鏡
【鏡】
表と裏
この世の裏の
虚構の世界
薄い板一枚に
へだてられた虚構の世界
表と裏
表裏一体
のぞきこめば
もう一人の僕
後ろに映った
自販機も
後ろに映った
自転車も
全てが同じ
表と裏の
虚構の世界
僕が動けば
君も動く
それもまた
同じ動き
動くのは僕
映るのは君
でも本当は
君が動いて
僕が映っているのかな?全てが同じ
全てが同一
表と裏の
虚構の世界
【夢】
ゆらゆらと
狭間に揺れる
僕の夢
掴もうとしても
掴もうとしても
僕の手からするりと逃げて
掴んでも
掴んでも
僕の手には何ものこらない
理想と現実の狭間で
ゆらゆら揺れる僕の夢
今それを掴みとろうと
今僕は夢を見る
【花畑】
目の前には花畑
後ろを見ても花畑
たくましく咲くタンポポも
はかなく揺れるすずらんも
隙間なく咲く花畑
だけれども……
僕の周りに花はない
咲き誇る花々を
羨むことはできるのに
僕の手には入らない
近づけば
幻のように
はかなく消えて
やるせない空しさが
心を覆う
ただ僕は
消え去ってゆく
花々が
消し忘れた
残り香を
そっと胸に
包み込む
【四季】
春の朝
桜舞散る
並木道
花弁の雨に
体をうたれた
夏の朝
焼けつくような
太陽の
光を浴びて
空を見上げた
秋の朝
紅葉舞散る
並木道
竹箒で掃く
老人を見た
冬の朝
辺り一面の
銀世界
無邪気に遊ぶ
子ども達を見た
四季の朝
それぞれ全てが
絵となって
僕の心の
思い出となる