三十三話 バッドエンド
アドンが棒を振る。
軽く振った一撃が、大地を割り、空間を引き裂いて迫る。
「っ!」
剣で受け止める。振動が体中に響く。
血が沸き上がり、骨が悲鳴を上げる。
「……ッラアッ!!」
剣を放り投げてアドンに突撃する。
「おにーさん、こっちだよ」
声の方向に振り返る。アドンの手が俺の頭を掴む。
「ぐっ、ああっ」
地面に頭を叩きつけられる。
アドンは俺の顔を覗き込んで笑う。
「弱いよおにーさん」
「っ、くそっ……」
動けない。金縛りにあっているかのように、指一本も動かせない。
「あ、ああ」
首も締まる。アドンが手を触れていないのに、どうして……!
「ん~。もっと強くしよ」
「あ、あ…………」
さらに締まる。息が、できない。
意識を失いかけた。その時――
俺とアドンの間を、剣が通り抜けた。
「…………」
「しゅう、と」
「やらせるか」
アドンは俺を柊人に向けて放り投げた。
「壊れないおもちゃが二つ……。あははっ、死なないでね」
低い声での宣告。子供らしさは微塵も感じない。
「いくよ」
アドンの姿が消える。
重なる俺達の前に現れると柊人だけを地面に埋め込む。
俺の体がふわりと持ち上がり、木に叩きつけられた。
アドンは柊人の頭を撫でると地面から引き抜いて叩きつける。
「がっ……」
「んー」
柊人を捨てると、俺の方にやってきて
「ばーいばい」
そう言って体に触れる。
数秒後、俺は自分が弾けた感覚を覚えながら意識を閉ざした。




