エピソード12 絆 <NaoTo Part>
19時過ぎのバルセロナは 未だ未だ明るくて 生暖かい。
僕達はココアパウダー色の珊瑚みたいなサグラダ・ファミリアの道端で、
ハザードを焚いて 暫し作戦会議中、
加茂:「初めて見たのです…
…確かにでかいけど、意外に コジンマリ纏まってるのですね、」
金髪で永遠の発展途上体型美少女が助手席の窓から永遠の建設途中教会を眺めている。
直子は銀色のキャシュカイの後部座席で、僕にもたれて眠っていた。
富士本:「マリーナの方に行くと美味しい店があるみたいよ。」
長髪グラマー美女は 運転席で一人ガイドブックと格闘している…
…果たして其処では、
マリーナの一部がアーケードになっていて、幾つものシーフードレストランが軒を連ねていた。
富士本:「取り敢えず、市場の端から端までチラ見して、それから入る店を決めましょう。」
どの店の軒先にも、これでもか…と言う程の豪勢でカラフルなご馳走が陳列されている。 所謂料理前の食材なのだが、空腹の食指をくすぐるには刺激が強すぎる…
…巨大な海老、蟹、それだけではない、巨大な牛の脚? なんだか美味しそうな肉の塊?? 店内には牛の首の剥製???
加茂:「雰囲気良さそうだし、そこそこ人気ありそうだから この店にするのです!」
とても愛想の良いウェイターの案内で テラスのテーブルを陣取る。
ウェイター:「こにちわ、従妹がトヨタ乗ってるね、日本大好き!」
お兄さん、片言の日本語で挨拶、
加茂:「皆 明るいですね、」
富士本:「国民性でしょうか、」
やがて運ばれて来る飲み物、
加茂:「Cruzcampo Gran Reserva?結構由緒あるビールらしいですよ。」
富士本:「貴方達も飲みましょう。」
直人:「いえ、僕たち未成年ですから…」
加茂:「チョットくらいなら良いのです!」
サングリア、
赤いワインにピーチ、レモン等 数種類のフルーツが漬けられた飲み物。 巨大なデカンターに容れられて現れた 薄いピンクの液体は…
…見た目に綺麗、甘くて飲みやすい。
加茂&富士本:「カンパーイ!」
富士本:「適当に頼んじゃいますよ…、」
先ずはパン。
テーブルの上に並んだ数種類の オリーブオイルのボトル、これを着けて食すのが基本らしい…
それから ハム各種、チーズが上に載ってる、
やがて 小魚とイカのフライ、何故だか しし唐で色添え、
前菜の最後は 茹で蛸の ぶつ切りに たっぷりスパイス掛け、
…ピリ辛でやわらかい、
直子:「美味しい…」
富士本:「やっと笑いましたね。」
加茂:「人間、美味しいモノには勝てないのです。」
当然、〆に登場するのが 本場のパエリア。
巨大そうに見えた甲殻類達は、無惨に砕かれて 味付き米に埋もれてる…
直人:「以外にべちゃべちゃしてるんだな…」
加茂:「何だか、イマイチです…」
富士本:「うーん、期待してただけに残念…」
22時を過ぎると 漸く暗くなって 夜らしくなる。
直人:「これから どうするんですか?」
加茂:「取り敢えず今日はホテルに泊まって、明日の朝会いに行くのです。」
仕上げのケーキを濃いコーヒーで片付けながら…
…レストランの喧騒が 健か酔った未成年を 変性意識状態に陥らせる。
恐るべしサングリア、
富士本:「本当はもう少しのんびりしたいんだけどね、」
加茂:「鬼の先輩がウルサいのです、仕方ないから明日の便で帰ります。」
直子の目は虚ろで、多分 僕には見えないカラフルな「ナニか」を目で追っかけているらしい…
直人:「会いに行くって…場所は、分かってるんですか?」
富士本:「ええ、アポもとってあります。」
加茂:「まさか、息子と娘が会いに来たとは言って無いですけどね…」
銀色のクロスオーバーSUVは 微酔いの美女に駆られて市街のホテルに乗り付ける。
加茂:「兄妹だから同じ部屋で良いですよね。 …では、健闘を祈るです!」
富士本:「おやすみなさい。」
直人:「健闘? …って?」
直子:「オヤスミぃ …っく!」
フラフラの直子をエスコートして部屋の中へ…
直人:「結構 疲れたね…」
黒で統一された シックな内装、
妙に明るい 大理石のお風呂、
何よりも魅力的な ふかふかのベッド、
一応、ぐるっと部屋を見渡す…
直人:「…ところでこの部屋にもいるのかな?」
直子:「…ウン、居る。 でも 何だか不思議、前よりも怖くないよ、
…いろんな色の “生きてないヒト達” が居るんだね。 今まで気が付かなかった。」
やがて、多少目の据わった可愛い? 妹が 僕の事をじっと見つめて…
…頬を赤らめる、
直子:「する?」
直人:「するって…何を??」
…僕も、顔を赤らめる、
直子:「だって、…夢の中では いっぱいしたでしょ、
…隅から隅までじっくり見られちゃったし、クチュクチュされちゃったし、今更、恥ずかしがる事も無いかなって…」
可愛い妹が 僕の腕に絡み付く…
直子:「…てへっ!」
直人:「だからって、現実には 未だな訳で…」
直子:「それじゃあ、現実と夢とで 同じか比べてみようよ!」
なんで、こんなに積極的??
直子:「折角こんなに綺麗な お部屋なのにぃ、勿体ないよぉ!」
直人:「じゃあ、僕…お風呂はいってくる。」
風呂に浸かれば酔いも冷めて、もう少し冷静になる筈…
直子:「…そのままが良いな、」
恐るべしサングリア、、
直人:「…だって、飛行機乗ったっきり丸1日以上お風呂入って無いよ。臭いって言わない?」
直子:「くさいのが良いの! …駄目?」
直人:「駄目…じゃ、無いけど… なんか、恥ずかしいな。」
ぱっと見小学生高学年な体型の美少女が、ベッドの上に僕を押し倒して…
直子:「お兄ちゃんの匂い 嗅がせて、お願い…」
…優しく 僕の唇を奪う。
…それから20分もしない内に、
疲れ切った妹は、僕の左腕を枕にしてスヤスヤと安らかな寝息を立てていた。
僕は、濡れ烏の長髪を指先で弄び、
…スイーツみたいに柔らかな温もりを 直の太腿に感じる。
やがて 熱を帯びた地肌のままで、
シーツいっぱいに充満した甘い匂いに癒されながら 深い眠りに堕ちていく。
登場人物のおさらい
春日夜直人:主人公
朝比奈直子:妹
加茂理夜:マスタースレブ2参照
富士本佳枝:マスタースレブ2参照




