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西郷さんがツンを連れて川遊びをするようです

 松林に何がいるか、だめでもともとだとギルドに聞きに行くと、黒ジャガが待っていた。坊主だったのを冷やかそうとしているとしか思えない。


「カモ、獲れたか」

「素人がいきなり行っても獲れるもんじゃないですね。1匹しか獲れませんでした」

「へ?」

「1羽ですかね」

「獲れたのかよ……」

「湖のことで、ちょっと教えて欲しい事もあるんです」


 カモは高級食材で神殿では買い取ってもらえないので、解体所で出して見せる。カモにはお楽しみ袋はない。

 解体料を払って、半身は売らず神殿に寄進した。

 カモの骨から出汁が出る間に、松林の生態系について聞いた。


「おめえは慎重だから、今日あそこまで行くとは思ってなかった。ネズミがいるのは判ってるが、それを食うのが何かは判らねえ。あの林は湖が見えなくなる辺りからはレベル50以上でないと生きて帰ってこねえ。そのくれえだと、あちらさんが出てこねえみたいだ」

「用もないのに行くところではないと」

「ああ、藍カマは水辺にいるはずだ。漁港に行くなら、ちっといいのが獲れるチュウカマ持ってった方が喜ぶぜ。ミズカマは強いのが来るから危ねえ」

「ほどほど、がいいんですねえ」

「そうだ。なんかちっと焦ってねえか。チュウカマは西の川にいらあ。西のスライムの洞窟に行くにも、川でサワガニ獲っとかねえと。あれの甲羅はコオロギの電撃防ぐからな」

「なんだか、随分先の話してませんか?」


 しまったと言う顔の黒ジャガと分かれて神殿に帰ると、孤児院で食事をして欲しいと頼まれた。

 晩飯はカモのつみれのスープと山盛りのエリンギ。それは誰か篤志家のくれたものではなく、子供達が手の届くところにいる先輩が獲って来たものだ。

 リノとマルシオから見れば、俺でも5歳、ツンは1歳しか違わない。確実な未来があるのだ。


 食事の後、神殿主様に呼ばれた。


「今あなたになにかあれば、子供達は二度親を失います」

「見る目のある人から見れば、危なかったんでしょうね。自重します。正神官以上の人で闘気弾の熟練度が10の人いますか。大人が覚えられると、確実に伝えられるでしょう。子供達の希望になると思います」

「わたくしでよければ」


 異世界の神と交信出来るテレパスの神殿主様は、俺のイメージを転写して即座にハンドキャノンと対物ライフルを使えるようになった。

 なんか、俺がやりたかった事と違う気がする。でも、これで技が失われる恐れはなくなりました、と神殿主様が喜んでるから、まあ、いいとしよう。

 みんなに訳を話し、明日の予定を西に変更した。


 西の川の湖の出口付近は浅い所は20センチくらいしかなく、平たい石を並べて足場にしてあるので、足を濡らさずに渡れる。

 行って戻って来る距離は同じなので、少し霊気の濃い向こう岸を探す事にした。

 川幅が3メートルくらいになった辺りで、色だけは地球で見慣れた薄緑の、コカマより大きなカマキリが、水中に鎌を振り下ろして魚を獲っていた。

 30センチほどのコイのような魚が獲れた。食べ終わるまで待とうかと思ったら、ルシアナが撃ってしまった。

 落ちてる川魚をルシアナが食べたそうにしたが、川魚は危ないので止めた。

 バッタの干物から考えて、乾いた流木を集めて焼いてみたら、カマキリが集まって来た。ひたすら虐殺した。


 昼になる前に1匹はカニを見つけたかったが、どこに棲んで何を食べているのか。


「水の中でしょ」


 リタが常識を披露する。

 七面鳥に使った袋を水に入れてみると、川底の岩が起き上がった。

 下半身はザリガニのハサミがくっついたような太短い脚が6本、上半身はずんぐりしたフルアーマー。

 殻は四つ腕より硬いが、食べられる部分は少ないそうだ。

 川原を逃げると追いかけて来た。水中に逃げられないところで虐殺。

 こんな楽な人生でいいのか?


 カニ7匹、チュウカマ23匹獲ってギルドでカニの加工のことを聞く。

 そのまま鍛冶屋に持って行けば、身と余る部分を加工代にして盾と鎧を造ってくれるそうだ。

 黒ジャガに、一方的過ぎて虚しいと言ったら、普通おめえらのレベルで行ったら食われるだけだと言われた。


 ギルドで紹介された鍛冶屋は、1時間ほど中央通を南に行った、商業区の中にあった。

 店に入って声を掛けると、出て来たのは俺と同じくらいの背丈の、二十代前半と思われる全裸の犬系獣人の女だった。

 鍛冶屋は仕事場では全裸だと教えられていたので、そのまま店に出て来ても驚かない。


「つまんねえもんなら打たねえぞ」


 こっちももうひょろくはないが、俺より腕が太い。

 サワガニを見せたら、途端に機嫌が良くなった。


「これ、6匹頼みたいんだけど」

「おう、何匹でも獲って来いや。鍛冶屋でそのカニの身が嫌いな奴はいねえ。そのまんま売るより、オレが鎧にした方が高く売れるぜ。たまにそんな材料があるからな。なんでもかでもギルドに売らない方がいいぞ」


 今の装備に肘当て、膝当て、脛当てを足しても余りが出過ぎるので、カニの爪で漁師が好む短目の刀、カットラスも造ってくれる事になった。

 6人分で20日掛かる。防具が出来るまでチュウカマで漁をしてレベルを上げておこう。

 防具が出来たら電撃魔法を使うコオロギと対決する。電撃入りの魄が比較的出やすいそうだ。

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