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西郷さんがツンを連れて海を見に行くようです

 とりあえず、もう一日ネズミを獲って見る。15匹獲れた。金にはなるんだが。

 俺とアリアドナさんはレベル15になった。カマキリ獲りまくったから、残りも全員14になっている。

 金にはならないが神殿の人達が喜ぶのでクリも拾った。

 ロレナとアリアドナさんはおやつはソーセージより焼きグリが食べたい。

 ロレナが自己主張する事自体が珍しい。アリアドナさんは結構自己主張する。

 でかいので素人では上手く焼けず、売ったのを倍以上で買うんだね、これが。


 ロレナの両親はイツムナに用があると、帰りに焼きグリを買って来た。リタにその話をされてクリ拾いを断れなくなった。

 俺達が拾って来なくたって売ってるんだけど。

 しょうがないのでネズミも獲る。三日目にルシアナがレベル15になった。

 いつまでもクリ拾いをしていられないので、全員が15になったらイツムナに行く事にした。

 翌日三人とも15になってクリ拾いから解放された。


 イツムナまでは安全なので夜行バスがあった。寝ている間に移動し、着いてすぐに仕事が出来る。

 運賃は北門までなら50ギム。ギルドの素泊まりと変わらない。安く感じてしまう。

 70ギム出せば港まで半日歩かなくてもいい。

 やはり全体大き目に出来ている座席に座り、寄り掛かって来たツンの腰に手を回して暗くなった窓の外を見る。


 この世界に来てから、夜の移動は初めてだった。夜空もあまり見ていない。

 見上げると金星よりは大きい月が出ていた。衛星としては地球の月が規格外なのだ。

 色々違うが地球は前世であって、ここは今の俺にとって異世界ではないのだ。ここで生きて行かなければならない。

 そして、いつかウサギを獲れる者にならなくてはいけない。勝つのではなく、獲物として狩らねば。



 思惑と言うものは外れるためにあるものである。スライムの洞窟は便利なので国家管理されていた。

 入場料が必要なのは判っていたが、遠距離系の個人技が使えないのは知らなかった。

 元々初心者の訓練用だし、他人に見られたくない個人技使いはまず来ない。しかし、来たら洞窟が壊れる可能性があるので規制があった。ほぼ忘れられていた規制だったが。

 知っていたら黒ジャガがこれをネタに止めない訳がない。

 しかし、ハンドキャノンはまだしも、対物ライフルを霊気の薄い軟な洞窟でぶっ放しちゃだめだわな。

 霊気が濃いと地面なども硬くなるようだ。でないと強力な魔獣同士の戦いで洞窟なぞなくなっているだろう。


 とりあえずルシアナに案内してもらって四人の熟練度を上げ、その間にアリアドナさんと狩場の情報を集めた。

 浅瀬と砂浜のある東側は、少しでも油断するとハーピーの一種としか思えないカモメが襲ってくる。

 西側の岩場には防御力の高い、アラクネ型リビングアーマーみたいなカニがいる。ヤシガニっぽい六本足のカニの下半身に四本腕の人間風の上半身、腕の先は鋏ではなく刀風。

 この二種類は獲ってもかまわないのだが、獲れるくらいならここに来ない。

 海も急に深くなっているので釣りをしても何が来るか判らない。


 街と同じように安全な漁場の周囲は柵で囲ってあり、関係者以外立ち入り禁止。その外で魔獣に襲われても逃げ込めない。

 若干霊気が薄いのは岩場と防風林的な林の間くらいか。

 このままだと黒ジャガに、ホレ見たことかなんて言われそう。


 稼げないのは承知で来たが戦えないと困るので、何とか弱い獲物が獲れないか漁協の買い取り窓口に行って、驚愕の事実が発覚した。


「カマキリなら買い取るぜ。コカマ1匹150ギム。冒険者ギルドとも話はついてる」


 受付の、人間なのに裸にアーマーの姉御は、更に裏技を教えてくれた。


「カマキリ売った奴は10匹組合に納めりゃ、5回漁が出来る。餌のカマキリはそっち持ちで投げ役を雇わねえとだめだがな」


 それでも来る獲物によっては利益が出るし、陸の魔獣と生息地で戦うよりずっと楽に経験値を得られる。

 貴族や金持ちが子弟を育てるのに利用するのだそうな。

 黒ジャガ知らない訳ないよな、絶対。

 次に持ってくるから何とかならないかと食い下がったら、確実に獲れる保障があるのかと言い返された。


「ちょっと前に800匹くらい獲りました。ギルドに売買記録があるはずです」

「おめえさんか? 母神様の寵児ってなあ?」

「そんな言われ方してたかどうか」

「してますよ」


 アリアドナさんが肯定する。


「姉さんは神官か。嘘はないな。そいじゃあ、ちょいと待っとくれ」


 感応石をいじって誰かに連絡すると、さほど時間を置かずに、ずんぐりむっくりのツルッパゲのおっさんが現われた。


「組合長のベネディクトでえ。こないだのコカマはありがてえと思ってるが、規則って奴ぁ一度でもなあなあにしちまうと、ぐずぐずになっちまうんでな」

「それは判ります。管理漁区外に俺達でも勝てそうな獲物はいませんか」

「どのくれえ強えんだ?」

「六人掛かりでなら、七面鳥が倒せます」

「なら、岩場の林によ、二本腕の小せえカニがマツボックリ食いに来るんだ。四本腕は来ねえから」


 ハゲに悪人なし。


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