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追放令嬢、幸せになります!  作者: あけはる


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2/2

後編

 最初に鼻をくすぐったのは、薬草の苦い匂いだった。

 次に薪が爆ぜる音。

 そして――誰かが、こちらを見守っている気配。


(……私、生きてる)


 まぶたが重い。

 ようやく開けた視界の先にあったのは、木組みの天井。

 王都の絢爛な天蓋付き寝台とは、真逆の質素さだ。

 けれど毛布は厚く、部屋は驚くほど温かい。


 壁には魔物の牙を加工した飾りと金属板に刻まれた結界陣。

 戦う場所。守る場所。

 そんな雰囲気を感じる。


 エリシアは身体を起こそうとして、痛みに息が詰まった。


「動くな。まだ熱がある」


 低い声がすぐ横から落ちてきた。


 視線を向けると、黒い外套の男――銀髪の騎士が椅子に腰を下ろしていた。

 

 森で魔物を一閃した人物。

 

(私を助けてくれた人)


 鎧の紋章はおそらく、ブラックスローン公爵家だ。


 彼は私の起き上がり方を見て、わずかに眉を寄せた。

 怒っているのではない。

 まるで、怪我人を見慣れている者の、短い判断の顔。


「俺はアレクシス・ブラックスローン。ブラックスローン公爵家の当主だ」


 部屋奥にある暖炉で薪がパチパチと爆ぜている。


 エリシアは起き上がって深々と頭を下げた。


「エリシア・ローゼンベルグと申します。

 ブラックスローン公爵様、この度は助けていただき本当にありがとうございました」


 次に続くのは、迷惑をかけた謝罪――のはずだった。


「ここは俺の砦だ。礼はいらない。あと、アレクシスで良い」


 遮るように言い、アレクシスは机の上の薬湯をぐいとこちらへ寄せた。


「これを飲め」


「……はい」


 苦い。思わず眉が動いた。


「王都の薬は甘いのか」


「いえ……私が、苦いものが……少し」


 自分でも情けない声が出た。

 薬湯をもつ手元に目を落とす。


 公爵が小さく息を吐く。


「慣れろ」


 その言い方は冷たいのに、薬湯はきちんと温度が調整されていた。


「あの、どうして、助けてくださったんですか」


「俺は自分の領地内で人間が死ぬのを許さない。それだけだ」


 淡々とした答え。

 けれどその裏に、なにか硬い意志がある気がした。


 公爵は椅子の背にもたれ、窓の外に目をやる。

 雪の白が、砦の黒い影を際立たせる。


 その彫刻のように美しい横顔は、噂通り“冷酷”なのに

 その眼は炎のように、静かに燃えていた。


「……それと」


 公爵は短く続けた。


「森で見た結界」


 胸が跳ねた。


「あの防壁結界を張ったのは、君だな」


「……そうです。ただ、私の魔力は少ないはずなのです。

 それゆえ術式の起動も満足にできなかった。そのはず、なのですが・・・」


「今回は違ったと?」


 公爵の声が少し低くなる。


「だが、怖がっていても、怒っていても、術式が崩れていなかった。

 ――普通、あの状況でそれは難しい」


 私は言葉を失った。

 森で私が必死に張った結界は、“薄い糸を編む”いつものやり方だった。

 それがなぜか、突然強くなったのだ。


 公爵は続けた。


「それに、お前は叫んだだろう。“来るな”と」


 彼の視線が、私の目を射抜く。


「聞こえていたのですか」


「ああ、この辺境の地では、その特徴ゆえ、誰かが魔物と交戦すると

 一番近い砦に知らせが入るようになっている」


(・・・そんな仕組み、聞いたことがない)


