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第七章:砂上の海

後もう少しで終わります。


やっぱり空戦って難しいですね・・・・・海戦物も書きたい所ですが、多分傭兵の国盗りで、纏めて書くと思われます。

司令官、エンジェル、整備兵のギャビンと写真を撮った翌日、私はエンジェルと共に空を飛んだ。


もう時間が無い・・・・・・・


昨夜、イギリスから連絡が来た。


『後一週間後に諜報部員になってもらう』


それだけ書かれていたが、私には理解できる。


両親が手を打って私を強制的に飛行機から降ろすんだ。


糞ったれが!!


英国人らしからぬ下品な言葉を口にする。


だが、こんな事をされたら言いたくなる。


後一週間・・・・・・・・・


その一週間で敵と会う確率は幾つだ?


いや、それ以前に撃墜できるのか?


くそっ。


もう時間が無い・・・・・・・・・・


『トミー、今日は会える』


エンジェルが無線で私に話し掛ける。


「どうしてだい?」


『司令官の話だと、どうやら敵も焦り始めているらしい』


物量作戦で押され続けているドイツ軍は、起死回生を狙うかのように攻撃を始めていると言う。


空軍も例外ではなく私たちを倒す為に飛行機を飛ばしているようだ。


「つまり・・・敵と会う確率は高いという訳か」


『あぁ。大丈夫さ。ちゃんと見てやる』


「頼むよ。でも、自分が撃墜されるような事にはなるなよ」


『そんなドジは踏まねぇよ。安心しろ』


「では、頼む。これが・・・・最後のチャンスだったんだ」


『へい、トミー。会話をしている暇があるなら自分でも敵を探せよ』


仲間が会話に割り込んで私に言う。


「あぁ、そうだね」


私は言われた通り上などを見る。


空戦において敵を倒すには高度を高くする必要があった。


上から急降下して叩くのだ。


そして敵は必ず太陽を背に来る。


太陽を背にすれば発見し難いのだ。


だから、私は太陽の付近を眩しいが、眼を凝らして見る。


太陽はギラッとした眼差しで私を睨む。


そう・・・睨んでいる。


我が物顔のようにして空を飛ぶ私たちを照りつけて焼き殺そうとしていた。


そしてジブチだ。


砂嵐が来たら飛行機など一溜まりも無い。


運悪くジブチに出会ったら、視界は最悪だし小粒以下の砂塵が飛行機のエンジンなどに入り、強制的に動きを停めてしまう。


地上戦でも同じだ。


視界不慮で動いたら敵軍の真ん中に居た、なんて笑い話にもならない冗談のような話もあるのだから。


「こちらトミー。敵機、発見できません」


『こちらエンジェル。トミーに同じく発見できません』


『敵も暑さでバテたか?それともモントゴメリーの物量に負けたかな?』


「それは軽率とも言える予想と思います」


ロンメルは簡単に負けるような男じゃない。


彼は狐だ。


敵を騙して見事に我々を砂漠という自分のテリトリーに誘い込み、穴から穴へと移っては敵を打ち倒す。


そんな彼が如何に物量作戦の前だろうと、おめおめと逃げたりはしない。


逃げるにしても必ず一矢報いる筈だ。


例え一時だろうと・・・・・・・・・・・・・・


『ふん、馬鹿か?お前は』


「ですが、何の証拠も無しに」


『黙れ。クラウツは所詮、頭がキャベツみたいにボロボロなんだよ。砂漠の狐とか言われたロンメルだってそうだ。騎士道?馬鹿馬鹿しい。騎士道なんて、空に上がった瞬間に無くなるんだよ』


何処までも毒を吐く。


『おい、トミーを責めるなよ。お前だって撃墜王になれるからって、八つ当たりはよくないぜ』


私以外にも撃墜王になれる奴が居たのか・・・・・・・・・


『うるせぇ!!』


その者は怒鳴られたが、尚も言い続ける。


作戦中にこんな会話は御法度だが、誰もが余裕を持っていた。


物量の前にはどんな物も飲み込まれて行く。


それを彼等は知っているからこそ、余裕を持っているのかもしれない。


だが、直ぐにその余裕は銃弾で撃ち消された。


誰が乗っているのか分からない機が爆発した。


何処からだ?


