二十六話 エルフ追撃
「ぐあっ!」
「ぎゃあっ!」
倒れる二体のエルフ。
「…………」
右腕に装備された銃が火を吹く。樽を壊し、裏に隠れていた女を引きずり出す。
だが、女を見逃したギアは歩みを進める。
エルフの里に、見えない恐怖が訪れる。
ファルンとヨイトが生きている。その報告を受けた俺達は安心して机に伏せていた。
「無事でよかった。ファルンもヨイトも」
「……レイル」
「ん?」
「生きててくれて、ありがとう」
俺の言葉に顔をしかめる。
「それなんかバカっぽいぴょん。くそ食らえ」
あー……変わらないなー、レイルは。
特にやるとこともなくボーッとしていると、ドアが勢いよく開いた。
「ヨイヤミ様!」
いつか会議場まで案内してくれたエルフの女性だった。
切羽詰まった様子。何があったのか聞く。
「里が、襲われて。夜の内に大半の戦士が、命を……!」
「すぐ行きます!」
「私も!」
俺はレイルとエルフの里に急いだ。
「っ……まじか」
エルフの死体が転がっている。
奇妙なことに、武器を持った男だけが死んでいた。
「大半の戦士が殺された……。モンスター?」
モンスターの可能性を疑う。でも、そんな器用なこと出来るのか?
俺が考えを巡らしていると、肩を叩かれた。
「…………久しぶり」
「あー、えっと、久しぶりですね……シェルさん」
俺達は近くの岩に座った。
「その子は?」
「レイル。よろしくぴょん」
「ん。…………よろしく」
シェルさんはレイルを抱いていた。レイルの顔がほんわかしている。
「あの、シェルさん?」
「何……?」
俺が話しかけるとシェルさんはレイルを抱いたまま後ろを向いた。
「ハイネストが襲われて、ヴァンパさんの住む場所も襲われて、次はここで……。何か、変ですよね?」
「そうなんだ。レイルちゃんはどう思う?」
「知らないけど、まあ……ヨイヤミがそう言うなら」
レイルちゃん。シェルさん、可愛い物好きなのか?
「えっと、うん。あー……俺達、ここに住みます」
「は?」
「危ないでしょ。だって、襲われるかもしれないのに」
シェルさんはレイルを離すと、ボソッと言った。
「感謝する」
「ヨイヤミです」
「レイルです。お菓子の食べ過ぎに気をつけます」
カイルズさんは事態の収拾のため出払っている。家に上がり、シェルさんに改めて自己紹介した。
シェルさんはよろしくと言うとレイルの横に座る。
俺と真正面にならない席を選んだつもりだが、残念なことに真正面。シェルさんは慌てて後ろを向いた。
「何もないが、くつろいでくれ」
「はーい」
レイルの一挙手一投足を見つめるシェルさん。俺は思い切って聞いてみる。
「可愛い物好きですよね?」
「……………………大好き」
数秒の無言の後、シェルさんはそう言った。
昼が過ぎる。そして、夜になった。




