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放課後(3)

コンコンとドアがなる。

ノートパソコンの画面から目を離さず返事を返す。

ドアが開かれるまで誰かが対応するだろうと思っていた。

「奏くん。」

この声の主を見るまでは。

「え、奏ちゃん?ごめん、メッセージ見てなかった。」

「いいよー。それより。まだ終わらない?」

「んー後10分くれれば終わらせられそう。」

「じゃーいつものところで待ってる。」

ひらひらっと手を振り合い、画面に目を戻す。

急がねば。

「王子、後はやっておこうか?」

「ん?あ、大丈夫だよ。本当にあとすこしだし、自分の仕事は自分でやるべきだからさ。」

「わかった。頑張れ。」

軽く頷き資料と打ち込みを見比べる。入力ミスはなさそうだ。

かれこれ数分がたち、できた文面を会長に確認してもらうため印刷。印刷した書類を会長の机に置き、荷物をまとめる。

「お疲れ様でした!」

ドアを閉め走り出す。中庭のベンチにいるはずの人物の元へと。


「おまたせ!」

ベンチに腰掛け、ウトウトしている1人の少女、否、少年に声をかける。

「あ、おつかれ。帰ろっか。」

すっと立ち上がるように見えて数歩進むとフラッとする。眠いんだなーと思い手を差し出す。

なんの抵抗もなく手を繋ぎ歩き始める。

少し前にこれを目撃されて騒がれたことはあったが今じゃなんともない。これが普通なんだと周りも認識してくれている。

「奏くーん。今日俺ん家きてよ。」

「別にいいよ。でも今日私の家だと思って夕飯の支度半分終わらせて来てるんだよね。」

「え、ジャーいく。」

わたし達は同じマンションに住んでいる。私が中学に入学するすこし前に引っ越してきた。そこは高級マンションの類。一階は使用人室と管理人室と広いエントランス。

2階から9階までは普通に部屋がある。1フロア2部屋なのだが。

10階は室内プール。そのうえは屋上テラス。

ちなみに私の家は9階。奏ちゃんの家は真下の8階。両親共働きの私達は夕飯はいつも一緒に食べている。

「奏くんさ、好きな子とかいるの?」

「最近話題なくなるとすぐそれだね。気になるの?」

ニヨニヨとした顔で奏ちゃんをのぞき込む。

「別に。そういう話は周りでよく聞くから、なんとなく。」

「いつもそれだねーていうか眠そうだねー」

「眠いもん。」

「家ついたら寝てていいから。」

こくんと頷くのが小さい子供みたいでとても可愛い。そんな彼の手を引き少し早めに歩く。

今日の夕飯は豚の角煮なんです。

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