表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/9

村人Aとマリィちゃん

こんにちは。

マリィです。

今日は青空がいっぱいで良いお天気です。

おひさまがポカポカ暖かい。

おひさま、・・・おひさまと言えばお姉ちゃんは元気かな。

いつもニコニコしてて優しくて綺麗で頭が良くて、それでとっても優しくて、私の大好きなアリサお姉ちゃん。

なんでも知ってて、いろんなことを私に教えてくれる。

今何してるかな。

会いたいな。

・・・。


「おかーさーーん!おねーちゃんのとこ行ってくるー!」


「はーい。迷惑かけちゃだめよ?気をつけてねー」





◆◇◆◇◆





とことこ。たったったった。タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ。

早くお姉ちゃんに合いたくて、足が勝手に動く。

風を追い越し何処までも!

あ、あれはお姉ちゃん。

スラッとした姿勢でリンとした立ちずまいは間違いない。


「お姉ちゃーーん」


私は一刻も早くお姉ちゃんの胸に飛び込むべくスパートをかける。

あれ?

でも、何だかお姉ちゃんの顔色が悪い。

いつもおひさまのようなお姉ちゃんが、今は何だかお月さまみたいだ。

心なしか、重心もぶれている気がする。


「あっ!」


そう、思った時には抱きついてていた。

ギリギリセーフ。

倒れそうになったお姉ちゃんの身体を受けとめた。

お顔が真っ赤。

お熱があるみたい。


「お姉ちゃん!」


揺すっても反応が無い。

眠っているようだ。

何だか色っぽい。

じゃなくて、どうしよう。

とりあえずお姉ちゃんが寝られる場所まで運ばないと。


近くの木陰までお姉ちゃんを運ぶと、水に濡らしたタオルで顔をふいてみる。

うん。

びしょびしょになった。

心なしか顔色も悪化している気がする。

気のせいだよね。


私は、濡れタオルをお姉ちゃんのお顔に乗せたままにする。

う~ん、う~んと苦しそうに身動ぎするお姉ちゃんを見るといたたまれない。

そうだ、森に行こう。

森にはくまさんがいる。

森のくまさんにはたんというのがあってお薬になるってお姉ちゃんが言ってた。

待っててね、お姉ちゃん!





◆◇◆◇◆





森に行くと早速くまさん(魔物。オークベア、C級指定)に合えた。

大きくてとても元気だからいいお薬がとれるだろう。


「グルル、フシュー」


「ひゃあ」


咄嗟に身を屈めた私の頭上を丸太のように太い右手が通り過ぎる。

危ない。

当たったら一発で餌になっちゃうってお姉ちゃんが言ってたから気を付けなきゃ。

私は、身体の中のポカポカをぐるぐると回していく。

お姉ちゃんが言うには『身体の中の勁を循環させ~』と言っていたがよくわからなかった。

とりあえずなんか、すっごいパワーアップする。


「ふー、セイ」


掛け声と共にくまさんの懐に潜り込む。


『敵はなんどもチャンスをくれないの。それが最後の機会だと思って全霊を持って一撃で仕留めなさい』


うん。

全部だよね、お姉ちゃん。

私は、私の中のポカポカを逃がさないように足から肘に全てを流す。


くまさんは飛んでない。

成功したみたいだ。

下手な人がやると、力があちこちに行っちゃって相手が飛んじゃうんだって。

そうすると、殆どの力が逃げちゃうみたいだ。

私も最初はいつも飛んじゃってた。


くまさんはおっきな身体を土煙をあげて倒れた。

ドスンという音に辺りにいたとりさんたちが一斉に逃げ出していく。


「ふう。運が悪かったね、くまさん」


私は倒れたくまさんに背中で語った。

『決め台詞は大切よ。決闘して勝ったら必ず言いなさい』とお姉ちゃんは言っていた。

意味はわからなかったけど、『けいしきび』らしい。

お姉ちゃんが言うなら間違いない。


私は持っていたナイフでくまさんのタンを取り出す。

よし、これでよし。

目的の物も手に入れ早速お姉ちゃんのところに私は急いだ。





◆◇◆◇◆【視点変更 マリィ→アリサ】





「う、うーん」


息苦しさに私は目を覚ました。

いつの間にか寝ていたらしい。

体調が悪いのは理解していたが、どうしても農作物が気になってしまった。


私の顔の上には何故かびしょびしょのタオルが乗っていた。

息苦しさの原因はこれだ。

誰かのいたずらだろうか?

下手したら窒息してしまう。


「お姉ちゃーーん!」


走ってくる人影。

あれは、マリィちゃんだ。

うん、マリィちゃんだ。

だけど、その手には看過できないものがある。

血塗れの、肉塊?


「ま、マリィちゃん?」


「ダメ!安静にしてなきゃ!」


「う、うん。ごめんねマリィちゃん」


私は、マリィちゃんの言葉に強引に横にされた。


「そ、それで、あの、それは何かしら」


「え?お薬だよ!」


満面の笑みで答えるマリィちゃん。

違う。

私の知っているお薬は、そんなおどろおどろしい動物の内臓じゃない。


「はい、お姉ちゃん。あーん、して」


「待って!マリィちゃん。それは、ちが、ん~~~~~~!!!」


口の中に広がる鉄の味。

生臭い臭いに包まれながら、私の意識は再び闇に包まれていった。





2014/2/3題名変更

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