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プロローグ

携帯電話が急に鳴った。午前10時。送信主は神崎海カンザキウミ。どうせくだらないメールだろうと思い、一度開いた携帯を閉じた。


ニートの朝は遅い。用事がない日なんてのは、正午のチャイムが鳴らない限り目覚めない。人間は、何かの節目、節目に絶望する生き物だと最近思う。1日が24時間もあることを忘れ、勝手気ままに生きていると身体の前に心が死んでしまう。


今の俺はちょうどそんな感じだ。時々死ぬ事を考えても見るけれど、少々心に病を抱えていることもあって、思いつきの絶望を俯瞰することが出来る。どこかの総理と一緒であなたとは違うらしい。


こんな生活を続けて早1年、何にも感動さえ出来ないようなつまらない人間に成り下がっていることに今の今気づいたところだ。


メールをシカトしたことも忘れて再び携帯を開いた。11時30分。今日はいつもより早い目覚め。いつものようにパソコンをつけて、アニメを見る。


アニメを見るのはオタクだからではない。俺は自称映像作品マニアなのだ。そこらのオタクと一緒にされちゃ困る。今日も良作アニメにウキウキしていると急に携帯が鳴った。


12時35分。赤石晴礼アカイシハレイ。会社に勤める晴礼からこんな時間に電話が来るなんて珍しい。


「はい。もしもし」

「おい、メール見たのかよ」

急にまくし立てる晴礼が俺の返事っを聞かずに食い気味にこう言った。

「神崎が結婚するってよ」


12時40分。人間は、何かの節目、節目に絶望する生き物だと今確かに思った。

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