■第Ⅰ話■
「いってきまーす」
少年は家のなかに一声かけ家をでる
彼はいつもどおりイヤフォンを片耳にいれ音楽を聴きながら、高校までの通学路を歩いていく。
「おーい、颯!」
後ろから声がかかる
「あっ陽一、おはよう」
この2人は河内颯と宮下陽一、高校1年生。2人は中学からの仲だ
「おう、おはよう。またHaya聞いてるのか?」
「そうだよ」
「相変わらず、颯はHaya好きだな」
「まぁね、なんか声が懐かしい感じがするんだ」
Hayaはちょうど颯や陽一と同い年だが今、売れている女性シンガーソングライターである。曲の人気はもちろんだが容姿も良く人気がある。
そんなことを話しながら2人は学校に到着し、教室に入る
「あっ陽一、颯くんおはよう」
「おはよう愛美」
「おはよう愛美さん」
彼女は真浦愛美、陽一とは幼なじみだ
しばらくして先生が入ってくる
「はい、静かに今日はこのクラスに転校生が…」
3人は先生が話をしているが、おかまいなしで話し始める
「愛美、颯またHaya聞いてたんだぜ」
「へぇ、颯君Hayaみたいな子がタイプなんだ、まぁ確かにかわいいよね」
「違うよ!僕は曲が好きなの!というかHayaってかわいいんだ、同い年っていうのは知ってたけど」
「「……ええぇぇ!?」」
「な、何?」
「颯、Hayaみたことないのか!?」
「う、うん。どんな感じの子?」
「えーっと、ちょうどあんな…って、え?」
愛美はちょうど入ってきた転校生を指して固まる
「どうした?愛美…ってあれHayaじゃね?」
そこで先生が説明する
「みんな知ってるかもしれないが、彼女はHayaという名前でシンガーソングライターをやってる。みんな仲良くしてやってくれ。じゃあ自己紹介よろしく」
「北川舞です、よろしくお願いします」
それを聞いて颯も固まる
「舞…ちゃん?」
「じゃあ北川は…あそこに座ってくれ」
舞は指定された席に座った
「HRはこれで終わり、1時間目遅れるなよ」
先生は教室から足早に出ていく
その瞬間クラスのみんなが舞の所へ集まってくる
「何処から来たの?」
「ここよりずっと北から」
「何処に住んでるの?」
「この高校の近くだよ」
「シンガーソングライターって大変?」
「大変だけど、楽しいよ」
「好きな人いる?」
「うーん、いない…こともないかな…//」
「ええ?だれだれ?」
「あのえーっと…その…」
舞と颯の目が合う
「えっ?…颯君?…颯君だよね!」
「あぁそうだよ、舞ちゃんだよね?」
「うん!…ちょっとこっち!」
「えっ!ちょっ、まっ!」
舞は颯の手を引いて走り出す
2人は屋上までやってきた
突然舞が颯に抱きつき泣き出す
「ま、舞ちゃん?」
「私…前の高校で…いじめられて…この高校でも…いじめられたらって不安で…そしたら颯君いたから…」
「大丈夫だよ、誰がなんて言っても僕は舞ちゃんの味方だよ…」
「俺達もだぜ」
陽一と愛美がやってきていた
「あっ、こっちの二人は友達の陽一と愛美さんだよ」
「俺は宮下陽一、よろしくな。それでこっちは」
「真浦愛美だよ、よろしくね。」
「うん!」
こうして友達3人に舞が加わり、思わぬ形で舞と颯の約束が果たされたのだった