上を見たが誰も居ない。


となれば・・・・・・・・・


「下か!!」


下を見れば敵が上がって来て、機銃を撃って来た。


そして最初に私たちの味方を撃ち落とした奴は・・・・・上空から再び急降下を始めようとしている。


あの機体番号は・・・・・・・・・


「黄色の14番!!」


見つけた!


ついに見つけたぞ!!


私はスロットルを一気に入れて追おうとした。


しかし、別の物---恐らく黄色の14番機の僚機が来た。


背後に回り込もうとするが、それをエンジェルが阻止する。


もう、乱戦だった。


誰が味方で敵なのか分からない。


こんな戦いは初めてだ。


何処だ?


何処に居る?


私は必死に敵機を探すが、見るのは味方がやられていく所だけだ。


完全な奇襲だ。


誰が下から来ると思う?


いや、何時も敵は太陽を背に上から来た。


それが今回は下から来た、というだけだ。


つまり私達に柔軟性が欠けていたんだ・・・・・・・・・


何と言う事か。


だが、過ぎ去った事は仕方ない。


今は生き残る事が先決だ。


乱戦だから僚機の事を気にする事も出来ない。


自分で手一杯だった。


そんな中でも私は撃墜王になりたい、という気持ちを抑えられなかった。


ちょうど敵機が私に背を向けた。


今なら!!


私はスロットルをフルに入れて加速すると、一気に接近してトリガーのボタンを押した。


20mmが両翼から発射されて敵機を蜂の巣にする。


敵機は火に包まれながら落下していくが、パイロットは脱出した。


や、やった・・・・・・・・


やったんだ!!


私は、私は・・・・撃墜王になったんだ!!


本当なら僚機か地上軍が確認しなければ認定されない。


だが、私はそれを忘れて狂喜乱舞した。


撃墜王になれたんだ!!


興奮して我を忘れてしまう。


それがいけなかった。


バババババババッ!!


私は背後から機銃が襲って来る音を聞いた。


振り返ると敵機が私を狙っていた・・・・・やられた。


高度が保てない。


操縦桿も言う事を利かない。


このままでは不味い。


私は何とかして、基地に戻ろうとする。


いや、基地の方角を目指して飛ぼうとしたが、敵機が撃墜していない事を知るや追い掛けて来た。


追われる者と追う者・・・・・・・・・・・・


私は必死に逃げ回ろうとするが、エンジンが回るのを停まり始めた。


ああ・・・・・・・・


墜落する。


そう私は思ったし、覚悟した。


だが、不思議と愛機は飛び続けて何時しか敵機も味方機も居なくなった。


何処なのか・・・見当もつかない。


そして、私の愛機は砂の海に・・・・落ちた。


機械などに頭部をぶつけた為、意識を失ってしまった。


どれ位、時間が経過しただろうか?


額から血が流れ出る感触を味わいながら、私は肌寒くなった。


空中を見れば・・・・夜となっていた。


都会---イギリスのロンドンでは決して見る事が出来ない星空だ。


最初に見た時は感動したが、今は方角を指し示すコンパスとして見ている。


「・・・夜になっても気を失っていたのか」


誰も居ない。


友軍も敵軍も・・・・・・・・・・


恐らく私は気を失い、死んだと思われたのだろう。


誰も居ない。


きっと乱戦となり皆、生き残るのに必死で私を忘れたのだろうな。


何故か冷静な自分に驚くが、生きている事に変わりはない。


幸い頭の怪我以外は目立った外傷も無い。


内部も痛くない。


これなら自力で帰れるか?


いや、帰るしかない。


飛行機に搭載されていた無線機の類いはメチャメチャになっており、基地に連絡する事は不可能だ。


かと言って、ここで味方が通るのを待つ訳にもいかない。


運が悪ければ敵軍の捕虜となる。


それは避けたい所だ。


ロンメルが捕虜を虐待するような人物でない事は、全軍に知れ渡っているが嫌だ。


私は飛行機から降りて、胴体に設置されているドアを開けた。


燃料も入っているが、万が一の事を考えて小銃や寝袋などが入っている。


それらを取り出して私は・・・砂漠の海を横断した。


しかし、私は知らなかった。


この砂漠の海が・・・どんなに凄まじく人間を拒む海なのかを・・・・・・・・・・・


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