Ep.2 初めての二人暮し?
永遠にも似た数瞬、均衡を破ったのは凛刳だった。
「体冷えちゃうよ。早く入っておいで?」
「……色々聞きたいことはあるけど、、まぁうん。入る。」
莉緒は凛刳に促されながら部屋へと上がる。
その様子を見て凛刳さんが買い物後の荷物をキッチンへと持っていってくれた。
その後は袋の中2人で手早く片付け、今はテーブルを挟んで向かい合って座っている。
「さっきも聞いたんだけどさ、なんでいるの?」
「俺もこっちに行きたいって社長に直談判してきたから?」
「…どーせ、お父様から言いつけられてこっち来たんでしょ。」
「お嬢の傍にいさせてください!ってちゃんと言ってきたよ。」
凛刳の余裕のある態度が莉緒少し苛つかせる。
「まぁ、いいけど。でも来たとしてどこで暮らすの?」
「うん?いいって何?笑 住む場所はここだよ。」
「……え?ここで??」
「そりゃもちろんここだよ?土壇場だし他に住むところなんてないでしょ?」
「……。」(この人は何を言ってるんだろう。)
「あれ。莉緒?大丈夫??」
「はっ!えっと…?ガチ?」
「俺、莉緒に嘘なんかつかないでしょ?合鍵も頂いてるよ。」
「え、じゃ、じゃあどこで寝るの!」
「それは莉緒が想像する通りだよ。」
「え?…………………え、嘘じゃん。」
(ま、まさか……………同じベッドで?)
「莉緒?顔真っ赤だけど大丈夫?」
「あ、えっとちょーっとさすがにそれは無理かも?」
「じゃあ俺は外で寝ようか?」
「いや、そうは言ってないけどさ!ほら、例えばリビングのソファーとか――。」
少し視線を外しながらあたふたとしていると視界の端にニヤニヤとする凛刳が映る。
「莉緒、ちゃんと全部の部屋みてないの?」
(………え?そんなまさか…。)
莉緒はすぐ立ち上がってまだ見てなかった部屋へと向かう。
扉を開き、中を見るとそこにはベッドやテーブルが置かれていた。
「凛刳さん、もしかしなくても全部知ってて言ってた…?」
「勿論。準備したの俺だからね。でも莉緒が慌てふためいてたのも可愛かったよ。」
ニヒルな笑顔を見せる凛刳に少しドキッとしたがからかわれたことを思い出して、凛刳を莉緒の弱い力でポカポカ叩く。
「むぅ!」
「ちゃんと見てない莉緒が悪くない?それに俺が言ったことで誇大解釈しちゃっただけでしょ?」
この余裕な感じに余計に腹が立ってくる。
上手く手玉に取られた感覚を振り払うように誤魔化した。
「もうこの話はおしまい!!お腹も空いたしご飯食べる!」
「ククッ…おっけー。準備するね。」
「そこ!笑わないの!」
そんなことを話しながら凛刳はご飯の準備をしにキッチンへ向かった。