「君は自分の命も危ないというのに、護衛も御者も含めた馬車全体を守る結界を張った。

 ……自分だけが逃げる術式も組めたはずなのに」


 心臓がどくりと鳴った。

 私は、いつも“誰かのため”に存在していた。

 それが当然で、褒められることではなく、ただの義務だと思っていた。


 でも、公爵はそれを――。


「なぜ箱入りの伯爵令嬢がそんな魔力を持っていながら、森で死にかけていた?」


 問いは真っ直ぐだった。

 私は小さく息を吸う。


「……レオンハルト殿下に婚約を破棄され、追放されました。私は無能だと」


 公爵の眉間が深く寄った。


「無能?」


 短い声の奥に、確かな苛立ちが滲む。

 それは、怒りだった。私ではなく――私を捨てた側への。


 私は反射で首を振ってしまう。


「いえ……私、本当に……」


「それはやめろ」


 公爵が遮った。

 少し怒ったような、いぶかし気な短い息。


「君は自分の価値を自分で削る癖がある。・・・誰に仕込まれた」


「仕込まれた・・・」


困惑しているエリシアにアレクシスはさらに問いかける。


「そうだ。誰かから、自己犠牲を刷り込まれたのではないか」


(家のため、王都のため、殿下のため・・・)


 そうだ。

 思い返せば王太子妃候補となってから数年、

 いつも、他人のために働いてきた気がする。


 王、王太子、魔術師長、父、母――いくらでも思い当たる。


 公爵は立ち上がった。

 雪の向こうで、見張り塔の灯が揺れている。


「ここは、人が死にやすい」


 ぽつりと、公爵が言った。


「背負う者は一度折れたら、壊れる。

 ……私は、それを見たことがある」


 その一言で、胸がざわついた。

 大切な何かを、失った経験。


 見張り塔の火が雪に滲んでいる。

 彼はそれを見つめながら、低く続けた。


「昔、私の側に――私が“守っているつもり”だった者がいた」


 (“守っているつもり”・・・)


「強いと思っていた。折れないと思っていた。

 だが、気がづいた時には、もう遅かった」


 それ以上、具体的なことをアレクシスは語らなかった。

 

 誰のことかも、どうなったのかも。

 けれど、その沈黙の重さだけで、十分だった。


「だから」


 アレクシスは、こちらを見た。


「もう既に折れているのに、まだ誰かを守ろうとする人間を見ると――

 放っておけなくなる」


 私は、息を呑んだ。


 私自身の姿を、正確に言い当てられた気がしたから。


「折れない魔力、折れない心は素晴らしい。

 だが、折れているのに、なお守ろうとするその癖。

 ……君は、危うい」


 紫の強い視線が、エリシアをまっすぐ射抜いた。


「危ういから、放っておけない。

 放っておけば、また誰かのために死ぬ」


 その言葉は、エリシアの胸の奥を強く叩いた。


「ここでは、“自分のために”生きる努力をしろ」


 私は、返事が遅れた。

 そんなこと、言われたことがない。

 自分のために、なんて。


 けれど、不思議と怖くなかった。

 この人は、私を“役目”で縛るのではなく、ほどこうとしている。


 私は小さく頷いた。


「……ありがとう、ございます」



 その日の夜、砦の食堂で出されたのはシチュー。

 塩気が強く、肉も固かった。

 

