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西郷さんがツンを連れて思ったようにいかない時もあるようです

 3日目にはチュウカマが足りなくなるので、午後の5回をミズカマでいいか組合長に相談したら、なんで7匹しか持って来なかったと言われた。今更そんな事言われても。

 一番危ないのがキングサーモンで、俺達なら問題ないらしい。しかも別の生き物の魄を呑む習性がある。

普通の消化器官だと呑んでいても強化はされない。


「深海に棲むドラゴンの魄が出たこともあるんでえ」


 それは特異例だと思うのだが。キングサーモン自体が本来管理区では獲れない外道で、それが魄を呑んでいて、更に大当たり。


「キングサーモンが来るポイントはあるんですか?」

「場所は言えねえが、ある。しっかし餌がオケラだぜ。オケラのいる所にゃ下手すりゃマイナードラゴンがいらあな」


 命がいくつあっても足りない、みたいな。いや、何かおかしい。


「なんでオケラだって判ってるんです。そんな手に入りにくいもので試せないでしょ」

「昔、それなりの数持って来てたのがいるんだ。そいつはそこの餌がオケラなのも知ってた。この近所のどこかにいるんだな。そいつも場所を誰にも教えずに死んじまったようだが」

「オケラのいそうな場所の条件は教えてもらえますか」

「じめっとした洞窟だな。じめっとしてねえ洞窟探す方が骨だが」


 人間の行動範囲は限られている。大人数なら野宿も可能だが、俺達でも日帰りの場所にしか行かない。怪しいのは松林の辺りだが。


「ミズカマ漁の前に、1日松の実拾いに行こうと思います。またちょっと無理に背伸びしかけた気がするんで」

「兄いがそう思うんならそうしねえ。けどよ、兄い達、頭防具しねえのな。マツボックリ落ちてきたら痛えぞ」


 ハゲが言うと実感が篭っている。しかし、言われるまで気付かなかった。

 ヘルメットとか常用する人生じゃなかったんだろう。ちょっと前は明日の宿代どうしようの状態だったし。一方的な攻撃ばかりしてきたから、あまり防具に気を使ってない。サワガニアーマーの注文の時もヘルメットについては失念していた。


「その辺も、全力疾走でここまで来ちゃったからなんですよね。周りが見えてない、みたいな」

「そこまで判ってりゃ、でえじょうぶだろ。神官を連れてっちゃまずいんかい。二つ腕はいるだろ。一度にけが人が出た時に、能力の高い神官の数で生き死にが分かれるんでえ」

「神官の人なら見られてもかまいません」


 こっそり何かしようと思うと、上手くいかないもんだ。


 神殿を空にも出来ないので、クジに当った5人とファニタとパウラを連れて松林に行った。猟師はレベルが高いと獲物に逃げられるようになるが、漁師はレベルがいくら高くてもいい。

 二つ腕5匹獲って林から出て四つ腕も1匹獲った。1匹倒すと他の四つ腕は遠くにいても逃げてしまう。

 生きて行くにはそのくらい臆病じゃないといけないんだよな。


 翌日のミズカマ漁も当てが外れた。ガザミ1、ボタンエビ1、人魚みたいなの1、きれいな半漁人2だった。

 5回くらいでキングサーモンが来る訳もなし。

 二本足で鎧着た赤い鬼が両手に刃物持ったようなボタンエビは外道で、身は旨いし腕の刀は攻撃力だけならサワガニよりだいぶ上だそうな。

 丸々鍛冶屋に持ってくのはもったいな過ぎると、捌いてもらい殻だけ引き取って、身は半分売って半分食べた。アイテムバッグに殻を入れても一つ扱いだった。プロの業は恐ろしい。


 焼きグリを買うために北門のギルドに寄ると、婦長が来て、危険度を見誤ったと依頼料の割り増しをくれた。魄が融合しかけていたのだそうな。

 七面鳥の落ちて来る穴は上に柵を作った。

 あの洞窟、穴を確かめて満足して帰ってきたな。


「あそこの奥は、どうなってたんでしょう。なにか、ちょっといい獲物がいませんか」

「天井が落ちて奥に行く道が塞がれていたようね。あの洞窟自体、報告がなかったものなの。何かいれば、記録があるはずだけど」

「ただの穴ですか」


 あの奥にオケラがいるほど人生甘くないな。


 カサンドラの店にボタンエビの殻を持って行ったら、身はどうしたと怒られた。

 なだめすかして作刀を引き受けさせが、残りの殻を全部取られた。

 防具が出来るまでにまだ時間があるので、兎も角カマキリ二種とサワガニを獲る。

 サワガニ持って行く度にボタンエビ旨かったろうというので、サワガニならどこの鍛冶屋でも買ってくれるだろうと言い返したらやっと黙った。

 おっさんの鍛冶屋なんか見たくないが、若い女の鍛冶屋も一人じゃない。

 女は男より腕力はないが霊力が高い者が多く、大概の地球なら男の職業でも男女比に大きな差がない。


 カマキリ持って漁協に行くと、組合長がオケラでの漁の記録を調べておいてくれていた。

 やっていたのはトラステクトリの住人で、父親は猟師だったが母親はイツムナの漁師だった。


「親父が偶然オケラの洞窟見つけて、お袋はなんでかポイントを知ってたなんてな。そんな旨い話もないか。兄いがオケラ見つけて極秘扱いでも記録に残してくれりゃ、ありがてえんだが」


 王都からの上物の依頼に答え易くなるので、出来る限りの協力をすると言われた。


 ミズカマだってそんなに大量には獲れない。28匹のミズカマでキングサーモンは2匹。片方が水の矢を呑んでいただけだった。

 レベルも熟練度も上がったし、防具が出来たら、あるのが判っている洞窟から挑戦していこう。

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