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序章:老人の伝記

初めて書く第二次世界大戦物です。


とは言え、未だに不慣れな面もある為、おかしな点などがありましたら教えて下さい。

「私の伝記を書きたい?」


俺の前で優雅にダージリンの葉を使用した紅茶を飲みながら、確認するように訊ねて来る老人---ウォルター氏を見た。


傍らには老執事のモーガンが控えており、何処からどう見ても「年老いた貴族」と映るだろう。


俺の調べた限りウォルター氏は貴族ではない。


ただ、WWⅡでは飛行機乗りとして諜報部員として活躍した功績を称えられて“騎士”の位はある。


ゴダール大佐はアルジェリア帰りで有名だが、最初の初陣はWWⅡだ。


そこからアルジェリアと行ってフランスの最高勲章である“レジオンドヌール勲章”を授与されている。


剥奪はされていない。


モーガンも負けてはいないが、勲章は貰っていない。


それは一市民としてレジスタンスとして戦い続けて来た彼だからこそ、勲章に対して興味を抱いていないのかもしれない。


話を戻すと、俺が居る場所は・・・・兄貴の亡き奥方であるアンナ・デュ・ゲクラン伯爵夫人の屋敷である。


数百年にも及ぶ葡萄畑を営んでおり、今でも伯爵として居られる稀有な所だ。


ネオナチとIRAの戦いが終わった直後に兄貴とショウは姿を消した。


ソフィア嬢もクラリス嬢もベルランテ坊も・・・悲しんだが、こればかりは仕方ない事だと思っている。


あの2人が居れば・・・・また厄介な出来事に見舞われる。


それを知っていたから2人は姿を消したんだ。


話を戻そう。


現在、ここは葡萄畑を営みながらBAR兼カフェを営んでいる。


店の名前はフランス語で黒猫を意味するル・シャ・ノワールだ。


パン屋は廃業となったが、看板は無事だった。


その為、看板をそのまま利用した訳だが、パンも焼けるから3人にとっては良い事だろう。


借金についてはゴダール大佐が片をつけた為に問題ない。


ついでと言っては何だが、大ドイツ師団の第3機甲大隊戦車猟兵ウィリアム・ハント氏の金は全額、寄付された。


それをソフィア嬢が望んでいた事だから、ハント氏は文句なかったらしい。


今では慎ましくも幸せな老後を4人そろって過ごしている所だ。


これまた話が逸れたが、戻すとしよう。


「本社から第二次世界大戦の伝記物を書くように、とも言われまして。まぁ、これは建て前です」


つい先日、俺は編集長に第二次世界大戦の伝記物を書け、と言われた。


何でも他社が書いて大穴を当てたらしい。


分かり易い理由であるが、現実はそうなんだよ。


とは言え・・・それもあくまで“建て前”なんだが。


「だろうね。君の真っ直ぐな瞳は、そう語っている」


ウォルター氏はティー・カップを置いて俺を見た。


「ジャーナリストの信念を頑なに守り通している眼だ。だからこそ、私のような老いぼれが体験した事でも良いから・・・・後世に残したいのだろ?」


「えぇ。駄目、でしょうか?」


「・・・いいや。しかし、伝記ではない」


「とういうと?」


「あの空で戦い、散って逝った戦友達に捧げたい。その中でも私の憧れにして宿命のライバルとも言えた一人の男に、ね」


「一人の男、ですか?」


「私はバトル・オブ・ブリデンが初陣だった。その事は話したね?」


「えぇ。スピット・ファイアに乗って、ですよね?」


「そうだよ。そこで私は一人の男と戦った」


「誰です?」


「それはこれから話すよ。だから、メモなりテープの用意をしなさい。少なくとも1個だけでは足りないからね」


「分かりました」


俺は直ぐに用意した。


「では、話そうか」


私が最後に彼と戦った戦場を・・・・・・・・・・・・


ウォルター氏は息を吐いてから空を見上げて、話し始めた。


まるで自分も、もう直ぐ行けるような顔をしながら・・・・・・・・・・・・・


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