 でも、温かい。

 兵士たちの笑い声が響く。

 誰も私を“邪魔者”として見ていなかった。


 私は、いつもの癖で口を開く。


「……ご、ご迷惑を」


 言い終える前に、公爵がスプーンを置いた。


「それは禁句にしろ」


「……え」


「迷惑だと思うなら、俺は最初から助けていない」


 酒の入った年配の兵士の一人が

 気を利かせたようにおどけた。


「ほれ、嬢ちゃん、アレクシス様の奥さんになるのはどうだ!」


「げほっ……!」


 公爵は無言で水を差し出す。

 兵士たちが笑い、誰かが「アレクシス様、顔が怖えー!」と小声で言ってまた笑った。


 公爵は咳払い一つしない。

 ただ、私にだけ聞こえる声で言った。


「からかわれている。気にするな」


 こんな温かい空間で食事をするのははじめてだった。



 翌々日。

 アレクシスとともにブラックスローン公爵家の本邸へ入ったエリシア。


 貴賓室の一つを与えられ、少ない荷物の荷ほどきをしていた時だった。


 王都からの早馬が来たという。

 知らせを受けたアレクシスに呼び出され、エリシアは彼の執務室へと赴いた。


 封蝋が割られる音が、妙に大きく響く。


 公爵が紙を読み終え、私を見た。


「王都の結界が臨界に近いそうだ」


 (歪みが、広がっている・・・?)


「王太子は、“エリシアを戻せ”と」


 ――今さら。

 怒りが胸に灯る。


「……都合が、良すぎます」


 予想外にしっかり出た自分の感情に、エリシアは驚いた。


 公爵も頷く。


「私は行く。君は、どうする?」


 短い命令のようでいて、彼の目は問いかけだった。


 “自分で決めろ”と、

 そう、紫の美しい瞳が問いかけていた。


 (逃げたい。けれど・・・)


「……行きます」


 公爵の視線が、ほんの少しだけ柔らかくなる。


「では、準備を」


 それだけで、胸が温かくなった。


 ――領地内で魔物との戦闘が起きている。

 そんな知らせがアレクシスのいる砦に届いたのは雪が降りしきるとても寒い日だった。


 小部隊を率いて救援に駆けつけてみるとそこには護衛と御者と、貴族らしい若い女がいた。


 そして、驚くべきは、異様に整った分厚い魔力の膜。

 防御結界だ。

 恐怖と混乱の中で張られたとは思えないほど、強力で精緻で、無駄がない。


(…術者はあの若い貴族の娘か?)


 次の瞬間、魔物がその結界にはじかれた。

 びくともしない強靭さ。

 若い女は恐怖に震えているが、しっかり手を前に出し、

 懸命に魔力を練り上げて続けている。


 アレクシスは、その時点で理解した。


 ――これは、覚悟だ。


 視線の先、馬車の中で、彼女は震えていた。

 自分だけが助かる術式も、組めただろうに。

 それでも彼女は、全員を守る結界を選んだのだ。


 かつて見た光景が、脳裏をよぎる。

 折れるまで、守ろうとする人間。


 守っていたはずの人間に、ずっと守られていた。

 そして、そのせいで、永遠に失ってしまった。


 苦く、悲しい記憶。


(母上・・・)


 そこからは、もう無意識で剣を振っていた。

 理由を考える前に、身体が動いていた。


 ――この女は、誰かが止めなければ、

 自分を削りきるまで守り続ける。


 そして気づいた時には、

 彼女を“救う側”に立つことを、選びとっていた。



 王都は冷えていた。

 たった2週間前に去ったばかりだというのに、

 エリシアのいた頃とは全く様子が違っている。


 人々の顔色は悪く、空気が薄く淀んでいる。

 歪みが肌に触れる感覚はとても不快で、息がしづらい。


(……結界、本当に壊れかけてるのね)


 私は以前していたように、魔力を外へ流し”均し”てみた。

 すると、周囲の空気がわずかに整って感じられる。

 

 ――やっぱり。私の能力は落ちていない。

 

 そうエリシアは確信した。


 王城の謁見の間。

 王太子レオンハルトが焦燥を隠せない顔で立っていた。

 隣にはクラーリス。

 白く繊細なドレスを着て、静かに微笑んではいるが

 その表情に以前ほどの余裕はない。


「・・・エリシア!」


 入場したとたんエリシアに駆け寄らんばかりのレオンハルト。

 

 ――アレクシスが一歩、エリシアの前へ出た。


「近づくな」


 レオンハルトと向かい合う。


「……ブラックスローン公爵。君は呼んでいないのだが?」


「私の妻候補を呼びつけたのは、あなただ」


 謁見の間が凍る。


(つ、妻候補・・・!?)


