西郷さんがツンを連れて故郷に帰るようです
更に2匹、アルミラージを獲ったが、やはり、リヴォルヴァーカノンだけで倒せた。
森に入る者の安全のために、アルミラージを駆除する。そして勝った分だけ俺達は強くなる。
コンチータとパウラに俺に付きたい若いラース族を集めてもらい、魔獣の来ない荒地に補給基地を造った。
基地と言っても、丈夫なテントをいくつか集めて張っただけだが。
草原に入っても、俺達を襲ってくる魔獣はいない。射程に入れば、撃って獲る。それはジャッカロープでも同じだ。
コンチータにアイテムバッグを持たせ、獲物を売って必要な物を買って来てもらう。毎日ウサギのステーキを食べ、ニワトリのスープを飲んだ。
若いラース族を鍛える内に、熟練度が10でなくとも霊気を五分割出来る事が判った。
圧縮型闘気弾をライフル、五分割をハンドガンと名付けた。
子供達は俺を統領と呼び、ツンが一の姐、コンチータが二の姐、パウラが三の姐だった。
俺に寄って来る娘達は、恋人になって楽がしたい訳ではなかった。
この世界では、子供は簡単に親を失う。優れた年上の者が愛してくれるなら、慕いたい。
10日後にツンが14歳になる日に相談した。
「10日後に、あいつを獲ろうか」
「明日から何か、用があるの?」
「いや、ないが」
「じゃあ、明日でいいよ。あれは、ただの獲物だから」
荒地の奥の森の奥も、西の森と変わらなかった。最初にアルミラージを獲った日のように、シダを避けて進む。だが、あの日とは俺達の強さと場数が違う。
ツンが獲物を見付ける。どれだけ慎重に近付いても、腕の中に霊力をロードすると、気付かれてしまう。
山羊角は俺達を見た次の瞬間、リヴォルヴァーカノンの雨を浴びて命の風になった。
レベルアップした。だが、それだけではなかった。俺は、しばらく動けなかった。
「タカヒロ! ねえ、タカヒロ!」
ツンが心配して、俺の左腕を揺する。
「だいじょうぶだよ、ツン。記憶が戻っただけなんだ。二人分な」
西郷孝広は親を失った子で、子を失った親だった。忘れたかったのだ。
だが、それはもう前世の事だ。ここにはタカヒロを愛してくれる者、慕ってくれる者、心配してくれる者がいる。そして、ガビランの帰りを待っている者がいる。
「ツン、一緒にトラロックに行ってくれないか。ガビランには妹のような子がいた。妹だとしても、俺一人で会いに行ってはいけないと思う」
「どこでも一緒に行くよ。タカヒロは『群れを養える狩り手』だから、恋人はいっぱいいていいんだよ」
「ツンはやさしいな」
リタが、神殿で気が付いた日のように手を取った。
「帰って来るよね」
「もちろん。向こうの子供にハンドガンとライフルを教えたらな。俺には、ここが故郷なんだから」




