ちょっとした嫉妬
それからというもの真奈さんと千佳さん以外の女の子から髪の毛をいじられるようになった。
その代わり真奈さんと千佳さんは遠くから眺めるようになっていた。
「今日も幸運になるほくろ探すからね」
「毎日探さなくてもいいんじゃない?一回見つけただけで効果あるでしょ?てか、ほんとに効果とかあるの?」
毎日女の子からちやほやされるのは悪くないのだが最近千佳さんににらまれてる気がする。
そんなある日の放課後部活に向かう途中に後ろから手で目を隠された。
「だ~れだ?」
と、千佳さんが声をかけてきた。
密着しているせいか背中に柔らかいものが当たっていて、いつまでもこの時間が続けばいいのになぁと感じた。
「千佳さん?」
「そんな他人行儀じゃなくてちーちゃんって呼んでよたつみん」
「なんかその呼び方恥ずかしいんだけど」
「呼んでくれるまでこの手離さないよ」
呼ばなかったらこのまま背中に当たる胸の感触を永遠に感じられるのかと考えていると
「最近ほかの女の子がたつみんの周りにいて鼻の下伸ばしてるでしょ」
「いやそんなことないよ」
「嘘、あたしのときはそんなに話とかしてくれなかったじゃん」
それは、いきなりされたしクラス内のカースト上位の千佳さんに身構えるというか緊張するというか恐れ多い気がして借りてきた猫の状態になっていた。
「それは、千佳さんが可愛いから緊張してあんま話せないだけだよ」
「ふ~ん、そうなんだ。そ、それなら仕方ないわね。ほんじゃあ話しやすくするためにちーちゃんって呼んで」
「ち、ちーちゃん」
そう呼ぶとちーちゃんは笑顔で
「なあに?」
と返事した。
「呼んだだけだよ」
と返事したら、やたらと笑顔で
「そうなんだ、フフフッほんじゃあばいばいたつみん」
と言って先に帰っていった。