 焦る私と同じくらい

 レオンハルトの目が揺れた。


「エ、エリシア、お前……!」


 その焦った声に、

 我に返った私は一歩下がり、礼を取った。



「殿下、ご自身が婚約を破棄されたのです。

 もう私は王太子妃候補ではありません」


「……あ、そ、それは……」


「王都の結界が危うい、みたいですね」


 遮るような私の発言に、殿下の顔が引きつった。


 気にせず私は言葉を続ける。


「私は、王都の結界を均す“受け皿”として選ばれた。

 都合のいい役目として」


 ざわめき。

 宰相が顔色を変え、宮廷魔術師長は身を震わせている。


 私は銀色の護符を取り出した。

 王太子が婚約の証だと渡してきたがその実、

 神殿から押し付けられたあの、小さな護符。


「これは神殿の術式ですね?私の魔力を、吸収先へ流すための」


 私はゆっくりとクラ―リスに視線を向けた。

 

 クラ―リスの頬が引きつる。


「わ、私は関係ないですわ!」

 

 そう言ってレオンハルトの腕にしがみつく。

 レオンハルトもクラ―リスを庇う。


「エリシア! また嫉妬か!」


 ―――その瞬間、公爵が床に剣先を強く当てた。

 

 “ドン”という音が、場の空気を切り裂く。


「黙って、いただこう」


 王太子が言葉を失う。


 続いて公爵は魔術師長へ視線を向けた。


「宮廷魔術師長。説明しろ。

 なぜエリシアの魔力が半年で弱まったのか。

 そして、なぜ王城の“聖なる魔力”が増えたのかを!」


 その言葉を聞いた瞬間、魔術師長は崩れ落ちるように膝をついた。


「エリシア様のせいでは、ありませんでした!

 エリシア様は上手く均しておられました! 毎日、毎日、結界の歪みを……

 それが突然、均せなくなったのです」


 原因がわからないというような表情で、魔術師長は続けた。


「まるで魔力がどこかへ吸われていったかのように・・・

 エリシア様の魔力は突然少なくなってしまったのです。半年前の、ある日を境に」


 殿下が青ざめる。


「吸われた・・・?半年前・・・?」


 レオンハルトは、困惑の表情で、クラ―リスを見つめる。

 クラーリスはじりじりと後ずさった。


「わ、私は、知らないわっ…そんなこと…!」


 私は静かに前へ出た。


「クラーリス様。

 クラ―リス様の聖魔力は相当特殊で、100年に1人の逸材だとか」


 クラーリスの肩が跳ねる。


「そ、それは……!」


「それほど貴重なのであれば、ぜひ、私にも見せてください」


 私は手を差し出した。

 公爵が低く告げる。


「触れさせろ。

 大聖女候補の魔力が”吸引”魔力かどうか、確かめるのだ」


「やめろ!」

 

 公爵の冷徹な視線が、そう叫ぶ殿下を射抜く。


「判断を誤れば王都が落ちる。

 それでも庇うのか、その女を」


 アレクシスの言葉にレオンハルトは歯を食いしばり、

 ゆっくりとクラ―リスの傍を離れた。


「そ、そんな、レオンハルトさま・・・!」


 私はクラーリスの前に立ち、指先で触れる。


 ぞわり。

 冷たい流れが、皮膚から抜けていく感覚。

 

