三十五話 骨の牙
雨が降る夜。
一人の老人が傘も持たず立っている。
足音に気づいた老人が振り向く。
デモワールが姿を見せた。
「体が冷えるぞ」
「……構わない。空の悲しみに耳を傾けなければ」
デモワールはゲートの奥に消える。
「……空の悲しみを晴らすために、全てを滅ぼそう」
空に誓いを立て、ガイコローグもゲートの奥に消えた。
今日はレウシア大国に行くことにした。
レイルの様子の報告をゴーメットさんにするためだ。
ついでにファルンの様子も伝えるのは内緒。
というわけで、レウシア大国に来てみたが……。
「……誰もいない」
誰もいない。人っ子一人姿が見えない。
「ゴーメットさん? どこですかー。俺です、ヨイヤミですー」
呼んでも返事がない。おかしい。
すると、壁を突き破ってゴーメットさんが転がってきた。
「ゴーメットさん!」
「ヨイヤミ……! ぐっ、っ……。手を、貸してくれるか」
煙の中から現れたのは、洞窟で出会ったおじいさん。
「……空を、泣かせたのか?」
「は?」
「お前達が空を泣かせたのかと聞いている……!」
怒りが伝わるほどの圧。
おじいさんはムチを取り出し、頭の上で円を描くように回して地面に叩きつける。
円が白く輝いて骸骨がおじいさんの体に纏わりつき、鎧を纏った骸骨に変わる。
「ハアァ……」
冷気が体を震わせる。まるで死人のよう。
「ゴーメットさん、行きましょう」
「全員避難済みだ。暴れてもいいぞ」
「気をつけます」
俺とゴーメットさんは骸骨を見据える。
「……空」
骸骨は木製コマを五つ取り出す。
「涙」
空中へコマを放り投げる。
「雨」
ムチをコマに当てる。
コマが小さく分裂し、砲弾の雨のように俺達に降り注ぐ。
障壁を展開させて身を守る。
煙が晴れると、ボロボロの服を着た骸骨が動いていた。
兵士。ざっと数えて十人。
「だいぶ休憩が取れた。行くぞ!」
「はい!」
俺達は武器を手にすると兵士に向かっていった。




