Ep.1 なんでいるの?
光に包まれて少し経ち、眩い光が消えると莉緒は見知らぬ部屋にいた。
「ん、ここは……。」
部屋の中を見渡すとテーブルや棚、テレビなど最低限の家具は揃ってるのが分かった。
「これがお父様が用意してくれたって言ってた部屋…?突然飛ばされて釈然としないけど、一先ず部屋の確認をしないと…」
そう思い立って部屋の中を見回ってみるとテーブルの上に色々なものが置かれていた。
「これは……お金だね。そこそこあるみたいだけどそもそもこっちの物の価値とか知らないしなぁ…そんで?こっちはスマートフォンか。」
ある程度置かれていたものを確認し終わり、一緒に置かれていた置き手紙なようなものも読む。
「んーと、なになに?『愛しの莉緒へ、ここに置かれているものはどう使ってもらっても構わない。だが今後必要だと思ったものは自分でお金を手に入れるなり買ってくるなりしなさい。パパより』……なるほど。面倒なことはわかった。」
(お父様め、本当に面倒なことをしてくれたもんだ。
ってかそもそも経験しろっていうのも何をしろってんだって話だし。)
「…ま、考えても仕方ないか。とりあえずご飯かってこよ。」
近くに置かれたカバンに財布と貴重品だけ入れて外へ出――。
「うわ眩しっ!」
太陽光に晒され思わず引き返す。
「んー。すぐ目を閉じて戻ったのに周りが何も見えないや。」
数秒ほどで視界が回復し、ついでに頭の方も冴えてきた。
「そういえば人間界の太陽光はきっついの忘れてた。これじゃ夜になるまで外に出られないなぁ…」
種族的に太陽光がダメな訳では無いのだが莉緒は日光は眩しいくて熱いので凄い嫌悪を覚えている。
外出を諦めた莉緒はとりあえずキッチンに向かうことにした。
「なんか食べれるもんないっかなぁー。」
冷蔵庫や収納棚を漁ってみると…
「あ!チョコじゃん、ラッキー♪」
そこには個包装のチョコがあった。
「これ以上はできることもないし、とりあえずこのチョコを食べながら今後のことでも考えよ♪」
手にしたチョコを持ってルンルンで最初の部屋に戻る。
「買い物は夜に行くとして、まずはスマホで情報収集しないと。」
そうして得た情報はここが日本という国の首都東京であるということ、
近くには色々なお店があるということ、そして―――。
「あとちょっとなんだよなぁ…あ、そろそろ暗くなってきた!買い物行こーっと♪」
何よりもゲームが面白いことだった。
「ふぅ…ただいまーって僕1人しかいないのになーに言ってんだか」
近くのコンビニやスーパーで食料や日用品を買ってきた。
まずは買ってきたものを片付けないと…そう思って玄関を上がると―。
「おかえり、莉緒」
「………え?なんでいるの?」
部屋の中央で笑顔を見せる凛刳の姿があった。