろすと紅茶が出てきて薦められる
「ども、で、貴方が、おろかと言う事は王が勝手にやっているとか、そんな感じね?」
女性は頷くと幾つかの資料を渡してくる、資料には、異世界の情報が詳細に書き込まれており
王の性格なども確りと書き込まれていた。
「これを渡すと言う事は、今から召喚を無かった事に出来ないと?」
先ほどまでと違い苦笑いを浮かべる女性は紅茶をサイドテーブルに置く
「そうです、送還の方法もありません」
「で?私をここに呼んだと言う事はひいきしてくれるのでしょ?」
「賢い子は好きですよ、簡単に言うとあの王を困らせたいのと、貴方をいじめたもの共に
罰を与えるのも込みです」
きれいな笑顔でなく、人の悪そうな笑顔を浮かべた女性と今後の悠の行動を打ち合わせた。
「ありがとう、次の世界で楽しめそう、まさか私がチートキャラになるとは思わなかった」
「良いのよ、私も楽しむから、そうそう私の名前言ってなかったわね
アテナよ」
こうして光に包まれこの空間から悠の姿が消えた
「うふふ、楽しみね♪私の皇子を傷つけたり利用しようとする者も滅ぼさないとね♪」