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西郷さんがツンを連れて宿敵と対決するようです

 カサンドラは目の前の誘惑に負けず、知り合いの鍛冶屋にボタンエビを配ってくれたが、これと言った情報は得られなかった。


 魄が増えたので、専用のネックレスを造る鍛冶屋に行った。アリアドナさんは肌に当るように穴をあけた布に包んで手首に巻き、その上から篭手を着けていた。

 カサンドラでも造れるが、装飾品を得意にしている鍛冶屋がいる。見てくれが良かったり、魄を入れ替える時にやりやすかったりする。

 魄や魔導的な宝石の装飾品は四つまでしか効果がない。状況に応じて持ち替えないといけないのだ。

 どうしてと言われても、五つ目は認識されないんだからしょうがない。

 ギルドで紹介された鍛冶屋は、まだ二十歳前後の人間の女で、名前はブランカ。

 店に出てきた時は裸エプロンだった。こっちが普通。ネックレスの出来はいいと思う。


 雷の矢は消費MP5で射程は40メートル。対物ライフルより威力も射程もちょっと落ちるが、麻痺の効果が絶大。カモメが落ちる。カモも落ちる。七面鳥なんか二発で見た目無傷。

 魔獣の魔法は全体に消費MPが少ない。どうも、地球人がチンパンジーの先祖に負けた負け組なように、ここの人間は魔獣の落ちこぼれらしい。


 カモは見えないところから、自分に当らない攻撃があると向ってくる習性があった。

 布被ってナマズ撃つと、逃げたカモが襲ってくると言う、よく判らない習性。

 獲れればいいのだけど、中々近くで飛んでくれない。それでも何度か獲っていると、カモ狙いで撃ったナマズが落ちてから動かなくなった。

 気絶しているのか麻痺しているのか、こっちも獲れるものなら獲りたい。


 水に落ちた大きな獲物を回収する方法を漁協に聞きに行くと、銛打ちを紹介された。

 180センチくらいあるラース族の女だった。名前はコンチータ。やっぱりツンを姐さんと呼ぶ。

 丈夫な縄の付いたでかい銛を打ち込んで引っ張る、昔の捕鯨のような感じだ。


「兄いの技は大勢に見せられねえから、銛打ちは一人としても、ファニタとパウラを引き役に連れてっておくんねい」


 ハゲにそう言われて、断る事も出来もない。ナマズ漁は本来20人以上でする漁らしい。


 栗林の辺りは岸からすぐに深くなっていて、比較的岸辺近くでナマズが跳ねやすい。

 射程内で跳ねたナマズに矢と言うより球電的なものを放つ。6人分当っても死ななかったが、腹を上にして浮く。カモは反対方向にすっ飛んでいった。


「よっしゃああ!」


 コンチータが捕鯨用のような銛を投げ、ナマズの腹に刺さる。

 全員で綱を引き、陸に引っ張り上げた。アリアドナさんが渾身の一撃で止めをさす。

 初めて見た時には、あんなでかいのを獲れるのかと思ったが、拍子抜けするほど簡単に獲れてしまった。

 RPGのスタート近くのボスがしばらくして雑魚で出て来たみたいだ。


 銛を抜いて、アイテムバッグにしまおうとすると、


「肝臓が、欲しいのですか」


 とアリアドナさんが言った。林の中を見ている。

 ゆっくりと近付いてきた白いそれを、最初、二つ腕より小さいカニだと思った。

 よく見ると、腕が人間と同じで、指がある。

 皮膚の感じも柔らかく、上半身は完全に人間だった。


「アラクネ?」

「然り」


 それは返事をした。アラクネは人間と交渉するのがいる。白いものは撃つの例外だと教えられている。


「魚の、肝が欲しい。久しく食していない。ドロテオが、ミミズクに食われてしまってからは」


 ドロテオは、オケラを持っていた男の名だった。


 栗林の奥には魔獣化したオオミミズクが数羽棲んでいた。これが、迷い込んだ未熟な冒険者を襲っていたのだが、アラクネはパーティーが襲われているところに通り掛かり、襲ってきたミミズクを撃退した。

 1人だけ、若い男が重症を負いながら生き残っていた。


「人の言葉が判るのは、以前、その女のように心話力のある女に触れられたからだ。その女も大怪我をしていて、直ぐに死んでしまったが、ドロテオはその女を思い出させた。死んだ者の荷物から薬を探し、飲ませてやった」

 「1人だけ生き残れば、記録があるはずなんだが」

「それは、判らぬ。礼をしたいと言うので、魚が欲しいと言ったら、ケラがあれば旨いのが獲れると答えた。棲家の側の洞窟にケラがいることを教え、獲らせてやった」

「あなたは、何時からここにいるのですか」

「判らぬ。己が何者なのか知ったのは、女に触られてからだ。ただ、旨い物が欲しい」


 高知能の魔獣は突然自我を持つのだろうか。本能に従って動くしかないのだろうな。


「ドロテオが死んで30年なのですが、なぜ今まで誰とも接触しなかったんです」

「時間は、判らぬが、ドロテオが言っていた。ミミズクの仕業を我が罪にされると。その魚を獲る者はいつも大勢だった」

「俺達を、信用してくれますか。アラクネは人間と契約して糸を売るのがいると聞いています」


 アリアドナさんとファニタが頷く。


「そう出来れば、よいが」

「ミミズクを1匹獲って行けば、いいかもしれない。俺達で勝てそうですか」

「おそらく、負けぬ。3羽なら我が負けぬから」


 アラクネと一緒に森に入ったが、ミミズクは出て来なかった。アラクネが強いからだろう。

 翌日俺達だけで探す事にした。ミミズクの出る辺りでなら、アリアドナさんが心話で呼べば判るそうだ。

 

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