 魔力が吸われていく。


 私はすぐに手を引いた。


「・・・確定ね」


 エリシアの視線を受け止めたクラ―リス。


「あーあ、気づいたのね」


 鈴を転がしたようないつもの可憐な声ではない、素のクラ―リスの声。


「あなたがぜーんぶ耐えてくれたおかげで、私はとっても楽だったわ。

 “受け皿”だなんて、便利な女」


 謁見の間が凍りつく。


 殿下が呆然と呟いた。


「……クラーリス?」


「私は“王太子妃”になるために必要な力を集めただけ、殿下もまんまと私を選んだじゃない」


 クラーリスが笑う。

 聖女の仮面を脱いだ、狡猾な狐のような嗤い。


「全部、あなたが選んだことでしょう?」


「……違う……俺は……」


 呻くレオンハルトに私は静かに言葉を紡いだ。


「殿下。私を無能と切り捨てましたよね」


 殿下の瞳に後悔と、恐怖が浮かぶ。


「戻ってきてくれ……エリシア、頼む!君がいないと結界が……!」


 私は、深く息を吸った。

 そして、はっきり告げる。


「謝罪は受け取ります」


 殿下が顔を上げる。


「ですが、王都には、戻りません」


 言い切った。

 そのとたん、胸がすっと軽くなる。


「――今さら後悔されても、遅いです」


 レオンハルトは縋るようにエリシアへ手を伸ばす。


「エ、エリシア、まだやり直せるだろう・・・!」


「エリシアは、わがブラックスローン公爵家に迎える。私の妻として」


 ざわめきが走る。


「なっ・・・!」


 宰相は青ざめ、王は沈黙した。

 レオンハルトが伸ばした手は、空をつかみ、止まった。



 王都の結界の歪みを均しきった後、

 王城の正門を出た瞬間、空気が軽くなった。

 私の胸も、同じように軽い。


 隣を歩くアレクシスが短く尋ねた。


「怖かったか」


「……はい」


 私は正直に頷く。


「でも、一人じゃなかったので」


 公爵は一瞬、言葉を失ったように瞬きをした。

 それから、視線を逸らし、雪の空を見た。


「……そういうことを、簡単に言うな」


 その声はどこかうわついていて、少しだけ掠れていた。


 私は片目をつぶって首を傾げた。


「どうしてですかね」


 アレクシスは、答えない。


 ただ、並んで歩く二人の距離が、少し近くなった。


 ――その小さな変化が、彼の心情を何より雄弁に語っていた。



 辺境へ戻る道中、雪は降り続けた。

 でも寒くない。


 砦に着いた夜、

 アレクシスは私を礼拝堂へ連れていった。

 

 小さな祭壇。簡素な花。祈りの香。


「式はゆっくり考えればいい。まず誓いだけ」


 私は息を呑む。


「本当に、私で、」


 言いかけた私の言葉を、アレクシスが遮った。


「ああ」


 礼拝堂の小さな窓は降り続く雪を静かに映している。


「私は、エリシア、君に惹かれている」


 公爵は静かに続けた。


「私は以前の君は知らなかった。助けることもできなかった」


 紫の瞳は熱を持つ。


「だが、捨てられても、奪われても、怒りの中でさえ――壊すより先に、守ろうとした。

 その強さを美しいと思った。そしてそれは君が、君自身で作り上げた強さだ」


 私は言葉を失った。


 全然駄目だと、

 自分自身でさえ、価値がなかったと諦めた“自己犠牲”を、

 

 彼は“強さ”だと言ってくれた。


「それに」


 アレクシスの声が、少し柔らかくなる。

 そして一瞬、視線を落としエリシアの両手を優しく包んだ。


「私の前で、”生きたい”と選んでくれた。

 その選択を、私は守りたい」


 胸が熱くなる。

 頬が染まる。

 

 笑って誤魔化すこともできず、ただ必死で頷いた。

 あふれる涙が頬を伝った。


「……ありがとうございます」


「だからどうか」


 アレクシスがエリシアの前に片膝をついた。


「エリシア、私と結婚してくれ」


 エリシアは迷わず、その強くて、とても優しい手を取った。


「はい、アレクシス様・・・!」


 小さな礼拝堂の鐘が軽やかに鳴った。

 

 ―――まるで二人の未来を末永く、祝福するかのようだった。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

楽しんでいただけましたら幸いです。

もしよろしければご評価やブクマなど応援いただけますと嬉しいです。

よろしくお願いします!

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