まだプロローグ
晴礼からの電話を適当に受け流し、メールを見返してみた。そこで神崎海の今の現状がよくわかった。
①年上の彼と結婚すること
②9月にはママになること
③俺は捨てられたということ
俺は海と付き合っているわけではない。関係としては友人だけど、それよりも元彼女と言った方が正解かもしれない。元彼女と言っても、海とは高校1年の時にたった3ヶ月付き合っただけの仲だ。
でも、俺にとって海と言う存在はとても大きかった。俺はここ7年彼女がいない。それと言うのも少々複雑な事情があるのだが・・・。とにかく海は、いて当たり前。そんな存在だった。
パソコンの椅子からベッドにダイビング。今日はいつも以上にベッドが冷たい。今日の空は青空。ベッドから青空を見るのは久しぶりだと思った。ニート生活はしているものの、昼間からベッドに寝ることはない。
正午に目覚めてもカーテンが閉まっているので、寝転がって空は見ない。
俺にとって寝転がって、空を見るのは風邪をひいて学校を休んだ時の専売特許なのだ。みんなが学校で勉強している中、椎名林檎の「あおぞら」という曲をCDのコンポにセットし、寝ながら空を見るのだ。
今日の空。それはとても綺麗で、どこか突き抜けている。
「結婚か」
そう呟いた途端にゆっくりと涙が流れた。