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西郷さんがツンを連れて地元漁協の許可を得るようです

 チュウカマを獲り足すために、もう1日川に行く。黒ジャガにもサワガニはいくらでも獲って来いといわれた。

 安い割りに性能が良いのでサワガニアーマーを欲しがる冒険者は多いらしい。


「聞き忘れるところだった。あそこの川魚食えるんですか? 寄生虫いないのかな」

「おう、言い忘れてた。やばいから止めとけ」


 こっちには色合いはカラカルだけど性格スナドリネコみたいなのがいるのに。


 まっすぐ川に行ったので、サワガニ9匹、チュウカマ34匹獲れた。全員レベルが16になった。

 黒ジャガの義理でギルドに5匹カニを売り、残りはカサンドラの店に持ち込む。

 初見の客に名乗る性格じゃないし、こっちも怖いので聞かなかったが、鍛冶屋の名前はカサンドラ。

 店を紹介する時に黒ジャガが言ったかもしれない。


 晩飯を作っていたカサンドラは裸エプロンで出て来た。なんか、騙された気がする。

 カニを渡すと大喜びで、港に行くならと造り置きのサワガニのカットラスを4本くれた。

 海より狭い川に棲んでいるため、カニ同士で斬り合いをすることも多く、直接斬り付ければ斬撃耐性無効。耐性無効武器としては最安値なので、その点でも人気商品なのだそうだ。


 漁協の漁師はみんな旧知の知り合いのようで、俺はタカ兄いだった。仕事を持って来る者は歓迎される。

 買取の受付に行くと、直ぐにハゲを呼んだ。

 組合員の生活を預かる組合長も上機嫌だ。


「タカ兄い、よく来た。何持って来てくれた?」

「コカマが23、チュウカマ57、ミズカマ7です」


 分厚いバトルグローブみたいな手でバンバン両肩を叩かれた。


「兄い判ってるじゃねえか! 安全で金になるのがチュウカマよ」

「いや、ギルドのエステバン支部長がチュウカマが一番喜ばれるって」

「そうか、あのデコボコ野郎も伊達にデコボコしてねえやな。なんたって嬉しいやな」


 バンバン止めて、痛いから。


 コカマを売り払い、チュウカマを10匹上納して餌用に10匹渡す。

 戦闘が早く片付いても午前午後5回ずつがせいぜいだと言われた。

 投げ役は18歳の、俺より少し上背のある女の子だった。18は若い女か。名前はファニタ。

 組合長の姪なのだが、言わなければ血縁者に見えない。

 イタリアの昔の女優に、ごついけど美人扱いなのがいた。あんな感じ。誰も知らないよな。

 身贔屓ではなく、俺達の実戦力が未知数なので、万が一を考えて身内にしたようだ。


 紹介が終わると「早速行きやすか」とその場で着ていた薄い法被のようなものを脱ぐ。

 下はルシアナが言っていた通り、カットラスと小物入れを吊るした帯だけだ。

 ようやく海に着いた。


 浜での漁には投げ役の他に引き役が付く。基本料金だけではすまない。

 投げ役見習いの若いのがやる仕事なので、獲物が獲れたら祝儀を渡せばいいのだが、子供の小遣いと言う訳にもいかない。

 ルシアナが知り合いの、ツンと同じラース族で15歳のパウラを指名した。

 背はロレナより少し高く、尾は巻き尾ではなかった。

 巻き尾は幸せになれるのだそうだ。元旦生まれの社長が多いように、特別なんだと思って頑張るからかもしれない。

 パウラは大型のナイフしか持っていなかったので、サワガニカットラスをやる。ファニタが羨ましそうにしたので、ファニタにもやった。


 獲物が来やすいポイントに置かれた投石器に、縄付きの袋に入れた餌を乗せて打ち出す。

 俺達は綱をはさんで二組に分かれて待つ。

 投げ役は綱を持っていると獲物が来たのが判る。それが判る者だけが特別職の投げ役になれるのである。


「引け!」


 ファニタは合図して当然自分も綱を引く。戦闘の余波を避けるためでもある。

 餌の入った袋を追って獲物が来る。現われたのは四つ腕より一回りでかい、4本足で6本腕の赤紫のカニだった。


「いきなりガザミかよ!」


 ファニタがサワガニカットラスを抜いて寄って来たが、十字砲火で瞬殺。楽な人生。


「四つ腕獲れるとは聞いてやしたが、こいつ、一つ上の奴っすよ」


 ファニタに尊敬の目で見られて恥ずかしい。判れば誰でも出来る事なんだ。


「誰にでも教える訳にはいかないけど、見ただけで模倣は出来るんだ。闘気弾の熟練度を10にしておくといいよ」


 パウラの目つきは尊敬じゃない。実質全裸で前屈みでその目つきはまずい。ツンと殺し合いになったら絶対勝てないぞ。


 その後はシャケとかマスの名の、魚人より更に半分人間寄り的な見てくれのいい半漁人が獲れた。メスばかり。遺伝子が欠けてるからオスは魔獣化しないのだろうか。

 食うのかこれ? 外骨格と違って魚なのに乳首あるし。絵にも描けない所も人間そっくり。切り身になっちゃえば判らないだろうけど。


休憩中にパウラが恐ろしい事を言い出した。


「優れた男は多くの女を抱く義務があるのよ。姐さんの下に付かせて欲しい」


 ツンもそれは知っているようだ。でも、俺はそんなに器用じゃない。綺麗な体は見たいけど、肌を合わせて仲良くしたいのとは別なんだ。


「俺、ラース族じゃないから」

 

 ここできっちり否定しておかないと、俺の周りにラース族が寄って来てしまう。


「兄ちゃんはツンが好きなだけ。あたしも抱かないから」


 採用責任者のルシアナが援護射撃をしてくれた。


「他所の世界から来たから、考え方も違うの。無理強いは出来ないよ」


 パウラは諦めてくれた。後で聞いたら、繁殖期の求愛レベルの、受け入れられたら儲けもの程度のことだった。

 午後の一番でレベルアップして発情したパウラがもう一度言い寄ってきたが、ツンが阻止した。

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