三十一話 鬼ごっこ
教会にて。
メリーは雑巾がけを終えて立ち上がると、ドアの隙間から男の子がひょっこり顔を出しているのが見えた。
「誰かな……?」
不思議に思ったメリーは男の子に近づいて肩を叩こうとしたが――
誰もいないことに気づいた。
「?」
目をこすってもう一度見る。誰もいない。
「気のせい、でしょうか」
メリーはバケツと雑巾を持って図書館を掃除しに行った。
「ねーねー。僕と遊ぼうよ」
「…………」
本を読んでいたサリーアは不思議そうに男の子を見る。
ここは滅多に人が来ない場所なのに。しかも男の子と来た。
「遊んでいる暇はありません」
「えーつまんない。僕と遊ぼうよー」
男の子を無視してサリーアは本を読み進める。
サリーアはそれっきり男の子の声が聞こえないことに疑問を感じ、顔を上げる。
男の子の姿が消えていた。
「…………?」
不思議に感じながらも、サリーアはまた本を読み進めるのだった。
「つまんないなー。誰も僕と遊んでくれない」
ぶらぶらと歩きながらつぶやく男の子、アドン。
アドンは岩に座るとゲートを開く。
「おーい。機械の人ー。遊ぼうよー」
呼ばれたギアがゲートから出て来ると、アドンは嬉しそうに鬼ごっこを提案する。
ギアが頷く。アドンはギアを鬼に指名して逃げ始める。
「頑張って追いついてよねー!」
はしゃぎながら逃げるアドン。ギアはゲートを開いて距離を詰め、アドンを捕まえた。
「卑怯だよー!」
「…………」
ギアはじたばた暴れるアドンを降ろして座らせる。
アドンは随分遠くにあるハイネストを眺め、ギアに話しかける。
「怖い悪魔も変なエルフもいるのかな? おじいちゃんとワンちゃんもいるかなー」
「…………」
ギアは意味不明な電子音をアドンに向けて発した。
アドンは状況を理解したのか、満面の笑みを浮かべる。
「ありがとう、機械の人! 僕も頑張る!」
「…………」
ギアがゲートを開く。アドンが中に入るとゲートは自然に閉じた。
「…………」
ギアも周りを伺い消える。
アドンによるゲームが、始まろうとしていた。
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